ゲーミングモニター製品も、新時代を迎え始めようしている―――。 これまでゲーミングモニターといえば液晶モニターが多かったが、近年では多くのメーカーが、有機ELを搭載したモニターを発売してきているのだ。
今回、紹介するLGエレクトロニクス(以下、LG)の「LG UltraGear OLED 32GS95UV(以下、32GS95UV)」は、ハイエンドクラスに位置づけられる、有機ELゲーミングモニター。4Kでリフレッシュレート240HzとフルHDで480Hzに切り替えられるDual-Modeや、画素応答速度は30μs(0.03ms)、低残像性能が現状最高位のClearMR 13000をはじめ、優秀な機能を搭載している。
本稿では、有機ELパネルの基礎知識を解説するとともに、同製品の魅力や搭載する様々な先進機能の活用術についても考察してみたい。また、筆者による「32GS95UV」に対しての実測データも紹介する。
最新の有機EL事情はどうなっている?
現在、薄型テレビ市場においても、有機ELテレビ製品が普及期に突入しつつあり、既存の液晶テレビユーザーが有機ELテレビへ買い替えるケースが増えつつある。まずは簡単に、最新の有機EL事情を整理しておきたい。
現在、テレビに採用される大型サイズや、モニターなどに採用される中型サイズの主流の有機ELパネルの中でも、“LGの有機ELパネル”は、白色単色で発光する白色有機EL画素が整然と並んだ有機ELパネルに対し、サブピクセルサイズの赤緑青のカラーフィルターを通すことで、フルカラー発色を実現させている。
LGは、有機ELパネルの大型サイズ品を業界で最も早く量産に漕ぎ着けたメーカーとして知られ、2013年くらいから50型オーバーの有機ELテレビを市場に投入。10年以上に渡る、中大型の有機ELパネルの製造を手掛ける過程で、当初は暗かった有機ELパネルの高輝度化を推し進めてきた。近年では、発光層をマルチレイヤー(多層)化するだけでなく、各画素上に超微細な集光レンズ群を適用することで、発光層からの光の大部分を表示面側に導光させるMLA(マイクロレンズアレイ)を適用させる技術を実用化した。
その結果、LGの有機ELパネルは、今や液晶パネルに勝るとも劣らないほどの高輝度性能を実現している。発色についても、一般的なHDR映画コンテンツが採用するDCI-P3色空間をほぼ全域(32GS95UVでは98.5%)をカバーしている。
なお、今回取り上げる「32GS95UV」は、もちろんLGの有機ELパネルを採用したもの。前述した「マルチ化された発光層」「MLA採用画素構造」の両技術を採用したモデルとなっている。また「32GS95UV」では、4K解像度モニターでありながら最大リフレッシュレートが240Hz、さらにフルHD解像度では最大リフレッシュレートが480Hzまで引き上げることができる“超ハイリフレッシュレート対応機能”の「Dual Mode」もウリだ。では実際に「32GS95UV」について、細かく見ていこう。
有機ELゲーミングモニター「32GS95UV」の実力を徹底検証
モニターにとって重要な“画質”をチェック!
まずは、多くの読者が気にしているであろう「画質」からチェックしていこう。 安価な有機ELモニターでは、外枠の非表示部と表示面の境界に段差があったり、あるいは映像表示が、表示面よりも奥まったところにあるように見える(≒映像表示が引っ込んで見える)場合があるが、「32GS95UV」は違う。映像はディスプレイ表面の“界面”に出現している見映えで……いうなれば、まるで映像がディスプレイ表面に印刷されているような、高級感がある。表示面はノングレア(非光沢)加工がなされており、室内情景の映り込みは(背後に発光体がない限りは)ほとんど感じられない。
画素形状は下記に示すように、LG式有機ELパネル特有の白+赤緑青(W+RGB)型のサブピクセル構造を取っている。
下図は「32GS95UV」に対し、筆者が実際に手持ちの色度計を使って、白色光のスペクトラム図と、CIE色度図を生成してみたものだ。計測時の画調モードはいずれにおいても「ゲーマー1」だが、スペクトラム計測にあたってはSDRモード、CIE色度図生成時はDisplayHDRモードで行った。
白色光スペクラムは、実体光源の青色光のスペクトラムはピークが鋭いが、緑や赤はそれなりといったところ。LG式有機ELパネルは、大体このようなスペクトラムとなる。では、色域が狭いかというと、色度図を見る限りではそんなことはなく、黒枠のRec.2020色空間に対して、相応に高いカバー率を達成している。
参考までに筆者が計測した、ごく普通の液晶モニターの色度図を下記に示すが、「32GS95UV」のものと比較すると、赤と緑の方向の色域が格段に広くなっていることが分かるだろう。
HDR映像の表示能力は?
