トイレ増設リフォームの費用相場と確認事項
親世帯、子世帯との同居するための二世帯住宅や、介護生活を見据えたとき、現状のままでは不便に感じる設備が出てくるでしょう。
トイレもリフォームが必要とされる設備の一つで、介護トイレの設置や広い場所への移設、2階への増設など、検討を要する場面は多くあります。
ここでは、トイレの増設リフォームについて解説していきます。
トイレ増設リフォームの費用相場
トイレを増設するために必要なスペースは、1畳ほどの広さが必要です。通常、押し入れやクローゼットなどが増設時のトイレとして使われます。
大体の費用感は40万円~100万円程度ですが、あくまでも目安であり、選ぶ商品や設置工事の状況によって誤差は出てきます。次に解説する費用詳細で相場感を掴んでください。
商品代はトイレ本体の代金や内装で使う壁紙などを自分で選択するため、求める性能やデザインによって変動します。
介護用のトイレや温水便座など自分の希望する商品をこの段階で選択することになります。取捨選択ができるのは商品代だけであり、他の費用は削ることができないため、十分検討して決めるようにしましょう。
一般的な洋式トイレであれば本体代として5万円~15万円ほどを見積もっておきましょう。高性能なトイレの場合50万円を超えるものもありますので必要な機能を絞るなどして決めてください。
設置費用の内訳は、トイレ本体の設置作業やトイレ内で使用される電気のコンセント設置費が主な項目です。トイレ本体の利用目的(介護用や利便性の高いもの)によって設置費も変わってきます。
設置費用は交換のみであれば2万円~4万円ほどが費用相場です。
既存トイレの解体、設置はおよそ2万円ほど。コンセント新設には家の状態にもよりますが壁内での作業が発生するため注意が必要です。
内装費は、壁紙の張替えや床の仕上げに関わる費用です。窓や電装部に装飾を施す費用も含まれます。
クロスの張替えは一般的なトイレのサイズでは2万円~3万円ほどを見ておけば問題ありません。床材はクッションフロアやフローリング、タイルなのかによって変動はしますが2万円~6万円ほど必要です。
配管工事費とは、トイレに繋ぐ水の配管工事に掛かる費用です。配管工事費を算出するときには配管の長さが関係してきます。
トイレの設置場所によって費用が影響してくることを覚えておきましょう。
その他諸経費は、工事の際に出る廃材の処分費や工事車両の駐車に関わる料金、工事中の養生費などが含まれます。
諸経費の目安は全体の費用のおよそ10%です。
工事の前に確認するべきこと
ここでは工事を行う前に施主自身が確認しておくべきことを解説します。自分で確認するのが難しい場合には担当者に相談するようにしましょう。
建築確認申請とは、建築物が法や条例などに反していないかを建築主事、または指定確認検査機関に確認してもらう手続きのことです。
防火地域や準防火地域ではない区域において、増築面積が10㎡以内のときには確認申請が不要であり、トイレ増設のケースでは不要である場合が多いです。
ただし、地域的な例外があるため、自治体への確認はしておいた方がよいでしょう。
排水管を通す場所のスペースや勾配によっては、工事自体が困難な場合もあります。
また、排水管を通す場所が寝室の近くだと、水が流れる音が睡眠の妨げになることも起こりえますのでそういった影響も考慮するようにしましょう。
タンクレストイレは、水道から直接水を流す仕組みになっています。水道の水圧を利用して、より効率的に排水するように設計され節水効果もあります。
デザイン性も良く人気の高い製品ですが、設置するためには必要最低限の水圧が必要なため、地域自体の水圧が低かったり築年数の古いマンションの高層階では設置が難しい場合があります。
タンクレストイレを検討している場合は、事前に水圧チェックを実施して設置しても問題がないか確認をするようにしてください。
介護保険でお得にトイレリフォームを!
家族に介護が必要になり、在宅介護を検討している方はリフォームの必要性に迫られるかもしれません。介護リフォームは住み慣れた家を改修し、介護を必要とする方の危険な場所をなくし、生活環境を安全にするために行います。
ここでは、介護を目的としたリフォームを行う場合の工事内容や費用相場、さらには介護保険を利用したリフォームについて解説します。
自宅の介護リフォームを考えている方はぜひご一読ください。
介護保険はどういうときに使える?
