NECは、仏Alcatel-Lucentとの協業を発表した。発表会見は、スペインのバルセロナで開催されているモバイルワールドカンファレンス(MWC)会場で行われた。
協業の第1弾として、LTE(Long Term Evolution)を共同開発する合弁会社を設立。NTTドコモや米Verizon Communicationsなどの通信事業者向けに関連システムを提供する。2008年にトライアルを開始、2009年までにLTEの商用システムを完成させる。両社のリソースを活用することでLTEの製品化を加速し、それぞれが有する第3世代携帯電話事業者の顧客基盤を生かしながら、LTEへの移行を支援するとともに市場拡大を進めるという。すでに、今年1月の段階で、MoUを結んでおり、研究開発協力を開始しているという。
具体的な取り組みとして、LTEワイヤレスブロードバンドソリューションの開発、両社の開発リソースの有効活用、保有する高い技術力の強化、日本と世界における強力なマーケットポジションの活用などをあげる。また、あらゆる顧客にフィットする統一製品戦略に加えて、W-CDMA/HSPAおよびCDMA/EV-DOネットワークをLTEにスムーズに統合する考えを示している。
両社のモバイルワイヤレス技術を有効活用 |
NECの矢野薫社長は会見で、「合弁会社は100%LTEの研究開発に注力した会社になる。また、製品戦略、プラットフォーム、ロードマップなどの一本化を図るとともに、研究開発費は両社が均等に拠出する。システム提供と構築、プロジェクトの実行、フィールドサポートを、それぞれの顧客に対して両社が責任をもって提供する」とした。なお、投資金額については、現段階では明確にしていない。
NEC 執行役員社長 矢野薫氏 |
一方、Alcatel-Lucentのパトリシア・ルソーCEOは、「スケールメリット、製品開発スピードといった効果が期待でき、今後のワイヤレス市場における両社の立場を優位にするだろう。この協業によって、通信事業者にとっても強いパートナーが誕生することになる。CDMAやWiMAXなどにおいて高い実績を持つAlcatel-Lucentと、C&CのリーディングカンパニーであるNECとの強力なアセットに基づく協業といえる」とした。
Alcatel-Lucent CEO パトリシア・ルソー氏 |
また、両社では、NGNや次世代モバイル/ワイヤレスに不可欠なIMSや、光通信、IPルーティング技術などの領域での具体的な協業内容を今後検討していくほか、今後、市場拡大が見込まれるサービスプロバイダ向けのストリーミングサービスやeコマースなどを実現するアプリケーションソフトウェアや、ストレージ、サーバ領域にまで協業を拡大することを検討していく。
両社では、「今回の提携は、広範な協業の第1ステップであり、日本を含むグローバル市場における次世代ネットワーク(NGN)や、次世代モバイル/ワイヤレスなどの通信事業者向けソリューションを提供し、情報通信市場におけるグローバルリーダーを目指して広範な協業関係を確立する」としている。