トイレのつまりはなぜ起こる?
トイレのつまりを予防するには、つまりが起こる仕組みについて知る必要があります。
ポイントは、「どこで」「何が」つまるのかを押さえることです。
トイレには、構造的につまりやすい箇所があります。なぜそこでつまってしまうのかがわかれば、予防することは可能です。
また、つまりの原因となる物には、いくつか典型的なものがあります。何がトイレにつまりやすいのかがわかれば、事前に対策を取ることができるでしょう。
適切な予防策をとるために、まずはトイレのつまりが起こる要因について解説します。
洋式トイレの構造
多くの家庭で使用されている洋式トイレは、毎日快適に使えるように、特殊な構造をしています。
トイレを快適に使うための仕組みの1つに、「封水」があります。
封水とは、常に便器内に溜まっている水のことです。排水管から悪臭や害虫が発生するのを防いだり、便が便器に付着するのを防いだりする役割を持っています。
封水を溜めるために、トイレ本体の排水路は半円を描くように湾曲しています。お椀のような形にすることで、水を溜めているのです。
トイレに流した水は、湾曲した排水路をせり上がるように流れて行き、それを越えると、さらに奥の下水管へ流れ落ちていきます。このせり上がった部分のことを、「せき」と呼びます。
せきを越えられなかった水が、封水として便器内に溜まるのです。封水の水位は、せきの高さによって決まります。
トイレのつまりが起こりやすい箇所は?
トイレのつまりが起こりやすいのは、排水路の「せき」の部分です。
せきでつまりが起こる理由は、次の2つです。
- 水の勢いが弱い
- 水に流すものが多すぎる
せきはせり上がった排水路の出口にあたる部分ですので、これを越えるには水の勢いが必要です。水の勢いが弱いと、せきを越えられずにトイレットペーパーや排泄物がつまってしまいます。
水の勢いが弱くなるのは、タンクに問題がある可能性があります。部品が適切に機能しているか点検し、無理な節水を控えることで予防しましょう。
また、一度に大量のものをトイレに流しても、つまりを引き起こしてしまいます。大量に流したトイレットペーパーなどが溶けきれずに塊となり、せきを越えられずにつまってしまうからです。
大量のトイレットペーパーや排泄物を流す際は、一度に流さず、何度かに分けて流すことが予防策となるでしょう。
トイレがつまる原因とは?
次に押さえるべきは、トイレに何がつまりやすいのかを把握することです。
トイレのつまりの原因となるものには、大きく分けて2種類あります。
- 水に流せるもの
- 水に流せないもの
水に流せるものとは、例えば次のようなものです。
- トイレットペーパー
- 排泄物
- 水に流せるトイレクリーナーなど
これらは本来水に溶けやすいものですが、一度に大量に流すと、せきでつまってしまいます。
一方、水に流せないものとは、以下のようなものです。
- スマホなどの固形物
- ティッシュペーパーや紙おむつなど水に溶けない紙類
- ペット用のトイレ砂
- 食品や嘔吐物
これらは水に溶けることがないので、流してしまうとつまる可能性が非常に高いです。
水に流せるものが原因のつまりは、流す量に気をつけることが一番の予防策になります。また、仮につまらせてしまっても、自力で直すことが可能です。
水に流せないものが原因のつまりは、そういうものを流さない・持ち込まないことが予防策となるでしょう。つまらせてしまった場合は、自力で直すことが難しいので、専門業者に依頼して取り除いてもらいます。
トイレのつまりの原因については、以下の記事も参考にしてください。
日常生活で実践!トイレのつまりの予防策
トイレのつまりを予防するには、常日頃から適切にトイレを使うよう意識することが肝心です。
日常生活でトイレを使う際、ほんの少し気をつけるだけで、トイレをつまらせる確率はぐんと下がります。日々実践することで、習慣づけていきましょう。
ここでは、トイレのつまりを予防するために、日常生活で実践できることを紹介します。
水に流せるものだけを流す
まず基本的なこととして、トイレに流してよいものだけを流すようにしましょう。
トイレに流してよいのは、基本的にトイレットペーパーと排泄物のみです。同じ紙だからとウェットティッシュやティッシュペーパーなどを流すと、水に溶けずにつまってしまう可能性があります。
水に流せるトイレクリーナーなどはトイレに流すことができますが、製品の中には水に溶けにくいものもあります。トイレットペーパーに比べてつまりやすくなっているので、確実な予防策をとるなら、トイレに流さない方が賢明です。
