狭いトイレをリフォームで快適な空間に
トイレを広く使いたいという悩みは多いですが、間取り変更には多額のリフォーム費用がかかります。家の構造的にできない工事もあるので本項では狭いトイレをリフォームして快適に変える方法を解説します。
- コンパクトなトイレに交換する
- 色やデザインで工夫する
- 拡張工事を行う
コンパクトなトイレに交換する
トイレの個室の中で便器が占める割合が多いためトイレをコンパクトなものに交換するだけでも広々使用できます。最近では流すときに使用する水量を抑えた節水トイレの需要が高く、その中でも特に節水効果の高いタンクレストイレはタンクが背面にないことでコンパクトなつくりとなっています。
タンクレストイレはトイレの中でも高性能な商品が多く、交換費用は20万円~60万円ほどかかります。快適さだけでなく節水効果によって年間1万円以上の節約が見込めるため、初期費用こそかかりますが、長い目で見た場合にお得なケースも多いです。以下ではトイレの主要3メーカーのトイレを紹介します。
TOTOは国内でもシェア率トップのトイレメーカーであり、その中でもネオレストシリーズはびっくリーン技術が搭載されたハイクラスモデルです。きれい除菌水によって使用するたびに便器をきれいに保てる工夫がされていたり、汚れのつきにくい素材や洗浄方法、掃除のしやすいフチなし形状など使用時だけでなく日頃のお手入れまで含めて快適に使用できる工夫がされています。
LIXILのタンクレストイレはサティスシリーズの人気が高いです。便器の素材にはアクアセラミックを採用することで汚れが付着しにくく、洗浄時の水流で落ちやすいように設計されています。繰り返し使用しても剥がれにくいコーティング技術によって長く使えるトイレでもあります。トイレは白いものといったイメージがありますが、サティスはカラーバリエーションも豊富なため内装に合わせて選択も可能です。
Panasonicは住宅設備のメーカーとして幅広く展開しており、タンクレストイレではアラウーノシリーズを販売しています。アラウーノシリーズはタンクレストイレの中でも比較的安価なためハードルが低く、凹凸が少なく汚れの洗浄機能が高いのが特徴です。便器には有機ガラスを採用することで汚れがつきにくいため、スキマレスな形状と合わせて掃除の楽さが売りです。
色やデザインで工夫する
ここまではトイレを交換することで物理的に広さを確保する方法を紹介しましたが、色やデザインによる感じ方で快適に過ごせる工夫も可能です。ここではトイレ交換を行うよりも手頃にできる方法を紹介します。
トイレ内の収納や手洗いスペースを工夫することでも広いトイレ空間作りは可能です。トイレの背面に収納があるタイプや吊戸棚のような収納であれば体に干渉することがないためスペースを有効活用できます。一部のトイレではタンク部分を収納棚に隠すことでタンクレストイレのように見えるトイレもあり、デザイン性も高いです。
手洗いスペースはタンクレストイレを使用している家では必須の設備ですが洗面ボウルのあるタイプではなくカウンターと一体となったものや薄型のものであればスペースを取らないため採用することで広く使用することができるでしょう。
トイレの壁紙を工夫する方法ではアクセントクロスや腰壁が有名です。アクセントクロスとは壁面のいずれか一面を異なる色で仕上げる方法で、左右どちらか一面もしくは背面に濃い色のクロスを使用することで奥行き感を演出できます。
腰壁は腰ほどの高さの位置までパネルなどを貼ることで印象を変えたものを指します。特にトイレの下部は水がはねるなど汚れがつきやすい部分でもあるので掃除のしやすい素材を用いてデザインだけでなく掃除を楽にすることも狙えます。
トイレの入口に使用する扉も開き戸にすると開閉に必要なスペースが生まれるため内外で空けておかなければいけない空間が必要です。特に内開きの場合は室内の狭さが際立つため、スペースを取らない引き戸に変えてしまうのもおすすめです。引き戸のの中でも吊戸にすることで敷居を不要とし、段差を解消することも狙えます。
スペースがあれば拡張工事や新設も可能
