トイレの水漏れは自分で直せる?
冒頭にもあるように、トイレで水漏れトラブルが発生した場合、原因によってはご自身で修理することができます。また、トイレトラブルの多くの原因である「パッキンの不具合」によって水漏れが起こっている場合は、自分で簡単に修理が行えます。
とはいえ、根本的な原因を突き詰めていくと、自分で直せるものと直せないものがあるため、原因ごとに適した対処が必要です。
さらに、自分で修理を行う際には前提知識や道具が必要になります。以下より、症状別の対処法を紹介していきます。
【症状別】パッキン交換だけで直せる水漏れ
各部のパッキン交換だけで直せる水漏れの症状としては、以下の3つが挙げられます。
- レバーハンドルからの水漏れ
- 給水管の繋ぎ目からの水漏れ
- タンクの底からの水漏れ
それぞれの部品について、役割や水漏れを引き起こす原因などを確認しましょう。
レバーハンドルからの水漏れ
レバーハンドルは一般的にタンクの横についており、回すことでトイレの水が流れます。
タンク内の構造としては、レバーハンドルの先にフロートバルブと呼ばれるゴム製の栓がチェーンで繋がれています。レバーハンドルを回すことでフロートバルブが引き上げられ、トイレの水が流れる仕組みです。
レバーハンドルから水が漏れてしまう原因としては、レバーハンドルのパッキンの劣化が挙げられます。パッキンが劣化していると、タンク内の水位が上がった際に水を抑えることができず、タンクの外に水が漏れてしまうでしょう。
この場合は、レバーハンドルのパッキン交換が必要です。
給水管の繋ぎ目からの水漏れ
トイレの配管類から水漏れが起きやすい代表的な箇所として、「給水管」「止水栓」「分岐金具」の3つが挙げられます。
それぞれの特徴については、以下の通りです。
- 給水管:止水栓や分岐水栓、タンクを繋いで水を流す管
- 止水栓:トイレに流れる水を止めるための栓
- 分岐金具:給水管と繋がり流れる水を分岐させる
このような配管類や接続部分から水漏れが起こっている場合は、それぞれの箇所でパッキン交換をすることで解決できるでしょう。
タンクの底からの水漏れ
タンクの底から水漏れしている場合には、以下のような原因が考えられます。
- タンク底にあるパッキンの劣化
- タンクと便器を繋げる密結ボルトの緩みや劣化
- トイレタンク本体のヒビや故障
トイレタンク本体が壊れてしまっている場合には交換が必要ですが、目で見て異常が確認できないのであれば、パッキン交換とボルトの締め直し(またはボルトの交換)が必要です。
パッキン交換だけでは直せない水漏れの種類
トイレにおける水漏れでパッキン交換だけでは直せないものとして、以下の4種類が挙げられます。
- タンク内部の不具合
- フラッシュバルブの故障
- 便器の劣化・故障
- ウォシュレットの不具合
それぞれのパターンについて、各部の役割や水漏れの原因、必要な修理内容などを確認していきましょう。
タンク内部の不具合
タンク内部には、トイレに水を流したり水量や水位を調整するためのさまざまな部品があります。
なかでも、水漏れ時には以下の3つの部品で不具合が起きている可能性が高いといえます。
- 給水管とタンクを繋ぐ接続ナット
- ボールタップ(浮き玉)
- フロートバルブ
まず、接続ナットが緩んでいた場合は、タンクの横から水が溢れてしまいます。接続ナットがしっかりしまっているかを確認し、緩んでいる場合は締め直しましょう。
次に、ボールタップ(浮き玉)とはタンクへの給水量を調整する球体のことです。このボールタップの不具合によってタンク内の水位調整が上手く行えないと、タンク内の水位が足りない状態と判断し、タンクへの給水が止まらない状態となってしまいます。
また、フロートバルブとはレバーハンドルと連携して水を便器に流したり止めたりするゴム栓のことであり、これが上手く作動しないことでタンクから便器へと水が漏れてしまいます。
ボールタップやフロートバルブに不具合があった場合、それぞれの部品の修理や交換が必要です。