もちろんスマホやおもちゃのような固形物は、絶対に流してはいけません。食品や嘔吐物、たばこの吸い殻なども、気軽にトイレに流している方がいるかもしれませんが、つまりの原因となるので流さないことが予防になります。
一度に大量に流さない
一度に流す量を調節することも有効な予防策です。大量に流したものはせきを越えられずにつまってしまいます。
具体的な予防策としておすすめなのが、便とトイレットペーパーを別々に流すことです。排便後に流し、おしりを拭いた後にもう一度流すことで、一度に流す量を減らすことができます。
水道代がもったいないと感じるかもしれませんが、ひとたびトイレをつまらせてしまうと、直すのに時間を取られ、専門業者に修理費用を払うことになるかもしれません。こまめに流してつまりを予防することが、時間やお金を節約することにもつながるのです。
無理のある節水は控える
節水は経済的にも環境的にも大切なことですが、トイレを適切に使用する上で必要な水さえ節約するのはよくありません。
トイレを使う上で無理のある節水とは、次のようなものです。
- タンクの中にペットボトルを入れる
- 大便を小レバーで流す
- 小便は流さない
トイレのタンクは、流すのに必要な量の水を溜めるように設計されています。ペットボトルを使ってタンクの水量を無理に減らすと、水の勢いが弱まり、つまりを引き起こしてしまうのです。
また、大便を小レバーを回して流す行為も、水の勢いを弱めてしまい、つまりの原因となってしまいます。
加えて、節約のために小便は流さずに溜めておく行為は、尿石によるつまりを引き起こす可能性があります。尿石は尿に含まれるカルシウムが結晶化したもので、排水管に付着して水の通り道を狭め、つまりやすくしてしまうのです。
無理な節水は確かに水道代を節約しますが、つまりのリスクを高め、余計な修理費用を払う可能性を高めてしまいます。控えるようにしましょう。
トイレ内に物を置かない・持ち込まない
トイレを少しでも気持ちよい空間にしようと、小物を飾っている方も多いと思います。しかし、小物を誤ってトイレに流してしまうと、非常に厄介なつまりの原因となります。
トイレ内には、極力物を置かないようにするのが賢明です。特に不安定なタンクの上などに小物や掃除用具を置いていると、少しの振動で倒れてトイレに流される危険性があります。
また、トイレ内にスマホなどを持ち込む行為もおすすめできません。誤ってトイレに落としてしまう可能性があるからです。
自宅のトイレに入る時は、ポケットの中も含め、物を持ち込まないようにすることが、つまりの予防策となります。
こまめに掃除を行う
トイレの掃除をこまめに行うことも、つまりの予防になります。
排水管に汚れが付着していると、水の通り道が狭まります。汚れにトイレットペーパーなどがくっつきやすくもなるため、つまりが起こりやすくなるのです。
トイレ用の洗浄剤を用いて、定期的に排水管をきれいにすることが大切です。トイレの排水管専用の薬剤は、錠剤タイプや液体タイプなど、さまざまな種類のものが販売されていますので、自分に合ったものを選んでください。
ちなみに、男性用小便器の場合、尿石によるつまりがよく起こります。尿石によるつまりを予防するには、酸性洗剤を使用して定期的に掃除するのがおすすめです。
トイレのつまりに使える洗剤に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
ウォシュレットを使う・シングルトイレットペーパーを使う
その他、トイレのつまりを予防する方法として、ウォシュレットを積極的に使用することがおすすめです。
ウォシュレットを使用することで、トイレットペーパーの使用量を抑えることができます。トイレットペーパーの節約にもなるので、自宅のトイレにウォシュレット機能がある場合は、積極的に使っていきましょう。
ウォシュレット機能のないトイレを使用している場合は、普段使っているトイレットペーパーを見直してみるのがおすすめです。
まず、トイレットペーパーはシングルタイプを使用しましょう。シングルタイプはダブルタイプに比べて水に溶けやすく、つまりにくい作りになっています。
また、トイレットペーパーの中には、水に溶けにくい素材を使っているものがあります。特に海外製の安価なトイレットペーパーは、水に流すことを考慮しないで製造されている場合もあるので、注意が必要です。
水に溶けやすいトイレットペーパーかどうかは、JIS規格を満たしているかどうかで判断します。国産のトイレットペーパーはほぼ全てJIS規格を満たしているので、つまりを予防するなら国産のものを購入するのがおすすめですよ。
トイレがつまった時の症状とは?
「ちゃんと予防策を取っていたのに、トイレがつまってしまった……」こんなショックな経験をしたことはありませんか?
