トイレリフォームは補助金や助成金を利用して賢く施工!
家族の高齢化が進み、自宅のバリアフリー化を検討している人も多いでしょう。特にトイレの介護が必要になると働きに出ることに制限がかかりかねません。
高齢者が自宅で快適に過ごすためにトイレのバリアフリーリフォームはとても重要な課題ですが、リフォームには大きな費用が掛かってしまうので簡単には決断できません。
そこで、トイレのバリアフリーリフォームで利用できる国や自治体からの補助金や助成金を紹介します。補助金や助成金が受けられる条件は自治体によっても異なるので、自分に合った制度を調べてみましょう。
補助金や助成金はどういう工事でつかえる?
補助金や助成金は環境に優しい節水型のトイレや、介護のためのバリアフリーリフォームで利用できます。
ここではその2つのケースについて詳しく解説をします。
国土交通省が行っている「こどもみらい住宅支援事業」では省エネリフォームを行う際に補助金を利用できます。
トイレリフォームでは節水型トイレを設置することで、水資源の確保に貢献すること、環境負荷を軽減することにつながるため対象工事として認定されています。
節水型トイレは、大4,8L以下、小3,8L以下、シャワー0,8L以下、その他、自治体によって定められた性能のものが対象で、申請方法は各自治体の窓口で行います。
こどもみらい住宅支援事業では東京都で最大8万円、大阪府で最大5万円の助成金が受けられます。
バリアフリー工事を行う際には地方自治体の助成制度などが受けられます。
支給額は、20万円を上限として工事費用の最大9割を受け取ることができます。
申請期限は工事完了後3ヶ月以内が申請期限の物が多いので注意しましょう。
自治体によってはバリアフリー工事を対象とした補助金制度がない地方もあるので自宅のある地方自治体の公式ホームページを確認しておきましょう。
和式トイレ、汲み取り式トイレから洋式トイレへの変更も多くの地方自治体で助成制度を行なっています。
水洗化支援、水洗化奨励は水洗工事に関するアドバイスや情報を提供し、洋式トイレ変更への工事費用の一部を助成金で補助してくれます。
助成金が受けられる条件は以下になります。
- 所得制限を満たしていること
- 地方自治体に住民登録していること
- 工事を行う住宅に移住していること
- 申請者が60歳以上の高齢であること
また、工事の内容は以下になります。
- 和式便器から洋式トイレに変更する事
- 汲み取り式から水洗トイレに変更する事
費用は参考として以下になります。
- トイレ本体:5万円~30万円
- 工費:10万円~30万円
また補助金がない地方自治体もありますので住まいの地方自治体にお問い合わせください。
介護保険が利用できるケースも
「要支援認定、要介護認定を受けていること」という条件を満たせば、トイレのバリアフリーリフォームで介護保険が使用できることがあります。
介護保険が使用するには、国が定めた要支援1~2、要介護1~5の認定が必要です。
介護保険の対象となるリフォーム工事は以下になります。
- ・段差の解消
- ・手すりの取り付け
- ・洋式トイレへの交換
- ・滑りにくい床材への交換
- ・引き戸への扉の取り換え
また、地方自治体によっては以下のような基準を満たしている必要があります。
- 介護保険の限度額以内で収まっている工事である事
- 工事を行う地方自治体に住民票がある事
- 工事完了後、被保険者が安全に使用できる状態である事
詳しくはお住まいの地方自治体のホームページに記載がありますので内容を確認し、問い合わせてみることをおすすめします。
補助金がなくても安く施工はできる?
補助金や助成金が受けられなかった場合でも安く施工できる方法を紹介します。
- ・リフォーム業者の閑散期に施工する
- ・自分でDIY施工する
- ・業者を選ぶときは相見積もりを行う
- ・節水型トイレを選ぶ
リフォーム業者にも忙しい時期と、暇がある時期がありますので、値引き交渉がしやすい暇な時期を練るのがおすすめです。
大掛かりな工事ではなく、簡単そうな工事であれば、自分で施工すると費用を抑えることが出来ます。
YouTubeなどのSNSで色々なレクチャー動画がありますのでホームセンターで材料を揃えて施工するのも良いと思います。
施工業者を選ぶときは、複数の業者に見積もりをお願いし、内容を比較する事が肝心です。
そうすることで工費、サービスの交渉がとてもしやすくなります。
節水型のトイレは従来のトイレと比べてとてもランニングコストを抑えることが出来ます。
従来のトイレが、水道代、下水道代を合わせて年間約3万円に対して、節水型のトイレなら年間約1万円と約3分の1に抑えることが出来ます。
月に換算すると、1,666円お得という事になります。
初期費用は掛かりますが、長い目で見るとメリットがあるでしょう。
トイレのバリアフリーリフォームの具体例とポイント
高齢化社会が騒がれる昨今、住居内のバリアフリーリフォームを考える方も多いです。トイレは毎日使用するものなので優先度が高く施工方法もさまざま。本項ではトイレのバリアフリーリフォームについて解説します。
バリアフリーリフォームの具体例
トイレのバリアフリーリフォームは、今ある設備や機能によって工事内容が変わります。ここではリフォームする箇所やバリアフリー化する部分について具体的に解説します。
