お風呂にカビが生える原因
お風呂のカビは温度・湿度・汚れが揃うと発生します。つまりお風呂場はカビの発生条件を満たしやすい場所と言えます。
まず温度ですが、カビは20℃〜30℃の温暖な環境を好みます。お風呂場は湯気やシャワーのせいでこの条件が簡単に満たされてしまうためカビにとっては繁殖に適した環境です。続いて湿度は65%以上あるとカビが発生しやすくなると言われています。お風呂場は水気が多く、高湿度の状態が続くため、カビにとって理想的な環境になりやすい条件が整っていることがわかります。
最後の汚れですが、カビは汚れを栄養源として繁殖します。お風呂場には、皮脂や水垢、石鹸カス、髪の毛が付着しているだけでなく、空気中にはホコリやカビ菌なども漂っています。掃除が行き届かない場所は特に注意が必要です。
このように温度・湿度・汚れの3要素が揃ったお風呂場は、カビにとって絶好の繁殖場所になります。カビを防ぐには、浴室の隅やタイルの目地、排水口など目立たない場所にも気を配って、カビの発生条件を断つことが重要です。
赤カビと黒カビの違い
お風呂場に発生するカビには赤カビと黒カビの2種類があり、見た目だけでなく、性質や発生条件も異なります。ここでは、赤カビと黒カビの原因や影響を解説します。
赤カビはカビではなく雑菌
赤カビと呼ばれる、ぬるっとしたピンク色の汚れは、実際にはカビではなく、「ロドトルラ」という名前の雑菌です。お風呂場の湿気がたまる場所に発生しやすく、温度も20℃〜30℃を好むので、カビと同じ環境で繁殖します。
カビと違うのは、繁殖に汚れを必要としないこと。高温多湿の環境下であれば、床や壁などどこでも発生しやすい菌です。赤カビは繁殖スピードも早いため、掃除が行き届いていないところは特に赤カビが発生しやすいです。排水口や棚の裏、シャンプーボトルの接地面などは特に意識をして掃除しましょう。
赤カビ自体が大きな健康被害を与えることは少ないものの、放置しておくと有害な黒カビの繁殖要因になることがあります。見た目的にも清潔感を損なうので、定期的に掃除するようにしましょう。適切な対策を行えば、発生を効果的に防げます。
黒カビは菌糸を張るカビ菌
黒カビの正式名称は「クラドスポリウム」で、菌糸を張って繁殖するカビ菌の一種です。お風呂場でよく見かける黒い斑点や汚れはこのクラドスポリウムによる場合が多く、タイルの目地やシリコン部分、シャワーヘッドの周りなど、水が溜まりやすく乾燥しにくい場所によく発生します。
黒カビは温度20℃〜30℃、湿度70%以上の環境で急速に繁殖すると言われています。栄養源は汚れで、皮脂や石鹸カス、シャンプーの残りや赤カビが掃除されずに残っていると、黒カビが繁殖します。赤カビと比較すると落としにくいのも黒カビの特徴です。
黒カビは目立つだけでなく、体内にカビの胞子を取り込んでしまうと、健康にも悪影響を及ぼすことがあります。特にカビアレルギーや喘息を持つ人にとっては、浴室のカビは大敵と言えるでしょう。赤カビも黒カビも放置せず、早めに対処することが重要です。
カビの掃除方法と注意点
お風呂場のカビを取り除くためには、適切な掃除方法を知ることが大切です。雑菌である赤カビとカビ菌である黒カビでは性質が異なるため、効果的な掃除方法や注意点も異なります。ここでは、赤カビと黒カビそれぞれに対する掃除方法だけでなく、場所に合った掃除用具を紹介、さらに注意点を解説します。
赤カビは洗剤をつけて擦る
赤カビは黒カビよりも比較的掃除しやすいため、軽度なら中性洗剤でも十分きれいに落とせます。また赤カビ自体は酸性なので、アルカリ性である重曹やセスキ炭酸ソーダも効果的です。赤カビが広範囲に広がっている、しっかり除菌もしたいなどの場合は、塩素系漂白剤やアルコール除菌スプレーを使用すると良いでしょう。
- 中性洗剤またはアルカリ性洗剤
- スポンジやブラシ
- ゴム手袋
- マスク
塩素系漂白剤を使用する際は必ずマスクと手袋を着用し、ほかの洗剤、特に酸性洗剤と混ぜないように気をつけて作業を行ってください。
- ゴム手袋やマスクを着用し、換気をする
- 赤カビに洗剤をかける
- スポンジやブラシで擦り洗いをする
- 洗剤を洗い流す
- 乾拭きをし、乾燥させる
汚れがなかなか落ちないときには擦り洗いをする前にキッチンペーパーに洗剤を浸し、パックをするように汚れを覆い、30分~1時間ほどおいてから掃除をするのがおすすめです。また、最後に乾拭きをした後に除菌スプレーを使用すると効果的です。
黒カビは漂白剤でパックをする
黒カビの掃除方法としては、漂白剤でパックすることがおすすめです。黒カビは菌糸を張って繁殖するため、タイルの目地やゴムパッキンの奥深くまで根が入り込んでいる可能性があります。その場合は表面だけをこすってもなかなかカビを掃除しきれません。黒カビを掃除するコツは漂白剤を奥まで浸透させることなので、パックをしてから掃除するのがおすすめです。