たとえしっかりと予防していても、トイレのつまりは起こります。特に長年同じトイレを使っていると、老朽化によってどうしてもつまりやすくなるのです。
大切なのは、つまりを早期に発見することです。症状からつまりを早期に発見することができれば、適切な対処策を講じることができるでしょう。
ここでは、トイレがつまった時の症状について解説します。
水が流れて行かない・あふれてしまう
トイレがつまった時の症状としてもっともわかりやすいのは、水が流れないというものです。
排水路がつまるとそこで水がせき止められ、流れずに便器内に溜まってしまいます。つまりに気づかずに水を流すと、便器から汚水があふれる危険性もあります。
つまりによって水が流れなくなったら、修理する他ありません。自力で直すか、専門業者に依頼して、つまりの原因を取り除いてもらいましょう。
トイレのつまりを自力で直す方法については、以下の記事で解説していますので、参考にしてください。
封水の水位が低い
封水の水位が普段よりも低くなっている場合、トイレがつまっている可能性が高いです。
水は狭い通り道があると、そちらの方へ自然に吸い寄せられていきます。このような現象を、毛細管現象と呼びます。
トイレットペーパーや排泄物がトイレにつまると、毛細管現象によって、狭くなった排水路の奥の方へ水が自然と吸い寄せられていきます。その結果、何もしていなくても封水の水位が低くなるのです。
ただし、封水は蒸発によっても低くなります。長い間トイレを使わなかった時に封水の水位が低くなっているのは、自然な現象ですので、水を流して元の水位に戻しましょう。
封水の水位がなぜ低くなっているのか明らかにするには、水を流してみてください。
バケツなどからトイレに水を流し、便器内に溜まるかどうか確認します。もしも溜まるようであれば、つまっている可能性が非常に高いです。
普通にトイレを使っているのに、封水の水位が妙に低いと感じたら、つまりを疑い適切な対処を取ってください。
流した水の水位が高い
トイレの水を流した時、水位が高くなってあふれかけた、という様子を見たことはありませんか? これは一度に流す量が多すぎてトイレがつまりかけたサインです。
水位が高くなったのは、流したものが排水路の奥でつまりかけて、一瞬水が流れずに溜まったからです。完全につまってしまうと、水は流れていかず、そのまま便器内に汚水が溜まってしまいます。
運良く流れたとしても、安心してはいけません。まだつまりの原因が排水路の奥に残っている可能性があります。
水位が高くなる症状が頻繁に現れるようであれば、トイレのつまりを疑いましょう。
また、水位が高くなったのは一度きりで、その後問題なく使える場合でも、トイレの使い方を見直すことが大切です。一度に流す量を減らすなど、適切な予防策を講じるようにしてください。
タンクから水が流れにくい
よく発生するトイレのトラブルとして、タンクから水が流れにくい、というものがあります。これはトイレがつまった時の症状ではありませんが、つまりを引き起こす原因となるため、早期に発見することが重要なものです。
トイレはレバーを回すとタンク内の水が流れる仕組みになっています。流れる水の量が少なかったり、流れにくいと感じたりするのなら、タンクに何らかの不具合が生じている可能性が高いです。
疑われる不具合は、次の2つです。
- 止水栓が開いていない
- タンク内の部品が正常に機能していない
止水栓は、タンクへの給水量を調節するための栓です。給水管に備えられており、マイナスドライバーやハンドルで開けることができるので、ちゃんと開いているか確認してください。
タンク内の部品の不具合に関しては、自分で交換するか、専門業者に依頼して修理してもらうようにしましょう。
水の流れが悪いと、トイレットペーパーや排泄物を押し流せず、つまりを引き起こしやすくなります。早急に対処してください。
異音がする
トイレの水を流した時に、便器の奥からゴボゴボという異音が聞こえることがあります。これもまたつまりの症状の1つです。
異音が聞こえる時は、トイレの奥にスマホや洗剤のキャップなど、異物がつまっている可能性が高いです。水に流せないものが原因のつまりは、自力で直すのが難しいので、専門業者に修理と点検を依頼するのがおすすめです。
また、トイレの床下から異音が聞こえる場合は、床下の排水管でつまりが起こっている可能性があります。この場合も、自力で修理することはまず不可能です。
トイレからの異音は厄介なトラブルの症状ですので、なるべく早く専門業者に依頼するようにしてください。
予防していてもトイレがつまってしまった時は?
