中小企業庁が報告する「2017 年版 中小企業白書」では、依然として中小企業の人材確保が厳しい状況にあることを指摘しています。市場変化や企業間競争が激化する中、いかにして人材の新陳代謝を上げながらこれらに追従していくかが、今日の中小企業における大きな経営課題だといえるでしょう。

一方、同白書では、人材不足を克服している中小企業の多くが、「職場環境の見直し」を実施していることを報告しています。税務/ 会計分野に特化した老舗出版社である税務研究会もその 1 社です。同社は創設 70 周年の節目を迎えた 2017 年、本社移転を実施。並行して、Surface Studio、Surface Book といった Surface シリーズを全面的に採用したワーク スペース改革に取り組みました。この改革によって、同社は「人材の新陳代謝」と「変化への追従」を大きく加速しています。

業務環境の一新に込めた、「市場変化に対応していく」という思い

1947 年に旬刊「税務通信」を創刊して以来、一般書店では販売しない会員制の定期購読誌を発行し続けてきた税務研究会。半世紀以上にわたりビジネスを継続してきた、いわば老舗出版社でもある同社ですが、その事業展開は決して紙媒体のみにとらわれてきたわけではありません。

情報化の加速は、紙媒体を主とする出版ビジネスの在り方に大きな変化を与えました。この中で事業を発展させていくには、市場の変化に即した「ビジネスの変革」が必要となります。これを見据え、税務研究会は 2000 年、誌面情報をインターネットから閲覧可能な「税務通信データベース」を開設。また、モバイルが台頭し始めた 2010 年代には電子書籍アプリも販売を開始するなど、時代に即した形で情報提供のあり方を変化させてきたのです。

  • 税務通信

「今後も継続して変化に追従していく、そのためには若い人材が不可欠です」と語るのは、株式会社税務研究会 事業推進本部 事業推進室 マーケティングシステム部の山本 歩 氏です。

「出版業界において今もっとも求められている能力は、『変化への追従力』です。長い歴史をもって蓄積してきた専門性、コンテンツ力といった当社の資産は活かしながら、これをアウトプットする形式やサービス内容を社会のトレンドに沿って変えていく。このためには、柔軟性を備えた若い人材を引き入れ、なおかつ、蓄積したナレッジを熟練社員が若手に継承する、いわゆる人材の新陳代謝のしくみが不可欠となります。このしくみづくりを進めるべく、当社では新卒採用を積極的に行っています」(山本 氏)。

  • 株式会社税務研究会 山本歩 氏

税務研究会には、若い人材を熱心に育てるという企業風土が備わっています。また、あらゆるライフ ステージにおいて勤務が継続できるテレワーク制度など、同社の就業規則は整備が進んでおり、既に在宅勤務も導入、運用が開始されています。こういった制度と風土の双方をもったアプローチは、平均 17.2 年という長い勤続年数といった成果に着実につながっています。

人材の新陳代謝を進めることで、変化への追従力の向上を図る税務研究会。この取り組みをいっそう推進すべく、同社は 2017 年 10 月、本社を旧自社ビルから東京丸の内の鉃鋼ビルディングへと移管。あわせて、クライアント PC をはじめとする業務環境も全面刷新しました。

この取り組みの狙いについて、山本 氏は次のように説明します。

「旧本社ビルは設置から 20 年が経過してレガシー化が進んでいたため、業務環境を一新したいという単純な思いも当然ありました。しかし何よりも重視したのは、70 年という節目に業務環境を一新する、これをシンボリックな取り組みとすることで、『税務研究会はこれからも社会の変化に対応して価値を創出し続ける』という共通認識をあらためて従業員に持ってもらうことでした」(山本 氏)。

Surface シリーズは、「変化」の象徴となる端末だった

たとえ「社会の変化に対応して価値を創出し続ける」というビジョンを提示しても、それが目指せる環境がなければ、言葉は説得力を持ちません。

「従業員 1 人ひとりの共通認識とするためには、実際にこの実現性が確信できる『最高の業務環境』を提供しなければなりませんでした」と、山本氏は語ります。そこへ向けて税務研究会が計画したのは、あらゆる部門を 1 フロアに統合するオープン オフィス化でした。物理的な壁を取り払い、社内全体をワイヤレス ネットワーク化する、そしてクライアント PC をモバイル PC に統一することによって、部署間のコラボレーションが生まれることを目指したのです。そしてこうしたコラボレーションという視点は、PC の機種選定においても重視されることとなります。