- スペースの拡張
- 段差のない床
- 手すりの設置
- 滑りにくい、掃除しやすい床
- 多機能トイレ
- 寝室の近くへの増設、移設
トイレ内のスペースが確保されていないと身体の移動が窮屈になり、方向転換も困難です。介護を行う際にも介護者が室内に入ってサポートをする必要がありますが、スペースが満足にないとそれすらも難しくなります。また、車椅子を使用する場合には車椅子が室内に入るスペースはもちろん、出入り口を通過できるかも問題でしょう。建具が開き戸の場合扉の開閉に必要なスペースも確保しなければならないため、建具を替えるのであれば引き戸にするのがおすすめです。
トイレのスペース拡張工事は周辺に拡張するスペースがあることは前提となりますが一度壁を解体し、新たに壁を作ります。拡張工事はおよそ15万円~30万円が相場で、扉を引き戸に交換する工事では4万円~10万円ほどを想定しておきましょう。
段差や敷居は転倒のリスクがあり、杖をついての歩行や車いすでの生活には不向きです。バリアフリーリフォームによって、段差のない床やスロープを設置することで転倒のリスクを軽減できます。
段差のない床へのバリアフリーリフォームの費用はだいたい5万円~10万円です。簡易的な方法としてスロープを設置するのも有効で、この場合の設置についてはサイズにもよりますが、1,000円~4,000円程度と簡単に設置ができます。
トイレ内への手すりの設置は、動線確保のために有効です。手すりを設置することで便座への立ち座りに力が入り、転倒防止にもつながります。手すりにはL字型やI字形、波状など種類も豊富で、滑りにくさや力の入りやすさなど用途や場所に合わせて設置します。
手すり設置の相場は工事費と合わせて1万円~10万円です。設置する壁に十分な下地がなければ設置することができないため、状態によっては下地補強工事などが必要になります。設置の際には必ず大工など専門知識を持つ職人に相談しましょう。
トイレリフォームではトイレ内の床を滑りにくい床にしたり、掃除しやすい床へ張替えるリフォームも可能です。たとえば素材の柔らかいクッションフロアにすることで衝撃を吸収し、より安全性を高めることができます。クッションフロアの張替えや上張りを行う場合はおよそ1万円~2万円ほどで完了します。
トイレの交換を考えている場合は多機能トイレと呼ばれる機能が豊富なトイレがおすすめです。多機能トイレの機能としては人感センサーを用いた自動開閉式の便座や温水洗浄便座など高齢者や身体の不自由な方には便利な機能が多く搭載されています。
また、レバー式ではなくリモコンタイプにすることで立ち座りの動きも軽減でき、快適に使用できるでしょう。多機能トイレは求める機能によって値段が大きく変わりますが、本体代のみで10万円~40万円ほどを見積もっておきましょう。
寝室の近くの部屋にトイレを増設したり、ベッドの横に移設をするといった工事が必要なケースも存在します。これは移動が困難な高齢者や要介護者のために行うことが多く、トイレに行くストレスを軽減する役割もあります。
この工事では配管を設置できる部屋なのかを考える必要があるため安易に行える工事ではありませんが、PanasonicのアラウーノVにある圧送タイプのようなトイレの開発も進んでおり、本来設置が難しかった場所でも設置ができるようになってきました。費用は工事規模で変わりますが30万円以上を想定しておきましょう。
バリアフリーリフォームのポイント
ここまではバリアフリーリフォームの具体例を紹介しましたが、トイレだけでもたくさんの施工方法があることがわかります。ここでは実際にバリアフリーリフォームを行うにあたって気をつけるべきポイントや知っておくべきことを紹介します。
バリアフリーリフォームを考えるのであれば現在使いやすい状態にすることだけでなく将来を見据え、10年後、15年後先を見据えた工事プランを考えておくことが重要です。
たとえば、今は少し足が不自由ではあるものの自力での歩行は可能な状態だとしても、10年後には車椅子生活を余儀なくされるかもしれません。また、今は元気であっても年齢とともに筋力は必ず低下するため、現在普通にできていたことが数年後にはできなくなる可能性もあります。
そのため今の状態に合わせたバリアフリーリフォームだけを検討するのではなく、将来のために車いすでも移動しやすいスペースを確保しておいたり、追加の工事を段階的にできるような工事プランを練ることで、耐用年数によるトイレや内装の劣化などにも対応できる失敗しないリフォームになります。
トイレのバリアフリーリフォームでは介護保険を適用して行うことも可能です。介護保険が適用されるケースには利用する被保険者が、要支援や要介護の認定をお住まいの自治体から受けている必要があります。要支援や要介護には段階があり、要支援1~2、要介護1~5と数字が大きくなるほど手厚い支援が受けられます。住んでいる地域の情報については役所や地域包括支援センター、ケアマネージャーにご確認ください。
介護保険を利用することで施工金額の最大9割の補助を受けることができます。1割の負担で介護リフォームを行えるためお得な制度ではありますが、事前に申請を行う点や申請書類など注意すべきことが多いので担当のケアマネージャーに相談してすすめるようにしましょう。