フラッシュバルブの故障
フラッシュバルブに故障や不具合があると、水漏れが発生します。
フラッシュバルブは便器に流れる水の量を調整するバルブのことで、商業施設や古い住宅などではこのフラッシュバルブ式のトイレが使われていることが多いです。
フラッシュバルブの水漏れが起こる箇所と原因、対処法は以下のとおりです。
箇所 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
レバー部分 | ・レバー部分の緩み ・パッキンや内部パーツの故障 |
・緩みを締め直す ・パッキンや内部パーツの交換 |
給水管の接合部 | ・接合部の緩み ・パッキンの劣化 ・管内のつまり |
・緩みを締め直す ・パッキンの交換 ・つまりの除去 |
給水管や付け根 | ・管の亀裂 ・パッキンの劣化 |
・管の交換 ・パッキンの交換 |
フラッシュバルブが故障し、上記のような水漏れが発生してしまった場合、パッキンの交換や結合部の緩みを閉め直すことで解決できる場合もあります。
しかし、それでも水漏れが解消されない場合は、業者に相談した方が得策です。
便器の劣化・故障
便器が故障することは稀なパターンですが、もし壊れてしまった場合にはできる限り早く修理するようにしてください。
小さいヒビ割れだったとしても、そのまま使い続けていると大きなトラブルに繋がりかねません。便器の交換が必要になるため、もし便器に異常が見つかった場合にはなるべく早く業者に相談するようにしましょう。
ウォシュレットの不具合
ウォシュレット本体の不調により水漏れが起こる場合もあるため、以下の箇所で不具合が起きていないかを確認しましょう。
- 給水管と繋がっているナット
- 水抜栓
- ノズル
給水管付近から水が漏れている場合は、ナットが緩んでいないかを確認し、もし緩んでいる場合はレンチで締め直してください。
また、水抜栓とはウォシュレットの水を排出する役割を持っており、この水抜栓の劣化により水が漏れてしまうことがあります。この場合は水抜栓本体の交換が必要です。
さらに、ウォシュレットのノズルから水が流れて止まらない場合には、ノズルの汚れや内部部品の異常が考えられます。ノズルの掃除を行っても水漏れが直らない場合、業者に依頼してウォシュレットの交換もしくは修理を行いましょう。
トイレのパッキン交換で用意するもの
トイレの水漏れは、パッキンの交換で直せるケースが多いことが分かりました。
ここからは、パッキン交換をするうえで必要な工具や事前にやっておくべきことについて解説します。
必要な工具
どの部品においても、パッキンを交換する際には以下の道具が必要です。
- モンキーレンチ
- マイナスドライバー
- 新しいパッキン
注意点として、適したサイズのパッキンを買うことが挙げられます。パッキン自体は高いものではなく、ホームセンターや通販などで簡単に手に入りますが、サイズを間違えてしまうと水漏れが直らないため気をつけてください。
パッキンのサイズはトイレの説明書を見ると分かることがほとんどです。もしパッキンのサイズが分からない場合は古いパッキンをお店に持っていき、同じものを探すか店員さんに聞いてみると良いでしょう。
パッキン交換の前にやっておくべきこと
いざパッキンを交換しようとする前に、トイレの止水栓を閉めてタンクに水が流れないようにする必要があります。
止水栓はマイナスドライバーで時計回りに閉め、完全に回らなくなるまで締め切りましょう。
止水栓を閉める際には何回栓を回したか覚えておき、修理後に同じ回数だけ緩めるようにしてください。
また、トイレの止水栓が見つからない場合や固くて回せない場合には、水道の元栓を閉めることでも作業を進められます。
ただし、水道の元栓を閉めると家全体の水が止まってしまうため、あらかじめ水が使えなくなることを把握しておきましょう。
水が止められたら、レバーを回してタンク内の水を抜きましょう。水が抜けたら、修理を開始できます。
【箇所別】パッキン交換でトイレの水漏れを修理する方法