「業務の垣根を越えて全従業員が一体感を持ちながら業務に臨めるよう、モバイル PC の機種についても 1 つに統一したいと考えました。ただ、外販や編集、DTP、バック オフィスなど、部門単位で作業 PC に求められる性能、機能、画面サイズなどは異なります。そこで、まずは可能な限り高性能なモバイル PC を配布する。そして部門ごとにあるユニークな要求に対しては、共用デバイスの設置やデュアル モニター環境の提供といった周辺システムを整備することで解決することとしました。これら各デバイスの選定に際して重視したことは、業務を変革する可能性を秘めているか、という点です」(山本 氏)。

モバイル PC は、従業員が日々の業務でもっとも利用する端末となります。その端末が "変革" を体現する機種であるか否かは、先に触れた共通認識の高まりに大きな影響を及ぼします。税務研究会はこの視点のもと、機種の比較検討を進行。その結果、従業員に配布する PC として SurfacePro と Surface Book を、また下記用途の周辺システムとして、SurfaceStudio、Surface ドックを採用しています。

Surface Pro
Surface Book
従業員に配布するクライアント PC
Surface Studio DTP 作業を主な用途とした共有デバイス
Surface ドック 編集、DTP、外販など大きな作業領域を
必要とする部門向けのアダプタ製品

さまざまな機種が候補に挙がっていた中、山本 氏は Surface シリーズを選択した理由について次のように語ります。

「私は前職で常駐型のシステム エンジニアに携わっていましたが、さまざまな職場にかかわる中で、時流に乗り業績が伸びている企業とそうでない企業とでは業務環境がまるで異なることを感じていました。同時に、段階的な変化ではそこには到達できないとも感じました。業務環境、そして従業員の意識を一挙に変革するには、トップ ダウンの取り組みだけでなく、従業員自らで業務を変える、自然発生的な動きが欠かせなかったのです。Surface シリーズが持つ『先進的』というブランド、そして働き方改革の第一線をいくマイクロソフトが提供するというイメージによって、こうした『業務を変えたい』という従業員の意識を喚起できると期待しました」(山本氏)。

また、税務研究会内で Surface シリーズを利用している従業員が既に数名いたことも、選定の大きな要因だったといいます。同社ではこれまで、BYOD (Bring your own device) を一部採用してきましたが、そこでは数人の従業員が、実際に最先端の働き方を Surface シリーズで実践していたのです。山本 氏は「BYOD で Surface シリーズを利用する従業員は、『タッチ操作、キーボード操作ともに快適なため、どこでも直感的に業務ができる』という点を製品の利点として挙げていました。事実、これらの従業員は場所にこだわらずに働いており、私自身の思いとしてこうした従業員を 1人でも多く増やしたいと考えていました。Surface シリーズは、イメージだけでなく実際に業務を変え得る端末だと判断し、採用を決定したのです」と、この点を説明します。

Surface の持つ先進性が、自然発生的な業務の変化を生みだす

税務研究会が業務環境の一新に期待した効果は、従来紙をベースに行ってきた会議や業務の電子化、モバイル ワークの加速など、多岐にわたります。2017 年 10 月の本社移転からまだ間もないながらも、すでにこうした変化が現れつつあると山本 氏は説明。校正作業の電子化を例に、この点について語ります。

「当社は出版社です。そのため紙に印刷して行う作業工程は、どうしてもゼロにはできません。しかし、これまで紙を使っていた打ち合わせや会議を電子化しようという兆候が、すでに表れ始めています。驚くべきは、われわれからそう働きかけたのではなく、従業員が自らこれを進めていることです。一例として、編集部門が行う校正作業が挙げられます。何名かの従業員は、Surface Studio を囲み、もしくは Surface Pro を持ち寄って議論しながら、校正作業を行っています。紙を主としたビジネスを行ってきた当社において、これは大きな変化といえるでしょう」(山本 氏)。

