トイレの全面リフォームにかかる費用
セカンドライフを快適に過ごすためには、トイレのバリアフリー化は欠かせません。
ここでは「安心・安全」に暮らすためのトイレリフォームに焦点を当て、費用や期間などを解説していきます。
トイレの全面リフォームの流れ
工事の規模にもよりますが、トイレは水まわりの中でも比較的工期が短く、必要な日数は3~5日程度です。
トイレリフォームの一般的な流れは、以下の通りです。
- リフォームの仕様決め
- 見積もり依頼
- 業者打ち合わせ
- 既存物撤去
- 内装工事
- 新規設置、配管接続
- 動作確認、通水テスト
リフォーム中はトイレの使用ができないため、他のトイレがない場合には仮設トイレの設置が必要になることがあります。
バリアフリー化を前提としたリフォームの場合、考えられるポイントとしては以下があります。
- 出入り口を広くする
- 段差の解消
- 車いす利用のための広さの確保
- 手すりの設置など、動作負担を軽減のための設備
どの工事の場合も間取りを変更するなど大掛かりな工事となるケースが多く、周囲のスペースを考慮して使用を決める必要があります。
また、既存のトイレの位置が寝室から遠い場合などには近くに移設もしくは増設するなどのプランが採用されます。
これらは要望として伝えつつ、依頼先の担当とも相談してより良いものを選ぶようにしましょう。
工事内容や便器の種類、手すりなどアクセサリーのグレードによって金額が変わるので、施工前には業者に見積もりを取ります。
リフォームを行う際には必ず相見積もりをとりましょう。相見積もりをすることで正しい施工金額の相場を知る手助けとなるだけでなく、業者ごとに異なるプランを知ることで自分に最適なものを選択しやすくなります。
- 和式トイレから洋式トイレへの交換:20万円~50万円 /工期目安:2~3日
- 内装リフォーム(床材、クロスの張替え):5万円~10万円/工期目安:1日
- トイレの間取り変更:15万円~30万円/工期目安:3~5日
相見積もりの内容や担当者の対応を見て業者を決めたら担当者と打ち合わせを行い、施工内容や使用する商品を決定します。
その際には細かな仕様や工事の日程、仕様などの要望をしっかりと伝え、施工内容を確認してから契約を結ぶのが重要です。
また、トイレのリフォームでは補助金制度が活用できることもあります。
施工内容や金額、住んでいる地域によって適用条件が異なりますので、業者との打ち合わせ時に確認してみてください。
掃除道具や小物類などの工事に不要なものはあらかじめ別の場所に移動しておきます。
工事は養生からはじまり、給水タンクや便器などを解体していきます。
希望した場合は、床材の交換や壁、天井のクロスの張替えを行います。
内装工事は、新しいトイレを設置する前に行うのが基本です。
内装工事が完了したら新しいトイレの設置を行います。
既存のトイレと排水の位置が異なる場合は追加で配管が必要になることもあります。
設置が完了したら最後に問題なく使用ができるのか、水漏れが起きていないかなどのテストを行います。
テストで異常がなければアクセサリを設置し、清掃をして工事が完了となります。
リフォームプランがある業者も
一部のリフォーム業者にはリフォームプランが用意されていることがあります。
リフォームプランとはトイレの商品代と施工費、その他に必要な廃材処分や内装をすべてまとめたもので、大きな仕様変更がなければ定額で行ってくれるサービスです。
交換するトイレにこだわりが少ない方であればこのようなリフォームプランを利用してリフォームを行うのがおすすめです。
リフォームプランは商品を大量入荷できるなどの側面から通常の施工よりも安く組まれていることが多く、お得にリフォームが行えます。見積もりを依頼する前からおおまかな金額がわかるのも嬉しいポイントです。
トイレのバリアフリーリフォームの具体例とポイント
高齢化社会が騒がれる昨今、住居内のバリアフリーリフォームを考える方も多いです。トイレは毎日使用するものなので優先度が高く施工方法もさまざま。本項ではトイレのバリアフリーリフォームについて解説します。
バリアフリーリフォームの具体例
トイレのバリアフリーリフォームは、今ある設備や機能によって工事内容が変わります。ここではリフォームする箇所やバリアフリー化する部分について具体的に解説します。
- スペースの拡張
- 段差のない床
- 手すりの設置
- 滑りにくい、掃除しやすい床
- 多機能トイレ
- 寝室の近くへの増設、移設
トイレ内のスペースが確保されていないと身体の移動が窮屈になり、方向転換も困難です。介護を行う際にも介護者が室内に入ってサポートをする必要がありますが、スペースが満足にないとそれすらも難しくなります。また、車椅子を使用する場合には車椅子が室内に入るスペースはもちろん、出入り口を通過できるかも問題でしょう。建具が開き戸の場合扉の開閉に必要なスペースも確保しなければならないため、建具を替えるのであれば引き戸にするのがおすすめです。
