水泳や野球、陸上にサッカー、テニス――現在こうしたあらゆるフィールドにおいて、世界を舞台に活躍する日本人アスリートが増えています。スポーツというとアスリートばかりに注目が集まりがちですが、今日のスポーツ医科学は大きく発展しています。アスリートだけでなくこれを多角的な専門分野から支えるサポーターの存在なしに、"強いアスリート" "強いチーム" は生まれないのです。

「日本のスポーツを強くする」を掲げて 2011 年に設置された帝京大学 スポーツ医科学センター (以下、TUISSM) は、分野横断的で多角的なサポートの下、アスリートを強力にサポートしています。TUISSM は、最新鋭の設備を備えたサポート センターを東京八王子に構えています。ですが、TUISSM がアスリートをサポートするフィールドは、同センター内に留まりません。アスリートに関わるあらゆる情報をデータ プラットフォームとして統合し、この基盤をクラウド化する。それによって、センター内外問わずいつ、どこであってもアスリートをサポートできる環境づくりが進められているのです。ここで集積されるアスリートの情報は、機微情報も含む極めてセンシティブなものです。「日本のスポーツを強くする」ためのこれらの情報は、Microsoft Azureのデータセンターによって堅牢に守られています。

TASK が日本のスポーツを強くする

アスリートのパフォーマンスを最大化する、傷害から短期で競技に復帰する、傷害の発生自体を予防する――そのためには、異なる専門性を持つ多角的かつ科学的な視点に基づいたサポートが不可欠です。

TASK (帝京アスリート サポート ナレッジ : Teikyo Athlete Support Knowledge) を理念に掲げて提供される TUISSM のサポートは、今挙げた「多角的かつ科学的な視点に基づいたサポート」の実践例だと言えます。帝京大学 スポーツ医科学センター 講師 修士 (スポーツ医学) 日本体育協会公認 アスティックトレーナーの加藤 基 氏は、「TASK では複数分野の専門スタッフがチームを結成し、分野を超えた連携をすることで、アスリートの課題克服を支援します」と述べ、その詳細を説明します。

「スポーツ ドクターがアスリートの健康をサポートする『メディカル』、アスレティック トレーナーやストレングス コーチ、管理栄養士などがアスリートの体づくりをサポートしていく『フィジカル』、運動生理学やバイオ メカニクスの研究者が体や動きに関する測定結果に基づいて選手をサポートする『サイエンス』、そして ICT によって選手の情報を管理してより効率的なアスリート サポートを実現する『テクノロジー』、以上の 4 つの異なる分野が連携することで、TASK は機能します。TUISSM ではこの TASK という理念の下、帝京大学内だけでなく日本全国のアスリートをサポートしています」(加藤 氏)。

  • 帝京大学 スポーツ医科学センター 加藤 基 氏
  • 東京八王子に本拠点を構える TUISSM。同センターでは TASK を理念に掲げ、 あらゆるスポーツ、あらゆるフィールドで、最先端のアスリート サポートを実践している

    東京八王子に本拠点を構える TUISSM。同センターでは TASK を理念に掲げ、あらゆるスポーツ、あらゆるフィールドで、最先端のアスリート サポートを実践している
    画像提供:帝京大学 スポーツ医科学センター

  • 「フィジカル」の分野におけるトレーニング時の情報は「テクノロジー」分野の技術によって 即時にデジタル化される。そしてこの情報と「メディカル」や「サイエンス」分野の情報とを かけ合わせることで、多角的かつ科学的な視点に基づいたサポートを提供することができる

    「フィジカル」の分野におけるトレーニング時の情報は「テクノロジー」分野の技術によって即時にデジタル化される。そしてこの情報と「メディカル」や「サイエンス」分野の情報とをかけ合わせることで、多角的かつ科学的な視点に基づいたサポートを提供することができる

包括的なサポートを目指して、アスリートの情報を Microsoft Azure に集積

TUISSM は 2018 年 10 月、最新鋭の設備を整えた新センター棟を八王子に新設しました。科学的根拠に基づいたプログラムを最新鋭の設備の下で実践することで、従来以上に高度なサポートを提供可能にしています。

さらに、加藤 氏は、テクノロジーとの連携があることによって、アスリートのサポートの範囲を拡大することが可能になると言及。この拡大が生み出す価値について、このように述べます。

「最新鋭の設備を備えた環境でサポートできることは、TUISSM の大きな特徴です。ただ、アスリートを包括的にサポートしていくためには、食事や起床といった日常生活にまで関わっていく必要があります。トレーニングの成果、健康状況だけでなく、こうした日常生活にまで踏み込んでアスリートのデータを集積する。これを複合的に分析し、その結果を我々サポーターとアスリートの双方が有効に活用する。こうした環境、体制があってようやく包括的なサポートが実現されるのです。TUISSM では今、『テクノロジー』の分野が主導する形で、このための環境づくりが進められています」(加藤 氏)。

TUISSM では帝京大学テクノロジープロジェクトと称して、同取り組みを推進しています。同プロジェクトでは、アスリートに関わるあらゆる情報をデータ プラットフォームとして統合する、同基盤を Microsoft Azure (以下、Azure) に構築する。これによって、センター内外のどこであってもプラットフォーム上にあるデータへアクセスできる環境づくりが目指されています。

