トイレリフォームで手すり設置時の注意事項
日々過ごすうえで欠かせないトイレでは、座ったり立ち上がったりと、思ったよりも身体に負担がかかる動作が使われています。
怪我や介護を機に、また将来を考えてなど、ライフステージに合ったリフォームを考える方が少なくありません。
今回はトイレリフォームの内容や費用について紹介します。
手すりの形状と設置場所
手すりを設置することで重心をかけることができ、バランスが取りやすくなります。
手すりの種類は設置場所や形状によって下記のように分けることができます。
設置場所
- 壁に取り付けるタイプ
- 床に取り付けるタイプ
手すりの形状
- ハンドグリップ
- 立ち座りサポート用手すり
- 座位保持用手すり
ここではそれぞれの形状と、それに合った設置場所を紹介しますのでご自身の用途に合った手すりを選ぶ際の参考にしてください。
ハンドグリップは、とてもコンパクトなタイプの手すりです。トイレにじゅうぶんなスペースがないときでも設置することが可能です。
用途は主に立ち座りのサポートなので、ペーパーホルダーの上辺りの力が入りやすい場所に設置するのがおすすめです。
商品例
ハイロジック 木製手すり タテ・ヨコ兼用 価格:1,529円
立ち座りサポート用手すりは、Ⅼ字型手すりとも呼ばれています。ハンドグリップの用途をさらに強化した大きい手すりのイメージです。設置場所も同じくペーパーホルダーの上がおすすめです。
立ち座りサポート用手すりは、立ち座りのサポートに加え、Ⅼ字型になっていることから座っている時の姿勢を保持するサポートもしてくれます。
商品例
シロクマ どこでも手すりUタイプ L形 BR-241 価格:6,589円
座位保持用手すりは、I型手すりとも呼ばれています。主に便器に座ったとき、前方が壁になっているタイプのトイレに設置します。
前方が壁になっていないタイプのトイレでも設置することは可能ですが、少しスペースをとってしまうので、やや広めのトイレであることが条件となってしまうので注意しましょう。
座位保持用手すりは、座った目の前に手すりのサポートがあるので、座ったときにバランスをとることができます。
商品例
ユニトレンド 置楽手すり トイレ用 TAT-002T 介援隊カタログ T0890 価格:11,000円
手すりの設置には補助金や保険が適用できる
手すりの設置には、住んでいる地域によっては補助金を利用できたり、国の介護保険制度を利用できたりと暮らしに役立つ制度が存在します。
各種、条件や金額が異なるため、事前に確認することをおすすめします。
ここからは補助金と介護保険制度の内容を紹介します。
手すりの設置工事は住んでいる地域によって補助金を受け取れる制度があります。
補助金制度はリフォーム対象や支給金額、対象者が各自治体によって異なります。また、補助金を受けられない地域もあるので事前の確認が必要です。
ここでは補助金制度がある練馬区を例に挙げて、条件や金額、申請方法について紹介します。
練馬区の「自立支援住宅改修給付」制度では、練馬区在住の方で、65歳以上であり、要介護・要支援認定申請の結果が非該当の判定である方。また身体状況などに関する一定の要件を満たしている方が補助金対象者となります。
補助金限度額は20万円です。リフォームが補助金内で収まる場合の利用者負担額は1割相当となります。補助金内で収まらなかった場合は、限度額を超えた金額を利用者が負担することとなります。
申請手順
- ①ケアマネージャーまたは地域包括支援センターに相談
- ②工事内容の打合せ
- ③補助金の利用申請
- ④書類審査、審査後に決定通知書を送付
- ⑤工事着工
- ⑥事後申請、申請完了後に補助金振込
今回は練馬区の補助金申請を例に挙げて紹介しましたが、まずは一度ご自身の住んでいる自治体に相談してみることをおすすめします。
国の介護保険制度を利用する
手すりの設置工事では、国の介護保険制度を利用することが可能です。
条件としては、要介護または要支援の認定を受けている65歳以上の方で、工事を行う家は利用者が実際に住んでいる住居であることです。
さらに、この制度を利用する際には担当のケアマネージャーに理由書を作成してもらうことが必須となります。手すりの設置工事に支給される限度額は18万円です。
介護保険を利用する際の流れ
- ①各自治体から要介護の認定を受ける、ケアマネージャーに相談
- ②ケアマネージャーに手すり設置の理由書を作成してもらう
- ③各自治体の窓口にて申請手続きを行う
- ④申請が受理された後、リフォーム業者の選定と着工を開始
- ⑤工事完成後お住いの自治体に事後申請をし、補助金が支給される
注意が必要なのは、申請者となるのはケアマネージャーです。ケアマネージャーがいない場合には、地域包括支援センターに相談することをおすすめします。
厚生労働省公式ホームページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html
タンクレストイレへのリフォームはおすすめ?