Surface Studio は、紙の印刷物に近い色再現性を備え、紙に近い書き心地でペン入力が可能です。ディスプレイの角度も自由に調整できるため、今後は DTP やプレゼンテーションなど、活用シーンが広がっていくと山本氏は予想しています。山本 氏自身もまた、これまで印刷物をベースに行ってきたシステム会議について、現在、多くの場合 Surface Pro とディスプレイで行っているといいます。

  • Surface使用風景①

このような活用は、決して無理強いして生まれたものではなく、Surface シリーズを貸与した従業員の中で自然発生的に生まれてきたものでした。山本 氏は、「重ねてになりますが、本取り組みの目的は『変化への追従力の向上』です。Surface シリーズを採用したことで、自らを変えようという従業員の動きを加速することができました。これは、当社の業務がボトム アップ的に変わりつつある事実からも明らかです」と、本社移転を機に進められた一連の取り組みを評価します。

一方、現段階ではまだ、クライアント PC の機種統一は完了していません。バック オフィス部門では引き続き旧端末を利用しており、また経営層には、ディスプレイがより大きな別デバイスが配布されています。ですが、山本 氏は、2017 年度内を目標として Surface シリーズへの機種統一を進めていくと述べます。

「10 月段階では、全従業員のデバイスを Surface シリーズに統一するまでには至りませんでした。この背景には、『Surface シリーズが現場でどのように利用されるか』を見極めたいという考えがあったためです。Surface シリーズを実際に導入してみると、想像以上にモバイル ワークやハドル会議などで活用されていることがわかりました。また、別機種を配布した経営層からは『どうして私は Surface じゃないのか』という声も挙がっています。Surface Pro、Surface Book のどちらに統一すべきかを検証した後、今年度中には機種統一を完了したいと考えています」(山本 氏)。

  • Suface使用風景②

    モバイル ワーク環境として利用するほか、自席では Sur faceドックと接続することで十分な作業領域のもとで業務を遂行している

新しい業務環境の浸透が、人材の新陳代謝につながる

企業としての競争力を高めることで事業を継続する。そして、時代の変化にビジネスを追従させることで、事業価値をいっそう高めていく。税務研究会は新社屋への移転を契機とし、こうした企業課題をクリアにしつつあります。

また、新たな業務環境が浸透するに従い、同社がこれまでに敷いてきた就業規定もまた、今後いっそう機能していくことが期待されています。

「Surface シリーズへの機種統一が完了した後では、フリー アドレス制への移行を進めたいと考えています。というのも、就業場所が固定された現環境では、どうしても『出社して仕事をしなければならない』という従業員の意識を生んでしまい、結果テレワークのような制度への理解がなかなか浸透しないという状況が発生していました。フリー アドレス制によって場所を問わない働き方を推進する、そしてそこでのコラボレーションの円滑化が進む、これによって、既存制度を利用する従業員も増えるはずです。ひいてはそれが、人材の新陳代謝、そして変化への追従力の向上につながると考えています」(山本 氏)。

"新社屋への移転では、時代の変化に対応し得る新しい人材が同社に定着していくための環境づくりについても思案していました。Surface シリーズを採用したワーク スペース改革によって、デバイス面についてはこれを完了することができました。今後はアプリケーション面の整備も進めることで、人材の定着に向けた歩みを加速していきたいと考えています"

-山本 歩 氏: 事業推進本部 事業推進室 マーケティングシステム部
株式会社税務研究会

情報化が進む社会のさなかで、出版業界は特に大きな影響を受けているといえます。出版を生業とする企業は、これまで培ってきた伝統とノウハウを活かしつつも、新しい価値観や働き方を吸収していくというかじ取りが求められています。この難しい局面において、税務研究会は、柔軟な考え方を持った現従業員によって、新たな未来への第一歩を踏み出しました。深い知識を備えたベテランと新しい感性を備えた新人をつなげ、さらなる数十年に向けて事業を継続させる同社の取り組みは、新しい働き方を考える多くの企業の参考となることでしょう。

[PR]提供: 日本マイクロソフト