- 漂白剤
- キッチンペーパーやラップ
- ブラシ・歯ブラシ
- ゴム手袋
- マスク
漂白剤には「酸素系漂白剤」と「塩素系漂白剤」の2種類があります。塩素系漂白剤のほうが効果は高いものの、取り扱いに注意が必要です。酸素系漂白剤は塩素系漂白剤よりも効果は弱いものの、その分安全性の面で優れます。
- ゴム手袋やマスクを着用し、換気をする
- 黒カビ発生箇所に漂白剤をかける
- キッチンペーパーとラップでパックをする
- 1時間ほど放置する
- ブラシを使って擦り洗いをする
- 水で流して乾燥させる
長期にわたって繁殖している黒カビは根が深く簡単には落とせないのでパックする時間を伸ばすなど工夫をしてみてください。また、この掃除方法は漂白剤を使用するため、他の洗剤と混ざることのないように作業を行いましょう。
場所にあった掃除用具や洗剤を使う
排水口や床、壁、天井などお風呂場の掃除には、場所に応じた適切な洗剤や掃除用具を使うことがおすすめです。例えばタイルの目地やゴムパッキン、シリコン部分にはジェルタイプのカビ取り剤が効果的です。ジェル状だと垂れにくく、根深い黒カビに長時間密着させることができます。
浴槽や床の表面、壁などはスプレーボトルに入った液体の洗剤が良いでしょう。天井など手の届かない部分は、柄のついたブラシやフロアワイパーを使うのがおすすめです。
高所へのスプレーは注意
高所へスプレー剤を使用するときは目に入らないようにゴーグルやマスクをつけるなどをして対策をしてください。タイルの目地や排水口など細かいところには使い古しの歯ブラシが活用できます。このように場所に応じて掃除用品や洗剤を使い分けると、よりカビ掃除の効果が期待できるでしょう。
カビ取りにおすすめの洗剤
カビを効果的に取り除くためには、適切な洗剤を選ぶことが重要です。天井や壁、排水口などお風呂場にはさまざまな場所にさまざまなタイプのカビが発生します。ここではカビ取りにおすすめの洗剤の特徴と使い方を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
- 塩素系漂白剤
- 酸素系漂白剤
- 壁や天井、目地にはジェルタイプのカビ取り剤がおすすめ
塩素系漂白剤
頑固なカビや根深く菌糸を張った黒カビには、塩素系漂白剤がおすすめです。塩素系漂白剤を使用するメリットはその強力な除菌力にあります。ただし、その分皮膚への刺激や有毒ガスの危険性があるので注意してください。塩素系漂白剤の特徴は以下の通りです。
- 即効性と強力な除菌力
- 酸性洗剤と混ぜると有毒ガスが発生する危険性がある
- 皮膚に触れたり深く吸い込むと刺激が強い場合がある
正しく利用すれば、塩素系漂白剤は頑固なカビの除去に効果が期待できます。キッチンペーパーやラップを使用してカビ部分にパックしておくと、数時間で黒カビを除去できる可能性も高いです。カビだけでなく、雑菌やウイルスに対しても除菌効果が期待できます。スプレータイプの「強力カビハイター」(花王)や「カビキラー」(ジョンソン)なら、棚の下側やシャワーホースなどにも使いやすいです。
- 換気扇をつける・扉や窓を開けておくなど換気を徹底してから使用してください
- 臭気や刺激が強いので、マスクや手袋を着用して使用してください
- 酸性洗剤と混ぜると有毒ガスが発生するため、絶対に混ぜないようにしてください
酸素系漂白剤
酸素系漂白剤は、ナチュラルな漂白剤としても知られており、塩素系漂白剤のようなツンとした臭気はありません。ペットや小さな子どもがいる家庭での使用や、日常的な手入れに使用することをおすすめします。酸素系漂白剤の特徴は以下の通りです。
- 臭気や有毒ガスの危険性が少ない
- ペットや子どもがいる家庭でも使用できる
- 塩素系漂白剤と比較すると、即効性や除菌力に劣る
注意点としては、効力が穏やかなので頑固な黒カビが落ちにくい場合がある点です。パックして使用しても時間がかかるか、時間をかけても取りきれないという可能性があります。日常的なカビ取りや除菌のために使用すると良いでしょう。酸素系漂白剤としては「オキシクリーン」(グラフィコ)や「酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)」(シャボン玉石けん)などが販売されており、衣類や台所まわりでも使用できると謳っています。
壁や天井、目地にはジェルタイプのカビ取り剤がおすすめ
天井や壁の高い場所や目地などの入り組んだ場所には、ジェルタイプのカビ取り剤が効果的です。ジェルタイプは粘性が高いため垂れにくく、カビにしっかりと密着して長時間作用します。必要な箇所にピンポイントで塗布できるので、無駄なく効率的に使えるのも特徴です。