ここからは、実際にパッキン交換するための手順について、以下の3パターンを紹介していきます。
- レバーハンドルのパッキン交換
- 配管の接続部分のパッキン交換
- タンク底のパッキン交換
パッキン交換の手順は基本的に同じ流れとなっていますが、それぞれの箇所ごとに交換方法を確認していきましょう。
レバーハンドルのパッキン交換
レバーハンドルのパッキンを交換する際には、新しいパッキンとモンキーレンチを使います。
以下のような手順で、パッキンを交換しましょう。
- 止水栓が閉まっていることを確認し、タンクのフタを開ける
- レバーハンドルとチェーンを外す
- タンク内からレバーハンドルについているナットをレンチで外す
- ハンドルを取り外し、古いパッキンから新しいパッキンに交換する
- ハンドルを取り付け、ナットを閉める
- チェーンを繋げてタンクのフタを閉める
- 止水栓を開けて水漏れが直ったことを確認する
ナットの締め具合が緩いと水漏れが直らないことがあります。反対に、締めすぎてしまうとタンクが破損してしまうこともあるため、適度な締め具合にしましょう。
配管の接続部分のパッキン交換
給水管や止水栓、分岐金具など配管関連のパッキンを交換する場合は、モンキーレンチと新しいパッキン、そして止水栓のナットを外すためのウォーターポンププライヤーが必要です。
パッキン交換の手順について、それぞれの手順を確認していきましょう。
給水管のパッキンを交換する手順
給水管のパッキン交換は、以下の手順で行います。
- 止水栓が閉まっていることを確認し、タンクのフタを開ける
- モンキーレンチでタンクと給水栓の間のナットを緩める
- 接続部分にあるパッキンを新しいものに交換する
- ナットを締め直して止水栓を開ける
- 水漏れが解消されたことを確認できたら完了
2の手順において、ナットを緩める際に手元が安定しない場合は手で抑えながらナットを回すようにしてください。
また、レバーハンドルのパッキン交換と同様に、ナットを締め直す際は適度な締め具合に調整し、きつすぎたり緩すぎたりしない ように注意しましょう。
止水栓のパッキンを交換する手順
止水栓のパッキンを交換する際には、止水栓を閉めていても水を止めることはできません。必ず水道元栓を閉め、完全に水を止めた状態 で作業を始めてください。
また、止水栓のパッキン交換では水が溢れて床や壁を濡らしてしまう可能性があるため、バケツを用意しておきましょう。さらに、止水栓が床から出ているタイプのものもあるため、その場合は雑巾を敷いて対策をしましょう。
パッキンを交換する手順は以下の通りです。ここでは、新しいパッキンのほか、ウォーターポンププライヤーを用意しておくようにしてください。
- 水道元栓を閉め、漏れた水を受けられるようにバケツや雑巾を用意する
- 止水栓のナットをウォーターポンププライヤーを使い反時計回りで外す
- スピンドルと三角パッキンを取り外す
- コマパッキンを古いものから新しいものに交換する
- スピンドルと三角パッキンを付け直す
- 止水栓のナットを閉める
- 水道元栓を開けて水が漏れていなければ完了
手順3にあるスピンドルとは、レバーの動きに合わせて上下し水量を調節する金属部品のことです。また、三角パッキンは止水栓から水漏れしないためのパッキン、コマパッキンはトイレに給水する水を止めたり流したりするパッキンのことをいいます。
パッキン交換の際、もし三角パッキンも劣化している場合は併せて交換しましょう。
繰り返しになりますが、ナットを閉める際はきつすぎたり緩すぎたりしないように注意してください。
分岐金具のパッキンを交換する手順
分岐金具のパッキン交換についても、水が溢れる可能性があるためバケツを用意しておきましょう。
パッキン交換の手順は以下の通りです。
- 止水栓を閉め、溢れた水を受けられるようにバケツを下に置く
- モンキーレンチで給水管と分岐水栓を繋げているナットを反時計回りで外す
