ゲーム市場の新たな潮流が、福岡のある企業から生まれつつあります。ブロックチェーンのプロダクト・サービス企画を行うグッドラックスリーでは、今、リアルとバーチャルにまたがるゲーム市場をつなぐプラットフォーム「RAKUN」の構築によって、サード パーティ サービスを巻き込んだトークン エコノミー (暗号資産による経済圏) の形成が目指されています。

「RAKUN」では、ゲームやメディア、コミュニティなど、ゲームに関わるあらゆるサービスが提供されます。ゲームをプレイする、メディアの記事を読む、誰かの投稿にコメントする、……こういった活動に応じてトークンを報酬として付与する事により、ゲーム市場に "ユーザー自らが魅力を高めていく" という波を生み出そうとしているのです。

多様なユーザー、企業が参加するエコ システムを形成する上では、サービス間をシームレスに繋ぐ仕組みが必要です。また、安全にトークンを流通させることのできる環境でなければ、ユーザーは積極的にこれを利用しないでしょう。セキュア且つ連携性の高い仕組みを備えたインフラ システムを構築する。ブロックチェーン技術を用いたグッドラックスリーの挑戦は、Microsoft Azure (以下、Azure) とこれを提供するマイクロソフトの手厚いサポートが支えています。

ゲーム市場の新しい波を、日本から

2018 年、グッドラックスリーは国産として初のブロックチェーン ゲーム「くりぷ豚」をリリースし、社会から高い注目を集めました。偽造や改ざんがきわめて困難な形で情報を記録・保管できるというブロックチェーン技術を活用することで、非代替性トークンをゲームに実装する。これによって、従来無かった新たな経済圏をゲーム内に形成する。同社の取り組みは、ブロックチェーンの持つ可能性を、社会に広く周知させたとも言えます。

貨幣価値を持つトークンを得ることは、多くのユーザーにとって、行動の動機となるでしょう。トークン エコノミーの形成は、その経済圏における "ユーザーの行動" を活性化することに繋がるのです。「トークン エコノミーは、あらゆる市場を変える力があります。1 社の取り組みに閉じるのではなく、業界内の複数の企業が一緒になってこれを活用することで、市場に新たな波を生み出していくべきです。」こう語るのは、株式会社グッドラックスリー 取締役 畑村 匡章 氏です。

同氏は、トークン エコノミーやブロックチェーン技術を実用化する上では、まだまだハードルがあると言及。だからこそ、ブロックチェーン ゲームの先行事例を生み出した同社には課せられている使命があるとし、こう述べます。

「2018 年、一部仮想通貨交換所においてトークンが流出する事故が発生しました。また、市場の多様化を背景に不公正なトークンが発行される例も出てきています。これらを受けて政府は、トークン エコノミーの正しい普及に向けた法整備を急ピッチで進めています。法制度が固まるまで、DApps (ブロックチェーンを活用した分散型アプリケーション) の構築は慎重にならざるを得ない状況と言えるでしょう。ただ、一方でブロックチェーンに寄せられる社会の期待は高まるばかりです。法整備が完了する、またはこの方向性が明確になった際に各社がスタート ダッシュを切れるような環境を作らねばなりません。ゲーム市場においては我々が旗振りを行うべきと、そう考えて現在、インフラ環境の整備を進めています」(畑村 氏)。

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    日本初のブロックチェーン ゲームとして注目を集めた「くりぷ豚」。2018 年 6 月の配信開始以来多くのユーザーが同ゲームをプレイしている。畑村 氏の述べたインフラ整備は、国内のブロックチェーン ゲームをリードするグッドラックスリーが進めるからこそ、強い説得力を持つと言える