チューブ入りの商品も多く、頑固なカビにピンポイントで使えます。着色されたタイプと無色のタイプがありますが、塗った箇所を忘れそうな方は着色されたタイプを選ぶと良いでしょう。「激落黒カビくんカビ取りジェル」(LEC)や「カビキラーPRO最強ジェル」(ジョンソン)などがおすすめです。なお、激落黒カビくんはピンクに着色されています。
カビの発生を予防する方法
カビ対策には、発生したカビを掃除するだけでなく、日常的な予防対策も大切です。湿気がこもりやすいお風呂は、カビの発生条件が揃っていますが、日々のちょっとした工夫でカビを予防できます。以下ではその具体的な方法を紹介します。
入浴後は50℃ほどのお湯をかける
入浴後にお風呂場全体に50℃のお湯をかけることで、カビの発生を予防できます。これは50℃のお湯をかけることで水分が蒸発しやすくなり、乾燥を早めることができるためです。また、床や壁などに付着したカビの栄養源となる汚れや石けんカスなども洗い流せるので、カビが発生しにくい状況を作り出せます。
50℃のお湯は触れ続けると低温火傷の原因となるのでお湯をかける際には十分注意しましょう。毎日の入浴後に行うのが理想的ですが、むずかしい場合は週に数回行うだけでも効果があるので、試してみてください。
換気をして乾燥させる
浴室を換気して乾燥させると、カビの発生原因となる湿度を抑えることができます。カビの発生条件は温度・湿度・汚れの3要素ですが、そのなかでも湿度はカビの発生に大きな影響を与える要素です。カビの胞子を活発に繁殖させないためにも、入浴後はしっかり換気して浴室を乾燥させるようにしてください。
換気方法には、換気扇の使用や浴室の窓やドアを開けておくことなどがあります。また、使用したタオルやバスマットはそのまま浴室に置かず、すぐに干すようにしましょう。
こまめに掃除をする
こまめに掃除することによっても、カビの発生を未然に防げます。カビの栄養源となる汚れを取り除くことで、カビの発生条件を抑えられます。特に皮脂や石けんカス、赤カビなどが残っていると、黒カビが発生してしまいます。排水口や棚の下側、四隅など目立たないところも注意しましょう。また、天井もカビの胞子がつきやすい場所なので定期的にフロアワイパーなどを使用して掃除することをおすすめします。
毎日入浴後に汚れやすい場所をさっと掃除しておくのも汚れのこびりつき防止に役立ちます。シャワーで浴室全体をさっと流したり、スポンジやブラシで軽くこすって表面の汚れを取り除くだけでも十分です。また汚れは1週間ほどで蓄積し始めるため、週1回は浴槽や蛇口、鏡、床、排水口、天井の掃除をすると良いでしょう。
カビ取り剤を使用した掃除は月1回を目処に行うと、黒カビの根深い繁殖を予防できます。換気扇もホコリが溜まりやすいので、月1回ほど行うとカビの栄養源となるホコリを随分減らせるでしょう。
防カビ剤を使用する
いったんきれいにカビ取りができたら、防カビ剤を使用するなどしてカビの発生を未然に防ぐことが大切です。防カビ剤はカビの発生しやすい場所に防御層を作ることで、カビの胞子や菌糸の増殖を抑制します。定期的に使用すると、掃除の手間も減らせるので便利です。
防カビ剤には置くだけで防カビができるタイプやくん蒸タイプ、掃除した後に使用するスプレータイプなどがあります。置くだけタイプの「お風呂用防カビ剤」(ファブリーズ)は取り付けが簡単で、6週間効果が持続するのでおすすめです。
また掃除したあとに「GNカビ予防浴室用スプレー」(LEC)をカビが発生しやすい場所にスプレーしておくのも予防策になります。特にお風呂おけの裏や棚の下側、手の届きにくい箇所に使うと良いでしょう。
お風呂のカビを対策して快適なバスタイムに
カビの発生条件は「温度・湿度・汚れ」の3要素が揃うことですが、高温多湿のお風呂場は簡単にこの条件を満たしてしまいます。カビの生えやすいお風呂場は、カビの種類や場所によって効果的にカビ取りする必要がある場所です。カビの種類には赤カビと黒カビがありますが、菌糸を張って繁殖する黒カビは長期間放置してしまうと、特に取れにくくなります。頑固な汚れには塩素系漂白剤をパックして使用することがおすすめです。
細かい目地や高い場所には垂れにくくカビに密着しやすいジェルタイプの洗剤を使用するのも良いでしょう。カビの胞子が繁殖しやすい天井はフロアワイパーを使用してください。カビ取りができたら、50℃のお湯をかけたり、カビ予防剤を使ったりしてカビの予防対策をするようにしましょう。きれいなお風呂場で快適なバスタイムを過ごして、1日の疲れを取るようにしてください。
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