介護保険で利用できるサービスの種類を大きく分けると、在宅・施設入居・福祉用具レンタル・住宅改修の4つです。
- 訪問型サービス・・・訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリ
- 通所型サービス・・・通所介護、通所リハビリ、通所看護、短期入所介護
- 訪問型、通所型複合・・・小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護
- 介護保険施設・・・老人保健施設、特別養護老人ホーム、療養型医療施設、医療院
- 特定施設入居者生活介護・・・介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウス
- 地域密着型・・・認知症対応型グループホーム
- 車椅子や手すり、スロープなどに利用できます。
- 在宅で安心して暮らすための介護リフォームの費用に利用できます。
介護保険を利用するには、要支援または要介護の認定を受けていることが条件になります。住宅改修の場合は、要支援1~2、要介護1~5の認定に加え、下記の条件を満たしている必要があります。
- 介護施設で暮らしていない
- 入院していない
- 介護施設や病院から自宅に戻ることが決まっている
介護保険を利用したリフォームは、要介護者が自宅で日常生活を送りやすくするための工事が目的です。
- 歩く時につかまる物がない
- 段差があってつまづいてしまう
- トイレの便座が低く立ち上がれない
- 座ると立ち上がれない
- ベッドから起き上がれない
上記のような問題がある場合、介護保険を利用して自宅の一部を改修し、動きやすい生活環境を整えます。
要介護者の身体状態に応じて対象の工事を行います。介護保険を利用したリフォームの流れは次のとおりです。
- ①ケアマネジャーに相談
- ②ケアマネジャーは目的に応じた住宅改修プランを作成
- ③申請書類を居住している自治体へ提出(事前申請)
- ④審査通過後、工事着工
- ⑤工事完了後に申請(事後申請)
- ⑥受給
リフォームは、ケアマネジャーに相談、申請し、工事完了後も事後申請を行う場合もあるので、事前に確認することが大切です。
対象工事の内容
介護保険を利用したリフォーム対象工事の内容は次のとおりです。
- ①手すりの取付け
- ②段差の解消
- ③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料変更
- ④引き戸等への扉の取替え
- ⑤洋式便器等への便器の取替え
- ⑥その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
以上6つが介護保険が利用できる工事内容です。2および3については玄関から道路までの屋外工事も対象になっています。
手すりの取り付けにより、立ち座りが必要なトイレやでの移動をスムーズに行えるようになります。置き型の手すりはレンタルの福祉用具になるため、住宅改修の対象外なので注意が必要です。
手すりを取り付ける場所や範囲によって費用は変わりますが、取付工事の費用相場は大体2万円~18万円です。
段差を解消することで、移動時のつまづきを防止し、スムーズな移動ができます。リフォームの対象範囲は、廊下や部屋間の接続部、トイレです。
費用相場は2万円~15万円程度で、段差の種類によって工事方法が異なります。
滑りを防止し移動を円滑にするため、床又は通路面の材料を変更します。床や通路に滑り止めを取り付けたり、滑りづらい材料に変更することで転倒を未然に防ぎます。模様替えなど転倒防止の目的以外の材料変更は適用外です。
材料を変更する面積などによって費用は変わり、費用相場は次のとおりです。
- 玄関、廊下:3,000円/㎡
- 浴室:4万円~20万円
- 階段:10万円~
開き戸から引き戸への扉の取替えも住宅改修の範囲です。
開き戸から引き戸へ替えることでスペースを有効活用できます。大きく間取りを変えずに歩行器や手すりのスペースを確保できるだけでなく、介護補助も行いやすくなります。引き戸には多くの種類があるため、力を込めにくい状態でも開けやすい扉を選択することが大切です。
既存ドアの撤去、新しいドアの商品費用、設置費用を合わせると約10万円~15万円で施工できます。
和式便器から洋式便器等への便器の取替えや位置の変更も介護保険の適用対象です。
立ち座りのしづらさを解消することが目的ですが、今よりさらに立ち上がりやすい洋式便器への変更も可能です。
費用相場の目安は交換するトイレにもよりますが、和式から洋式への交換の場合は20万円~60万円ほどをみておくとよいでしょう。さらに位置を変更する際には配管接続や関連する床や壁の工事が必要となるため100万円近く見積もっておくと安心です。
新しく温水洗浄便座を設置する場合はコンセントの新設費用も考えておきましょう。
住宅改修工事によっては壁や床などの下地の補強など付帯して改修が必要な場合もあります。
付帯して必要となる住宅改修に伴う費用は、対象工事によって異なるため、見積もりの段階で確認しておきましょう。
地方自治体での補助金
介護保険以外でも住宅改修費用を助成する補助金制度を設けている地方自治体もあります。ここでは一例として、姫路市の住宅改修補助金制度について紹介します。
- 支給条件:居宅介護住宅での手すりの取り付けや段差等の解消など比較的小規模な改修において補助する
- 利用限度額:20万円(1回の工事で20万円に満たない場合は数回に分けて利用できる)
- 受け取り方:ケアマネジャーに相談後、改修工事前に必要な書類介護保険の窓口で事前申請し、工事完了後に再度書類を作成し提出すれば、住宅改修費の9割相当額が支給されます。
兵庫県姫路市では、高齢者や身体障害者を対象に自宅のバリアフリー改修工事に対する助成金制度があります。
- 対象工事:玄関・居室・浴室・洗面所・便所・廊下・階段・台所のバリアフリー化
- 助成対象限度額:80万円
- 所得等の要件:生計中心者の前年所得が600万円以下、かつ昭和56年5月以前に建築している場合は耐震診断が必要です。
トイレリフォームは補助金や助成金を利用して賢く施工!