実はグッドラックスリーでは、「くりぷ豚」のリリースよりも以前となる 2017 年より、企業をまたがったエコ システムとも呼ぶべきプラットフォームについて、検討が進められてきました。「RAKUN」と呼ばれる同プラットフォームが目指すのは、サード パーティ サービスを含む様々なゲーム エンタテインメント コンテンツを繋いだ "これまでにない経済圏" の形成です。畑村 氏は、「トークンの流通を軸にしたエコ システムを構築することにより、日本発で世界のゲーム市場を変えていきたい。」と思いを述べ、同プラットフォームの詳細を説明します。

「RAKUN」では、エコ システム内の活動に応じて運営者からユーザーへトークンを付与する「リワード」、ユーザーがお互いを評価することでトークンを授受する「投げ銭」、特定の目的で集まったグループ内でトークンを授受する「コミュニティ」、そしてユーザー間でデジタル アセットをトークンで取引する機能、大きくこの 4 つの機能の下、トークンが流通することとなります。これは、ゲーム市場をどのように変革し得るのでしょうか。

「従来、ゲームは楽しむことに目的が閉じていました。『RAKUN』では、ゲームを通じて得た経験、費やした時間がトークンという価値になります。企業から消費者へエンタテインメントを提供するだけでなく、自分が得た価値を流通させてユーザーが自らサービスをより魅力的なもの、持続可能なものへと変えていくのです。『RAKUN』はゲーム市場にこうした新たな波を起こすことができると考えています」(畑村 氏)。

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    「RAKUN」では、大きく 4 つのシステムの下でトークンが流通する。畑村 氏は「ゲーム市場に新たな波を起こす、そのためには当社だけでなく多くの企業と協働してここに取り組む必要があります。」と述べる。この言葉の通り、同プラットフォームでユーザーは、様々なサードパーティのサービスを利用することができる

マイクロソフトとともにビジョンを実現する

畑村 氏は、「2019 年 5 月の段階で、『RAKUN』の開発はおよそ 70% が完了しています。Azure をサービス基盤に利用して開発を進めていますが、概ねの基本機能は既に構築を完了しており、まもなくプラットフォームをリリースできる予定です。」こう語りますが、基本機能の開発にあたって、特に留意したことが 2 つあったといいます。

開発を担当した株式会社グッドラックスリー エンジニア 土屋 恭平 氏と、畑村 氏は、次のように説明します。

「エコ システムを形成する上では、あらゆる企業のサービス、あらゆるユーザーを、『RAKUN』というプラットフォーム上で繋げる必要があります。トークンのやり取りがありますから、ただ API でサービス間を繋げばよいという単純な話ではありません。適切な認証、及び認可を実現し、サービス全体としてセキュアであることが必須事項となります。その中で、シームレスに、かつ適正に、サービスとトークンを繋げる、そのためのロジックやアーキテクチャが求められました」(土屋 氏)。

「サービス基盤がセキュアであることも極めて重要です。暗号資産に関連した過去のインシデントを理由に、社会には少なからずトークンに対する不信感が生まれています。ユーザーが貨幣価値を持ったトークンを、安心して流通させることができる。これが担保できなければ、たとえプラットフォームを構築したとして、ユーザーは付いてこないでしょう」(畑村 氏)。

グッドラックスリーが「RAKUN」のサービス基盤 に Azure を利用する背景には、この 2 点を実現したいという同社の思いがありました。畑村 氏は、大手クラウド ベンダーを比較した場合、それぞれの間に DApps のサービス基盤としての有意差は無いと語ります。では、なぜ Azure が選ばれたのか。同氏はこのように説明します。

「ブロックチェーンは新しい技術分野です。Azure 以外にも Amazon Web Services など、各クラウド ベンダーが多大な費用を投じてこの分野を研究し、日々新たな機能を実装しています。暫くはサービス間の優勢劣勢が移り変わりますから、ある時点の機能性に注目するのは意味が無いでしょう。ならば、機能や仕様ではなく、"私たちのビジョンの実現をどこまで支援頂けるのか" を注視したいと考えました。マイクロソフトと会話する中で感じたのは、私たちと一緒になってゲーム市場を変えていってくれるという気概です。クラウドを提供するだけでなく、技術とビジネスの双方から我々の取り組みを支えてくれる、そう確信し、Azure を選択したのです」(畑村 氏)。

