介護保険でお得にトイレリフォームを!
家族に介護が必要になり、在宅介護を検討している方はリフォームの必要性に迫られるかもしれません。介護リフォームは住み慣れた家を改修し、介護を必要とする方の危険な場所をなくし、生活環境を安全にするために行います。
ここでは、介護を目的としたリフォームを行う場合の工事内容や費用相場、さらには介護保険を利用したリフォームについて解説します。
自宅の介護リフォームを考えている方はぜひご一読ください。
介護保険はどういうときに使える?
介護保険で利用できるサービスの種類を大きく分けると、在宅・施設入居・福祉用具レンタル・住宅改修の4つです。
- 訪問型サービス・・・訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリ
- 通所型サービス・・・通所介護、通所リハビリ、通所看護、短期入所介護
- 訪問型、通所型複合・・・小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護
- 介護保険施設・・・老人保健施設、特別養護老人ホーム、療養型医療施設、医療院
- 特定施設入居者生活介護・・・介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウス
- 地域密着型・・・認知症対応型グループホーム
- 車椅子や手すり、スロープなどに利用できます。
- 在宅で安心して暮らすための介護リフォームの費用に利用できます。
介護保険を利用するには、要支援または要介護の認定を受けていることが条件になります。住宅改修の場合は、要支援1~2、要介護1~5の認定に加え、下記の条件を満たしている必要があります。
- 介護施設で暮らしていない
- 入院していない
- 介護施設や病院から自宅に戻ることが決まっている
介護保険を利用したリフォームは、要介護者が自宅で日常生活を送りやすくするための工事が目的です。
- 歩く時につかまる物がない
- 段差があってつまづいてしまう
- トイレの便座が低く立ち上がれない
- 座ると立ち上がれない
- ベッドから起き上がれない
上記のような問題がある場合、介護保険を利用して自宅の一部を改修し、動きやすい生活環境を整えます。
要介護者の身体状態に応じて対象の工事を行います。介護保険を利用したリフォームの流れは次のとおりです。
- ①ケアマネジャーに相談
- ②ケアマネジャーは目的に応じた住宅改修プランを作成
- ③申請書類を居住している自治体へ提出(事前申請)
- ④審査通過後、工事着工
- ⑤工事完了後に申請(事後申請)
- ⑥受給
リフォームは、ケアマネジャーに相談、申請し、工事完了後も事後申請を行う場合もあるので、事前に確認することが大切です。
対象工事の内容
介護保険を利用したリフォーム対象工事の内容は次のとおりです。
- ①手すりの取付け
- ②段差の解消
- ③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料変更
- ④引き戸等への扉の取替え
- ⑤洋式便器等への便器の取替え
- ⑥その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
以上6つが介護保険が利用できる工事内容です。2および3については玄関から道路までの屋外工事も対象になっています。
手すりの取り付けにより、立ち座りが必要なトイレやでの移動をスムーズに行えるようになります。置き型の手すりはレンタルの福祉用具になるため、住宅改修の対象外なので注意が必要です。
手すりを取り付ける場所や範囲によって費用は変わりますが、取付工事の費用相場は大体2万円~18万円です。
段差を解消することで、移動時のつまづきを防止し、スムーズな移動ができます。リフォームの対象範囲は、廊下や部屋間の接続部、トイレです。
費用相場は2万円~15万円程度で、段差の種類によって工事方法が異なります。
滑りを防止し移動を円滑にするため、床又は通路面の材料を変更します。床や通路に滑り止めを取り付けたり、滑りづらい材料に変更することで転倒を未然に防ぎます。模様替えなど転倒防止の目的以外の材料変更は適用外です。
材料を変更する面積などによって費用は変わり、費用相場は次のとおりです。
- 玄関、廊下:3,000円/㎡
- 浴室:4万円~20万円
- 階段:10万円~