節水トイレの普及率も年々増加し、高機能なトイレの需要が高まっています。トイレリフォームを考えている方の中にもタンクレストイレへリフォームしたいという方も少なくありません。ここではタンクレストイレのメリットやデメリットおすすめ商品について詳しく解説します。
タンクレストイレのメリット
タンクレストイレは従来のトイレと比較して高性能で、多くの機能が追加されていることは言うまでもありません。しかし、メーカーや商品によっても搭載されている機能は異なり、同じ機能でも節水効果や洗浄方法などに違いがあります。ここではタンクレストイレにトイレリフォームを行うことで従来のトイレと比較してどのようなメリットがあるのかを紹介します。
- 節水機能による節約効果が期待できる
- 省スペースでデザイン性に優れる
- お手入れがしやすい構造
従来のトイレではレバーを回すとタンクの栓が外れ、タンク内に貯まっている水が一気に流れ出すことで排泄物を流します。一方、タンクレストイレでは水道管と直結するポンプを電気の力で動かして水流を作り水を流します。
これによりタンクレストイレは高い節水効果を生み出すことができます。実際にタンクレストイレは1回あたりの水量でおよそ13Lを必要とする旧式のトイレと比較すると、30~40%程度の4~5Lの水量ですみます。水が少ないことでトイレつまりを懸念する方も多いですが、洗浄方法を工夫することで正しく使用すれば少ない水でしっかりと流すことができるように設計されています。
タンクレストイレはトイレ後方に設置されている大きな貯水タンクがありません。そのため外観が簡素ですっきりとしていてスタイリッシュという言葉がしっくりきます。実際にタンクレストイレはタンクがない分、タンク式トイレよりも高さが30~40cm、奥行きが10~20cmほど小さくなり、トイレの室内が今までよりもかなり広く見えます。
便座の蓋が閉まっているときは一種の球形のようなデザインをしている製品もあり、高いデザイン性で高級感すらを感じられるようなものなどトイレとしての用途プラスアルファとしてインテリアとしての側面も持ちます。
タンクレストイレは内蔵型のタンクが水道管と直結しており、一体型の構造をしています。トイレではトイレ後方にある貯水タンクの外観周辺がデッドスペースとなり、掃除しにくくほこりがたまりやすいのですが、このスペースないので掃除が格段に手軽になります。
タンクがないことでトイレ全体の凹凸やつなぎ目が少なく、拭き掃除の手間も減らせる点はありがたく、日頃から清掃を行う際に短時間で清潔さを保つことが見込めます。
タンクレストイレのデメリット
ここまではタンクレストイレのメリットを解説しましたが、どんな製品にもデメリットは存在します。リフォームの際にはメリットだけでなくデメリットまで理解をし、どのトイレが自分に合っているのかを考えて設置を行うようにしましょう。
- 別途手を洗う場所が必要
- 水圧の問題で設置できないこともある
- 故障時に部品交換ができない
従来のトイレでは貯水タンクに水を貯める際に上部から手洗い用の水が流れてくる構造になっています。タンクレストイレには貯水タンクがないことで手洗器がついている製品は少なく、トイレ室内で手を洗うことができません。
そのためすぐ近くに別途手洗器を用意する必要があります。室内にスペースがあれば手洗器やカウンター型の洗面を設置できますが、スペースが狭い場合には室外に独立洗面台を置くなどの工夫が必要になります。
タンクレストイレは給水管から水を引き込んでは洗浄を行います。そのため、高層マンションやビルなどの高層階のような場所では水圧が弱く、設置条件を満たせない場合があります。水道の水圧を利用するタンクレストイレでは水圧が弱いことでしっかりと流すことができずにトイレつまりの原因となるおそれがあります。
TOTOのネオレストシリーズでは内蔵の加圧装置を用いることで水圧の低い場所でも設置できるような工夫がされています。このような商品を使用すれば高層階でも問題なく設置は行えますが、リフォーム前に水圧検査を依頼しておくと安心です。
タンクレストイレは電気で制御されているので、停電時には手動もしくは乾電池を使用して水を流す必要があります。また、不具合や故障があると個人では対応が難しく、たとえばタンクレストイレはどの市販品も温水洗浄便座が標準装備となっているためウォシュレットが故障した場合は取り外しができず、便座のみの交換で修理を行うことができません。
従来のトイレでは故障時に部品交換で済んでいたようなケースでも本体ごと交換が必要になるケースもあることを頭に入れておきましょう。
おすすめのタンクレストイレ
タンクレストイレのメリットとデメリットを把握したところでここからはおすすめのタンクレストイレを紹介します。現在リフォームで使用されることの多いタンクレストイレを主要3メーカーを中心に4つ説明します。
ネオレストRSはネオレストシリーズの中でも比較的安価な製品です。ネオレストシリーズの基本機能であるお掃除リフトなどの機能はついていますが、フチなしウォシュレットのような機能は付随していないため注意が必要です。
ネオレストRSはタンクレストイレに安価でリフォームをしたい方や、不要な機能があり、機能が十分だと感じる方におすすめです。また、機能が限られていることで子供や老人の方でも使いやすいので同居を見据えたリフォームをする際に採用されやすい商品です。
ネオレストASは直線的でシンプルなデザインのタンクレストイレです。ネオレストRSよりもハイグレード版で値段も高めですが、便器の洗浄機能や便座暖房機能などがさらに充実しています。機能だけでなく見た目にも差別化点があり、やや丸みを帯びたデザインのネオレストRSよりも直線的なデザインをしています。
サティスシリーズの中でもコンパクトさが売りのサティスSタイプは奥行650mmのコンパクトボディにすることで空間だけでなく快適さにもこだわっています。タンクレストイレのデメリットでも解説した手洗器の問題はサティスSタイプのようなサイズ感であれば設置もしやすく、広々とトイレを使えます。
アラウーノS160はアラウーノシリーズの中でも安価で採用しやすく、コストを抑えながらタンクレストイレへリフォームをしたい方におすすめです。アラウーノシリーズの基本性能である有機ガラス系のスゴピカ素材やターントラップ機能などはそのままで、より高機能性にこだわりがなければ十分すぎる性能です。表面の凹凸も少ないため日頃のお手入れもラクラクです。