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Hackfest を通じて、Azure の選択が最良だと確信

今挙げた確信を畑村 氏が持つきっかけとなったのは、マイクロソフトがグッドラックスリーに提供した Hackfest (ハックフェスト) でした。

Hackfest では、マイクロソフトのエンジニアとグッドラックスリーが共同する形で、数日間かけてサービス基盤に求められる機能、アーキテクチャ設計を議論し、その POC までを行います。

土屋 氏は、「サービス間を連携するにあたって特に頭を悩ませたのが、サービス間の ID連携、及び適切な認証と認可を実現することでした。API と ID とを適切に連携する仕組みを、アーキテクチャと処理ロジックの双方で実現する。これができなければトークンを適切に流通させることができません。Hackfest の中でマイクロソフト様からは、Azure API Management と Azure Active Directory B2C を組み合わせた先行実績を例に、どのような考え方をすべきか、どうすれば適切なトークン流通を実現できるかを指南頂けました。ゼロ ベースで検討をスタートしたものの、Hackfest の中で、本システムの最重要課題であった ID 連携、及び認証周りの基本設計がおよそ完成しました。」と語り、短期に課題が解決できたことを高く評価します。

同氏は続けて、Hackfest の中でブロックチェーンの仕組みを含むサービス全体の設計を形にすることができたと説明。「私が先ほど挙げたセキュリティで言えば、ブロックチェーンの核となるシステムにおいて Azure Key Vault による秘密鍵の保護を実装するなど、アーキテクチャ レベルでセキュアな仕組みを採っています。2019 年 5 月現在の設計は、当時 POC で検討したものがベースとなっており、Hackfest で培ったものが基盤となっております。深い知見と高い技術力を持ったマイクロソフト様には、感謝の念でいっぱいです。」と語りました。

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    2019 年 5 月段階の、「RAKUN」のアーキテクチャ画。ブロックチェーンの仕組みのみ仮想マシン (VM) を利用し、それ以外は PaaS で構築している。土屋 氏は、「PaaS の利点は何と言ってもそのアジリティの高さです。柔軟にサービス基盤へ手を入れることができますから、法整備からすぐにサービスをリリースし、その後もユーザーやパートナーの要望に応えていけると考えています。」と語った

"私たちはマルチ クラウドの方針を採っており、Azure 以外のクラウドを利用することもあります。ただ、「RAKUN」のように困難な技術課題を解決する、ビジネス自体を新たに作っていくという場合には、手厚い支援を提供する Azure が最良の選択でした。"

―畑村 匡章 氏:取締役
株式会社グッドラックスリー

エコ システムの形成に向けて

畑村 氏は、マイクロソフトとともに Azure でサービス基盤を構築していることの効果を感じているとし、このように述べます。

「既に幾つかの企業様から、パートナーシップに関わるお話を頂いています。トークンを取り扱う Dapps において、セキュリティはシビアに求められます。パートナー目線に立てば、提携においてセキュリティ面は慎重に判断すべき事項でしょう。ですが、今のところここが争点になったことはありません。Azure そのものが持つ信頼性とアーキテクチャ レベルでセキュアな環境を作っていることが、1 つの要因だと考えています」(畑村 氏)。

国内で初めてブロックチェーン ゲームをリリースした実績。セキュアなサービス基盤が備える高い連携性。これらを武器に、「RAKUN」は今後、様々な企業を巻き込んだ巨大なエコ システムを形成していくことでしょう。グッドラックスリーが推し進めるこの取り組みがモデル ケースとなり、今後、ゲーム市場だけでないあらゆる業界において、ブロックチェーンの可能性が開花していくことに、期待が高まります。

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[PR]提供: 日本マイクロソフト