開き戸から引き戸への扉の取替えも住宅改修の範囲です。
開き戸から引き戸へ替えることでスペースを有効活用できます。大きく間取りを変えずに歩行器や手すりのスペースを確保できるだけでなく、介護補助も行いやすくなります。引き戸には多くの種類があるため、力を込めにくい状態でも開けやすい扉を選択することが大切です。
既存ドアの撤去、新しいドアの商品費用、設置費用を合わせると約10万円~15万円で施工できます。
和式便器から洋式便器等への便器の取替えや位置の変更も介護保険の適用対象です。
立ち座りのしづらさを解消することが目的ですが、今よりさらに立ち上がりやすい洋式便器への変更も可能です。
費用相場の目安は交換するトイレにもよりますが、和式から洋式への交換の場合は20万円~60万円ほどをみておくとよいでしょう。さらに位置を変更する際には配管接続や関連する床や壁の工事が必要となるため100万円近く見積もっておくと安心です。
新しく温水洗浄便座を設置する場合はコンセントの新設費用も考えておきましょう。
住宅改修工事によっては壁や床などの下地の補強など付帯して改修が必要な場合もあります。
付帯して必要となる住宅改修に伴う費用は、対象工事によって異なるため、見積もりの段階で確認しておきましょう。
地方自治体での補助金
介護保険以外でも住宅改修費用を助成する補助金制度を設けている地方自治体もあります。ここでは一例として、姫路市の住宅改修補助金制度について紹介します。
- 支給条件:居宅介護住宅での手すりの取り付けや段差等の解消など比較的小規模な改修において補助する
- 利用限度額:20万円(1回の工事で20万円に満たない場合は数回に分けて利用できる)
- 受け取り方:ケアマネジャーに相談後、改修工事前に必要な書類介護保険の窓口で事前申請し、工事完了後に再度書類を作成し提出すれば、住宅改修費の9割相当額が支給されます。
兵庫県姫路市では、高齢者や身体障害者を対象に自宅のバリアフリー改修工事に対する助成金制度があります。
- 対象工事:玄関・居室・浴室・洗面所・便所・廊下・階段・台所のバリアフリー化
- 助成対象限度額:80万円
- 所得等の要件:生計中心者の前年所得が600万円以下、かつ昭和56年5月以前に建築している場合は耐震診断が必要です。
タンクレストイレへのリフォームはおすすめ?
節水トイレの普及率も年々増加し、高機能なトイレの需要が高まっています。トイレリフォームを考えている方の中にもタンクレストイレへリフォームしたいという方も少なくありません。ここではタンクレストイレのメリットやデメリットおすすめ商品について詳しく解説します。
タンクレストイレのメリット
タンクレストイレは従来のトイレと比較して高性能で、多くの機能が追加されていることは言うまでもありません。しかし、メーカーや商品によっても搭載されている機能は異なり、同じ機能でも節水効果や洗浄方法などに違いがあります。ここではタンクレストイレにトイレリフォームを行うことで従来のトイレと比較してどのようなメリットがあるのかを紹介します。
- 節水機能による節約効果が期待できる
- 省スペースでデザイン性に優れる
- お手入れがしやすい構造
従来のトイレではレバーを回すとタンクの栓が外れ、タンク内に貯まっている水が一気に流れ出すことで排泄物を流します。一方、タンクレストイレでは水道管と直結するポンプを電気の力で動かして水流を作り水を流します。
これによりタンクレストイレは高い節水効果を生み出すことができます。実際にタンクレストイレは1回あたりの水量でおよそ13Lを必要とする旧式のトイレと比較すると、30~40%程度の4~5Lの水量ですみます。水が少ないことでトイレつまりを懸念する方も多いですが、洗浄方法を工夫することで正しく使用すれば少ない水でしっかりと流すことができるように設計されています。
タンクレストイレはトイレ後方に設置されている大きな貯水タンクがありません。そのため外観が簡素ですっきりとしていてスタイリッシュという言葉がしっくりきます。実際にタンクレストイレはタンクがない分、タンク式トイレよりも高さが30~40cm、奥行きが10~20cmほど小さくなり、トイレの室内が今までよりもかなり広く見えます。
便座の蓋が閉まっているときは一種の球形のようなデザインをしている製品もあり、高いデザイン性で高級感すらを感じられるようなものなどトイレとしての用途プラスアルファとしてインテリアとしての側面も持ちます。