- 古いパッキンを取り外し、新しいものに交換する
- ナットを締め直す
- 止水栓を開け、水漏れが解消されていれば完了
比較的簡単な手順で行えますが、こちらについてもナットの締め具合には注意しましょう。
タンク底のパッキン交換
タンク底のパッキンを交換する場合は、タンクと便器を取り外して大掛かりな作業が必要となります。そのため作業がかなり大変であり、素人では難しいといえます。
もし作業の過程でトイレそのものを故障させてしまった場合、余分な修理費がかかってしまいますのでなるべく業者へ依頼することがおすすめです。
ここからは、ご自身でタンク底のパッキン交換を行う方向けに、手順を解説していきます。作業が厳しいと感じたら、無理せず業者へ相談しましょう。
参考までに、パッキン交換の手順は以下の通りです。
- 止水栓を閉め、レバーを回してタンク内の水を全て流す
- モンキーレンチでタンクと繋がっている給水管のナットを外す
- モンキーレンチでトイレの裏にある2つの固定ナットを外す
- 落としたりぶつけたりしないように注意してタンクを取り外す
- タンク底にあるパッキンを新しいものに交換する
- タンクを取り付け、裏面に2つのナットを取り付ける
- 給水管とタンクを繋ぎ直す
- 止水栓を開けて水を流し、水が漏れていなければOK
パッキン交換をしてもなお水漏れが止まらない場合は?
上記で紹介したようなパッキン交換をしても水漏れが直らない場合、別の問題が考えられます。
- パッキン交換の過程で締め付けが緩かった
- パッキンのサイズが違う
- 水漏れしている管に汚れやゴミがついている
もしパッキン交換で直せる水漏れにおいて、上記3つを対処しても水漏れが止まらないのであれば、業者へ相談することをおすすめします。
それでは、それぞれの問題と対処法法を確認していきましょう。
パッキン交換の過程で締め付けが緩かった
パッキン交換の手順の際にも述べましたが、パッキンを交換したあとに部品や配管を取り付ける際の締め具合には、十分に注意する必要があります。
締め付けが緩いとその箇所から水漏れが起きてしまうため、せっかくパッキン交換をしても水漏れは解消されません。
また、締めすぎると部品や配管、タンクそのものの破損につながりかねないため、注意が必要です。
適切な締め付け具合にするためには、緩すぎずきつすぎない程度で、なおかつ水漏れの度合を確認しながら作業を進めていくしかありません。そのため、作業が難しい場合には迷わず業者へ依頼することでさらなるトラブルを防げるでしょう。
パッキンのサイズが違う
せっかくパッキン交換をしても、パッキンのサイズが違うと水漏れは直りません。違うサイズのものを買ってしまわないように、互換性のあるものを探して購入するようにしましょう。
また、パッキンのサイズが合っているのに水漏れが止まらない場合は別の原因が考えられるため、なるべく早く業者へ相談すると安心です。
もし古い年式のトイレで適合するパッキンが見つかりにくい場合も、業者へ相談すると早く解決できるでしょう。
水漏れしている管に汚れやゴミがついている
トイレを長く使っていると、配管に汚れやゴミが溜まり、水漏れの原因となってしまう場合があります。
パッキン交換の際には配管類も一緒に掃除し、ゴミを取り除くようにしてください。また、ゴミではなく傷がついていたり錆びていたりする場合は、配管そのものの交換が必要になるため、業者へ連絡して修理するようにしましょう。
まとめ
今回は、トイレの水漏れ修理の方法として代表的な、パッキン交換についてそれぞれの箇所の手順を解説しました。
トイレで水漏れしてしまう多くの原因はパッキンの劣化であることが多いとはいえ、原因によっては別の部分で異常が発生していることも考えられます。
パッキン交換をしても水漏れが解消されない場合や、パッキン交換が難しいと感じた場合は、専門業者に相談して修理してもらうようにしましょう。
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