トイレはどんなに予防していても、つまってしまう時があります。トイレがつまった時は焦らずに適切な対処を取ることが大切です。
トイレがつまった時の対処法は、大きく2パターンあります。
- 自分で修理する
- 専門業者に依頼する
トイレのつまりを自分で直す方法はさまざまあります。水に流せるものが原因のつまりであれば、自力で修理することも十分可能です。
一方、水に流せないものが原因のつまりや、つまりの原因がわからない場合は、専門業者に依頼するのがおすすめです。賃貸であれば管理会社へ連絡しましょう。
ここでは、予防していてもトイレがつまってしまった時の対処法について解説します。
自力でつまりを解消する
水に流せるものが原因つまりは、自力で直すことができます。
トイレのつまりを直す方法は、大きく2種類に分けられます。
- 専用の道具を使って直す方法
- 家にあるものを使って直す方法
トイレのつまりを修理するための専用の道具があります。専用の道具には、以下のものがあります。
- スッポン(ラバーカップ)
- 真空式パイプクリーナー
- ワイヤー式パイプクリーナー
これらの道具は、ホームセンターやECサイトで購入することができます。スッポンは100均でも売っているので、突然のトイレトラブルに備えて一本持っておくのがおすすめです。
専用の道具を使わずにトイレのつまりを直すことも可能です。家にあるものを利用した方法には、例えば以下の方法があります。
- ペットボトルを利用する
- 針金ハンガーを利用する
- ラップを利用する
- 重曹とクエン酸を利用する など
専用の道具を持っていない緊急時には、こういった身の回りのものを利用したつまり解消法を試してみるのがよいでしょう。
自力でつまりを解消する方法については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
スッポンでつまりを解消する方法
自力でつまりを解消する方法の1つとして、ここではスッポンを使った解消方法をご紹介します。
スッポンは、正式名称をラバーカップと呼び、吸引力を利用してつまりの原因を取り除く道具です。柄とゴム製のカップ部分からなり、カップ部分をトイレの排水口に密着させて引くことで、つまりの原因を引っ張り出します。
スッポンの使用方法は、次の通りです。
- 1. カップ部分を便器内の排水口に密着させる
- 2. 強く引く
- 3. つまりが取れるまで押し引きを繰り返す
ポイントは、スッポンを引く時に力を入れることです。密着させる時はゆっくりと押しつけ、引く時に勢いよく強く引いてください。
また、便器内に水が溜まっていると、排水口とカップ部分が上手く密着できません。作業前に水をくみ取っておくようにしましょう。
スッポンのさらに詳しい使い方については、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
専門業者に依頼する
自力での解決が難しいトイレのつまりは、専門業者に依頼して直してもらいましょう。
専門業者に依頼する基準は、以下の通りです。
- 水に流せないものがつまりの原因である場合
- つまりの原因がわからない場合
- 自分で直せなかった、あるいは直す自信がない場合
上記のような場合にトイレのつまりを無理に直そうとすると、悪化させたり、トイレを破損させたりする恐れがあります。無理に直そうとはせず、専門業者を頼るのが賢明です。
専門業者に依頼する際の注意点として、必ず事前に見積もりを取るようにしてください。
見積もりを取らずに依頼すると、作業後に高額な修理費用を請求される恐れがあります。見積もりを取って金額に納得した上で、修理を依頼するようにしましょう。
ちなみに、トイレのつまりにかかる修理費用の相場は、以下の通りです。
作業費用+部品代 | 金額 |
---|---|
トイレつまり(軽度) | 4,000円~8,000円 |
トイレつまり(重度) | 10,000円~20,000円 |
この金額から大きく離れた料金を提示する業者は、悪徳業者の可能性がありますので、十分注意してください。
その他、専門業者に依頼する際のポイントについては、以下の記事も参考にしてください。
賃貸の場合は管理会社へ連絡する
賃貸のトイレをつまらせた場合は、専門業者に依頼する前に、まずは管理会社へ連絡しましょう。
賃貸の場合、トイレのつまりの対応策は管理会社が把握しています。ひいきにしている業者がいる場合もあるので、自分で業者を探すよりも早く手配してくれるかもしれません。
賃貸のトイレを自己判断で修理した場合、たとえ管理会社が費用を負担すべきケースであっても、自己負担になってしまいます。もちろん、無理な修理でトイレを破損させると、修理費用を請求されます。
賃貸のトイレのつまりは、何はともあれ管理会社へ連絡するのだと覚えておきましょう。
その他、賃貸のトイレトラブルの対処法については、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
正しい使い方をしていれば、トイレがつまることはほとんどなくなります。ぜひこの記事を参考に、トイレをつまらせないようしっかりと予防してくださいね。
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