タンクレストイレは内蔵型のタンクが水道管と直結しており、一体型の構造をしています。トイレではトイレ後方にある貯水タンクの外観周辺がデッドスペースとなり、掃除しにくくほこりがたまりやすいのですが、このスペースないので掃除が格段に手軽になります。
タンクがないことでトイレ全体の凹凸やつなぎ目が少なく、拭き掃除の手間も減らせる点はありがたく、日頃から清掃を行う際に短時間で清潔さを保つことが見込めます。
タンクレストイレのデメリット
ここまではタンクレストイレのメリットを解説しましたが、どんな製品にもデメリットは存在します。リフォームの際にはメリットだけでなくデメリットまで理解をし、どのトイレが自分に合っているのかを考えて設置を行うようにしましょう。
- 別途手を洗う場所が必要
- 水圧の問題で設置できないこともある
- 故障時に部品交換ができない
従来のトイレでは貯水タンクに水を貯める際に上部から手洗い用の水が流れてくる構造になっています。タンクレストイレには貯水タンクがないことで手洗器がついている製品は少なく、トイレ室内で手を洗うことができません。
そのためすぐ近くに別途手洗器を用意する必要があります。室内にスペースがあれば手洗器やカウンター型の洗面を設置できますが、スペースが狭い場合には室外に独立洗面台を置くなどの工夫が必要になります。
タンクレストイレは給水管から水を引き込んでは洗浄を行います。そのため、高層マンションやビルなどの高層階のような場所では水圧が弱く、設置条件を満たせない場合があります。水道の水圧を利用するタンクレストイレでは水圧が弱いことでしっかりと流すことができずにトイレつまりの原因となるおそれがあります。
TOTOのネオレストシリーズでは内蔵の加圧装置を用いることで水圧の低い場所でも設置できるような工夫がされています。このような商品を使用すれば高層階でも問題なく設置は行えますが、リフォーム前に水圧検査を依頼しておくと安心です。
タンクレストイレは電気で制御されているので、停電時には手動もしくは乾電池を使用して水を流す必要があります。また、不具合や故障があると個人では対応が難しく、たとえばタンクレストイレはどの市販品も温水洗浄便座が標準装備となっているためウォシュレットが故障した場合は取り外しができず、便座のみの交換で修理を行うことができません。
従来のトイレでは故障時に部品交換で済んでいたようなケースでも本体ごと交換が必要になるケースもあることを頭に入れておきましょう。
おすすめのタンクレストイレ
タンクレストイレのメリットとデメリットを把握したところでここからはおすすめのタンクレストイレを紹介します。現在リフォームで使用されることの多いタンクレストイレを主要3メーカーを中心に4つ説明します。
ネオレストRSはネオレストシリーズの中でも比較的安価な製品です。ネオレストシリーズの基本機能であるお掃除リフトなどの機能はついていますが、フチなしウォシュレットのような機能は付随していないため注意が必要です。
ネオレストRSはタンクレストイレに安価でリフォームをしたい方や、不要な機能があり、機能が十分だと感じる方におすすめです。また、機能が限られていることで子供や老人の方でも使いやすいので同居を見据えたリフォームをする際に採用されやすい商品です。
ネオレストASは直線的でシンプルなデザインのタンクレストイレです。ネオレストRSよりもハイグレード版で値段も高めですが、便器の洗浄機能や便座暖房機能などがさらに充実しています。機能だけでなく見た目にも差別化点があり、やや丸みを帯びたデザインのネオレストRSよりも直線的なデザインをしています。
サティスシリーズの中でもコンパクトさが売りのサティスSタイプは奥行650mmのコンパクトボディにすることで空間だけでなく快適さにもこだわっています。タンクレストイレのデメリットでも解説した手洗器の問題はサティスSタイプのようなサイズ感であれば設置もしやすく、広々とトイレを使えます。
アラウーノS160はアラウーノシリーズの中でも安価で採用しやすく、コストを抑えながらタンクレストイレへリフォームをしたい方におすすめです。アラウーノシリーズの基本性能である有機ガラス系のスゴピカ素材やターントラップ機能などはそのままで、より高機能性にこだわりがなければ十分すぎる性能です。表面の凹凸も少ないため日頃のお手入れもラクラクです。