最後に紹介するのは物理的にスペースを広げる方法です。特に戸建ての家であれば費用こそかかりますが移設や間取り変更もしやすく拡張工事も視野に入ります。特に介護リフォームを目的としたトイレリフォームで行われる工事ではありますが、二世帯同居や老後のことを考えてリフォームを行うのであれば検討してもよいでしょう。
工事を行う際には実際に工事が可能であるかも合わせて担当と相談をしてアドバイスを貰ってすすめるようにしましょう。
トイレ増設リフォームの費用相場と確認事項
親世帯、子世帯との同居するための二世帯住宅や、介護生活を見据えたとき、現状のままでは不便に感じる設備が出てくるでしょう。
トイレもリフォームが必要とされる設備の一つで、介護トイレの設置や広い場所への移設、2階への増設など、検討を要する場面は多くあります。
ここでは、トイレの増設リフォームについて解説していきます。
トイレ増設リフォームの費用相場
トイレを増設するために必要なスペースは、1畳ほどの広さが必要です。通常、押し入れやクローゼットなどが増設時のトイレとして使われます。
大体の費用感は40万円~100万円程度ですが、あくまでも目安であり、選ぶ商品や設置工事の状況によって誤差は出てきます。次に解説する費用詳細で相場感を掴んでください。
商品代はトイレ本体の代金や内装で使う壁紙などを自分で選択するため、求める性能やデザインによって変動します。
介護用のトイレや温水便座など自分の希望する商品をこの段階で選択することになります。取捨選択ができるのは商品代だけであり、他の費用は削ることができないため、十分検討して決めるようにしましょう。
一般的な洋式トイレであれば本体代として5万円~15万円ほどを見積もっておきましょう。高性能なトイレの場合50万円を超えるものもありますので必要な機能を絞るなどして決めてください。
設置費用の内訳は、トイレ本体の設置作業やトイレ内で使用される電気のコンセント設置費が主な項目です。トイレ本体の利用目的(介護用や利便性の高いもの)によって設置費も変わってきます。
設置費用は交換のみであれば2万円~4万円ほどが費用相場です。
既存トイレの解体、設置はおよそ2万円ほど。コンセント新設には家の状態にもよりますが壁内での作業が発生するため注意が必要です。
内装費は、壁紙の張替えや床の仕上げに関わる費用です。窓や電装部に装飾を施す費用も含まれます。
クロスの張替えは一般的なトイレのサイズでは2万円~3万円ほどを見ておけば問題ありません。床材はクッションフロアやフローリング、タイルなのかによって変動はしますが2万円~6万円ほど必要です。
配管工事費とは、トイレに繋ぐ水の配管工事に掛かる費用です。配管工事費を算出するときには配管の長さが関係してきます。
トイレの設置場所によって費用が影響してくることを覚えておきましょう。
その他諸経費は、工事の際に出る廃材の処分費や工事車両の駐車に関わる料金、工事中の養生費などが含まれます。
諸経費の目安は全体の費用のおよそ10%です。
工事の前に確認するべきこと
ここでは工事を行う前に施主自身が確認しておくべきことを解説します。自分で確認するのが難しい場合には担当者に相談するようにしましょう。
建築確認申請とは、建築物が法や条例などに反していないかを建築主事、または指定確認検査機関に確認してもらう手続きのことです。
防火地域や準防火地域ではない区域において、増築面積が10㎡以内のときには確認申請が不要であり、トイレ増設のケースでは不要である場合が多いです。
ただし、地域的な例外があるため、自治体への確認はしておいた方がよいでしょう。
排水管を通す場所のスペースや勾配によっては、工事自体が困難な場合もあります。
また、排水管を通す場所が寝室の近くだと、水が流れる音が睡眠の妨げになることも起こりえますのでそういった影響も考慮するようにしましょう。
タンクレストイレは、水道から直接水を流す仕組みになっています。水道の水圧を利用して、より効率的に排水するように設計され節水効果もあります。
デザイン性も良く人気の高い製品ですが、設置するためには必要最低限の水圧が必要なため、地域自体の水圧が低かったり築年数の古いマンションの高層階では設置が難しい場合があります。
タンクレストイレを検討している場合は、事前に水圧チェックを実施して設置しても問題がないか確認をするようにしてください。