トイレのリフォームは市区町村によっては補助金や助成金を利用して、安い金額で施工を行うことができます。
もちろん、補助金や助成金を支給してもらうための条件というものがあり、それに当てはまる場合のみとなっています。
そこで、どんな補助金制度があるのか、また補助金以外で安く施工を行う方法があるのかをご紹介します。
補助金や助成金はどういう工事でつかえる?
補助金や助成金は環境に優しい節水型のトイレや、介護のためのリフォームで利用できます。
ここではその2つのケースについて紹介をします。
節水型トイレへの交換
国土交通省が行っている「こどもみらい住宅支援事業」では省エネリフォームを行う際に補助金を利用できます。
トイレリフォームでは節水型トイレを設置することで、水資源の確保に貢献すること、環境負荷を軽減することにつながるため対象工事として認定されています。
節水型トイレは、大4,8L以下、小3,8L以下、シャワー0,8L以下、その他、自治体によって定められた性能のものが対象で、申請方法は各自治体の窓口で行います。
こどもみらい住宅支援事業では東京都で最大8万円、大阪府で最大5万円の助成金が受けられます。
和式、汲み取り式から洋式トイレへの変更
和式トイレ、汲み取り式トイレから洋式トイレへの変更も多くの地方自治体で助成制度を行なっています。
水洗化支援、水洗化奨励は水洗工事に関するアドバイスや情報を提供し、洋式トイレ変更への工事費用の一部を助成金で補助してくれます。
助成金が受けられる条件は以下になります。
- 所得制限を満たしていること
- 地方自治体に住民登録していること
- 工事を行う住宅に移住していること
- 申請者が60歳以上の高齢であること
また、工事の内容は以下になります。
- 和式便器から洋式トイレに変更する事
- 汲み取り式から水洗トイレに変更する事
費用は参考として以下になります。
- トイレ本体:5万円~30万円
- 工費:10万円~30万円
また補助金がない地方自治体もありますので住まいの地方自治体にお問い合わせください。
補助金がなくても安く施工はできる?
補助金や助成金が受けられなかった場合でも安く施工できる方法を紹介します。
- ・リフォーム業者の閑散期に施工する
- ・自分でDIY施工する
- ・業者を選ぶときは相見積もりを行う
- ・節水型トイレを選ぶ
リフォーム業者の閑散期に施工する
リフォーム業者にも忙しい時期と、暇がある時期がありますので、値引き交渉がしやすい暇な時期を狙うのがおすすめです。
リフォーム業者の閑散期は6月頃から8月頃、梅雨から夏くらいまでと言われています。
リフォーム業者自体はトイレリフォームだけではなく、例えば外壁の塗装などのエクステリアに関連したリフォームにも対応していますが、天候の関係で依頼する人が減ると閑散期となります。
トイレのリフォームは屋内ですので、天候関係なくリフォームを行うことができますので、時期が近い場合は閑散期を狙うと良いでしょう。
自分でDIY施工する
大掛かりな工事ではなく、簡単そうな工事であれば、自分で施工すると費用を抑えることが出来ます。
YouTubeなどのSNSで色々なレクチャー動画がありますのでホームセンターで材料を揃えて施工するのも良いと思います。
業者を選ぶときは相見積もりを行う
施工業者を選ぶときは、複数の業者に見積もりをお願いし、見積書の内容を比較する事が肝心です。
そうすることで工費、サービスの交渉がとてもしやすくなります。
またスタッフや職人の態度などを比較し、納得できるリフォーム業者に依頼することで、より満足のいくトイレリフォームが可能ですので、できれば3社以上で相見積もりを行い、業者同士を比較すると良いでしょう。
節水型トイレを選ぶ
節水型のトイレは従来のトイレと比べてとてもランニングコストを抑えることが出来ます。
従来のトイレが、水道代、下水道代を合わせて年間約3万円に対して、節水型のトイレなら年間約1万円と約3分の1に抑えることが出来ます。
月に換算すると、1,666円お得という事になります。
初期費用は掛かりますが、長い目で見るとメリットがあるでしょう。