トイレのスペース拡張工事は周辺に拡張するスペースがあることは前提となりますが一度壁を解体し、新たに壁を作ります。拡張工事はおよそ15万円~30万円が相場で、扉を引き戸に交換する工事では4万円~10万円ほどを想定しておきましょう。
段差や敷居は転倒のリスクがあり、杖をついての歩行や車いすでの生活には不向きです。バリアフリーリフォームによって、段差のない床やスロープを設置することで転倒のリスクを軽減できます。
段差のない床へのバリアフリーリフォームの費用はだいたい5万円~10万円です。簡易的な方法としてスロープを設置するのも有効で、この場合の設置についてはサイズにもよりますが、1,000円~4,000円程度と簡単に設置ができます。
トイレ内への手すりの設置は、動線確保のために有効です。手すりを設置することで便座への立ち座りに力が入り、転倒防止にもつながります。手すりにはL字型やI字形、波状など種類も豊富で、滑りにくさや力の入りやすさなど用途や場所に合わせて設置します。
手すり設置の相場は工事費と合わせて1万円~10万円です。設置する壁に十分な下地がなければ設置することができないため、状態によっては下地補強工事などが必要になります。設置の際には必ず大工など専門知識を持つ職人に相談しましょう。
トイレリフォームではトイレ内の床を滑りにくい床にしたり、掃除しやすい床へ張替えるリフォームも可能です。たとえば素材の柔らかいクッションフロアにすることで衝撃を吸収し、より安全性を高めることができます。クッションフロアの張替えや上張りを行う場合はおよそ1万円~2万円ほどで完了します。
トイレの交換を考えている場合は多機能トイレと呼ばれる機能が豊富なトイレがおすすめです。多機能トイレの機能としては人感センサーを用いた自動開閉式の便座や温水洗浄便座など高齢者や身体の不自由な方には便利な機能が多く搭載されています。
また、レバー式ではなくリモコンタイプにすることで立ち座りの動きも軽減でき、快適に使用できるでしょう。多機能トイレは求める機能によって値段が大きく変わりますが、本体代のみで10万円~40万円ほどを見積もっておきましょう。
寝室の近くの部屋にトイレを増設したり、ベッドの横に移設をするといった工事が必要なケースも存在します。これは移動が困難な高齢者や要介護者のために行うことが多く、トイレに行くストレスを軽減する役割もあります。
この工事では配管を設置できる部屋なのかを考える必要があるため安易に行える工事ではありませんが、PanasonicのアラウーノVにある圧送タイプのようなトイレの開発も進んでおり、本来設置が難しかった場所でも設置ができるようになってきました。費用は工事規模で変わりますが30万円以上を想定しておきましょう。
バリアフリーリフォームのポイント
ここまではバリアフリーリフォームの具体例を紹介しましたが、トイレだけでもたくさんの施工方法があることがわかります。ここでは実際にバリアフリーリフォームを行うにあたって気をつけるべきポイントや知っておくべきことを紹介します。
バリアフリーリフォームを考えるのであれば現在使いやすい状態にすることだけでなく将来を見据え、10年後、15年後先を見据えた工事プランを考えておくことが重要です。
たとえば、今は少し足が不自由ではあるものの自力での歩行は可能な状態だとしても、10年後には車椅子生活を余儀なくされるかもしれません。また、今は元気であっても年齢とともに筋力は必ず低下するため、現在普通にできていたことが数年後にはできなくなる可能性もあります。
そのため今の状態に合わせたバリアフリーリフォームだけを検討するのではなく、将来のために車いすでも移動しやすいスペースを確保しておいたり、追加の工事を段階的にできるような工事プランを練ることで、耐用年数によるトイレや内装の劣化などにも対応できる失敗しないリフォームになります。
トイレのバリアフリーリフォームでは介護保険を適用して行うことも可能です。介護保険が適用されるケースには利用する被保険者が、要支援や要介護の認定をお住まいの自治体から受けている必要があります。要支援や要介護には段階があり、要支援1~2、要介護1~5と数字が大きくなるほど手厚い支援が受けられます。住んでいる地域の情報については役所や地域包括支援センター、ケアマネージャーにご確認ください。
介護保険を利用することで施工金額の最大9割の補助を受けることができます。1割の負担で介護リフォームを行えるためお得な制度ではありますが、事前に申請を行う点や申請書類など注意すべきことが多いので担当のケアマネージャーに相談してすすめるようにしましょう。