「アスリートの健康を管理する電子カルテについては、クラウド化によって既にセンター外でも参照可能になっています。」こう語るのは、帝京大学テクノロジープロジェクトをリードする帝京大学 スポーツ医科学センター 特任研究員の宮地 力 氏です。同氏は、プロジェクトにおけるコア テクノロジーの 1 つとしてクラウドを挙げ、このように説明します。

「プロジェクトでは、様々なシステム、様々な人が持つあらゆる情報を統合することを目指しています。ただ、ここへアクセスできる環境がセンター内に閉じていては、包括的なサポートは実践できません。いつ、どこからでもデータへアクセスすることができる。こういった環境を構築する上で、クラウドの活用は必須だと言えました。幸いにして TUISSM では帝京大学がマイクロソフトと契約している包括ライセンスが利用できるため、Azure を利用してデータ プラットフォームの構築を進めています」(宮地 氏)。

  • 帝京大学 スポーツ医科学センター 宮地 力 氏
  • Azure でデータ プラットフォームを構築することで、アスリートをサポートする領域を センター外にまで拡大することが可能となる

    Azure でデータ プラットフォームを構築することで、アスリートをサポートする領域をセンター外にまで拡大することが可能となる

機微情報の取扱いに耐えられるセキュリティ水準が、Microsoft Azure を選択した理由だった

宮地 氏が述べた通り、TUISSM には兼ねてから、Azure が利用できるというバック グラウンドがありました。しかし、同センターがデータ プラットフォームの構築を Azure で進めている背景には、これ以外にも理由があったといいます。

既述のとおり、データ プラットフォームではアスリートに関わるあらゆる情報が集積されます。その中には、診療情報や医療画像といった個人の機微情報も含むため、データの取り扱いには細心の注意を払わねばなりません。

「データ プラットフォームにある情報は、個人情報の塊のようなものです。ただ、マイクロソフトのクラウド サービスはエンタープライズ水準の信頼性を備えています。安心してアスリートの情報を預けることができるという点も、Azure で構築を進めている理由です。」このように宮地 氏は言及。さらに、アスリートのデータの活用幅をより広げられるのではないかという期待もあったとし、次のように説明します。

「Azure は機械学習モデルを開発する Azure Machine Learning やデータを可視化する Power BI といったサービスを備えています。これまで以上に高精度なエビデンスをもってサポーターやアスリートの意思決定を支援する。そんな世界が実現できると考えています」(宮地 氏)。

Microsoft Azure の各種サービスを活用し、情報の網羅性を高めていく

「テクノロジー」の分野から TUISSM でしか提供できない独自の強みを追求していく。そのための 1 つの試みである帝京大学テクノロジープロジェクトは、既述の通り電子カルテの稼働がスタートするなど、既に実践のフェーズへと移されています。加藤 氏は、同試みに向けた期待をこのように語ります。

「練習だけでなく、食事や睡眠など日々の生活を含めたすべての観点で "ここまでやった" という実感が、アスリートの中にある自信を育むのだと思います。アスリートが自らスマートフォンなどを介してクラウド上にある自身の情報にアクセスする。自らの生活情報をクラウド上へ入力する。そうした環境や風土が形成されれば、体と心を包括したサポートが実現できると考えています」(加藤 氏)。

加藤 氏が述べたアスリートによる情報入力は極めて重要な視点だと、宮地 氏は続けます。同氏は、今後はデータをいかにして集積していくかが大きなテーマになるとし、プロジェクトの構想について次のように説明します。

「アスリートのあらゆる情報を集積しなければなりませんから、アスリートに自身の情報を入力してもらえるような仕組みは必須になるでしょう。また、情報の網羅性を高めるためには従来のようにデバイスを介して情報を入力する以外の手法も検討せねばなりません。例えば、TUISSM にある室内練習場では、アスリートの重心移動や走る間隔などを床に設置したフォース プレートによって自動的にデジタル化する仕組みを実装しています。また、センター内にあるカメラで収集した映像を AI 解析すれば、デジタル化が難しい情報もデータ化していくことができるでしょう。Azure の備える機能を活用することで、こうした情報の網羅性にもアプローチしていきたいですね」(宮地 氏)。

  • フォース プレートが設置された室内練習場 (上)。アスリートの日々のトレーニングから自動 でデータを集積する仕組みや、アスリートが自ら食事といった日々の生活情報 (下) を入出力 するサービスを、今後拡充させていくという

    フォース プレートが設置された室内練習場 (上)。アスリートの日々のトレーニングから自動でデータを集積する仕組みや、アスリートが自ら食事といった日々の生活情報 (下) を入出力するサービスを、今後拡充させていくという
    画像提供:帝京大学 スポーツ医科学センター

長く続いた平成の時代では、数多くのスター アスリートが日本から生まれました。今、平成から令和へと変わり、日本は新たな時代を迎えています。TUISSM によるサポートや同センターが牽引するスポーツ医科学の発展によって、次代でも数多くのスター アスリートが生まれることに期待が高まります。

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