続いてHDR映像の表示能力だが、「32GS95UV」はVESAのDisplayHDR True Black 400の認証を取得。これはHDR映像の表示品質の認証試験において、ピーク輝度を400あたりで想定した画質設計として問題ないという証明で、数値が大きいほど明るい輝度のピーク輝度が楽しめる。そして「TrueBlack」は、黒を完全再現出来る自発光な映像パネルにしか与えられない「称号」ということになるのだ。
MiniLED採用の液晶機では、膨大な数のMiniLED総数を高輝度方向でコントラストを表現する画質設計となっている。DisplayHDR 1400という規格に対応したモデルもあるが、有機ELの場合は、自発光映像パネルの有機ELの特質をいかして、暗部階調や漆黒表現でコントラストを表現する画質設計となっており、DisplayHDR TrueBlack 400~600の製品が多い。
「高輝度な液晶か」「暗部表現に優れた有機ELか」についてはお好み次第だが、比較的視距離が短いPCモニター、ゲーミングモニター製品では、あまり明るすぎても目が疲れるのでPCユーザーやPCゲーマーには、有機ELモニターは相性が良いだろう。
次に実際にHDR10規格最大値である1万nitまでのテスト映像信号を「32GS95UV」に入力した際に、どういった階調応答をするのか。「EOTF」(Electro-Optical Transfer Function)を実測して見たのが、下のグラフになる。計測画調はHDRモードの「ゲーマー1」(VESA DisplayHDRモード)だ。
これを見てもらうと、最暗部はやや漆黒に引き込まれ気味だ。それ以降は、理想値(理論値)にかなり近い階調再現が行えていることが分かる。
「32GS95UV」のDisplayHDR規格上のピークは400nitではあるが、測定値のピーク輝度は670nitあたりをマークできている。
これは、EOTF測定が画面全体の10%の面積を光らせて行っているため。逆にいえば、本機は、想定される上限消費電力に到達しない範囲であれば、400nit以上での高輝度表現ができることを表しているといえる。ゲームなどおいて、画面の一部が高輝度発光する魔法表現、爆炎エフェクト、様々な灯火類などの自発光表現では、かなり鮮烈な高輝度表現も行えそうだ。
映画コンテンツを視聴してみた。プリセット画調モードの詳細は後述するが、ゲーム用途では無難に使える「ゲーマー1」は上述の通り、漆黒に引き込まれやすくコントラスト重視だ。そのため映画のような映像の情報量が重視されるコンテンツでは、意外なことに画調モードの「RTS」がしっくりときた。「RTS」は暗部の階調が豊かになり、同時に高輝度領域の階調もリッチになる。ただ、人肌の赤味がやや強い印象を持つ。
なお、「32GS95UV」には消費電力や寿命などに配慮するために、高輝度表現の上限輝度を意図的に調整することができる「最大輝度」設定がある。「オフ-低-高」の三段階で設定が選べるので、映像コンテンツ視聴時に違和感がある場合は、このあたりの設定も変更するといいだろう。
設置性は良好、スタンドはピボット回転にも対応
「32GS95UV」の画面サイズは31.5インチ。ディスプレイ部の寸法はW714 × H412 × D65(mm)。ディスプレイ部の重量は約5.6kg。有機ELというと薄型・軽量のイメージがあるが、放熱効率を重視した設計がとられるため、最近の高輝度な有機EL機は厚みと重さが結構ある。特別なモデルを除けば、最近の有機EL機の厚みと重さは、液晶機とそうは変わらない。
「32GS95UV」はスタンドが組み立て式だが、ネジ留めも手回し式のため工具は不要。大きな画面を支えるために重量は約4.2kgある。スタンドとディスプレイ部を組み付けた総重量は約9.8kg。軽くはないが大人であれば、1人で設置や移動くらいはできるだろう。
高さは110mmの範囲内で行え、最もスタンドを下げた状態で画面下部の高さは実測で約116mm、挙げた状態は約529mmだ。ノートPCと組み合わせる場合、スタンドをあげれば、17インチ画面のノートPCを手前に置いても、画面が被り合うことはない。チルト角(傾き)は上15度、下8度、スイーベル(首振り)は左右±30度で、必要十分だ。
また、うれしいことに「32GS95UV」は31.5インチモデルとしては珍しいピボット機能に対応している。筆者は普段4Kの32型画面を縦にして使用しているのだが、Web閲覧、表計算ソフトや文書、ファイルの編集には4K縦画面はとても便利である。ゲーミング用途と日常のPCユースを兼任させて本機を使いたい人にはとても便利に使える機能だと思う。
スタンド部の底面積はW280×D250(mm)。面がはみ出ていいのであれば、このサイズの面積さえあれば設置できることになる。画面サイズの割にはかなり省スペースだといえる。なお、ディスプレイ下辺に対し、スタンド底面のせり出し長さは2~3cm程度だ。よってキーボードやゲームコントローラーなどをかなり画面に寄せても設置が行える。
額縁は上辺と左右辺は実測で約8mm。下辺は実測で11mm。相応に狭額縁なデザインといえる。
HDMIは2.1、DisplayPortは1.4対応の接続性
接続端子パネルは背面中央側にある。LGのモニター製品といえば、その多くが接続ケーブルを水平に挿し込めることが特徴だったのだが、本機は下から上に差し込む方式だ。
「32GS95UV」の基本的な使い方を紹介
メニューの操作系は、LG伝統のディスプレイ部の下部に組み付けられた「4方向ジョイスティック方式」を「32GS95UV」でも採用する。ただ、ジョイスティックの搭載位置が、歴代機で長く採用されてきた所から微妙に変更されている。搭載場所はディスプレイ部の下辺ではなく、背面側の方にある。なので既存のLGモニターユーザーは、最初「あれ?」と思ってしまうかもしれない。もう少し指を奥に伸ばして、L字型に指を曲げれば見つかるはずだ。
操作自体は従来と同じ。直接、スティックを左右操作すれば音量調整、上下操作すれば輝度調整が行える。スティックを押し込めば、メニューが開いて、設定メニュー並行したり、入力切換が行えたりする。設定メニューについての解説は「一般的な機能」と、「32GS95UVならではのゲーミング機能」に分けて解説したい。
「一般的な機能」をチェック!
LGのゲーミングモニター製品では、一般的なテレビ製品でいうところの「プリセット画調」モードは「ゲーム機能設定」-「ゲーミングモード」から選ぶことになる。
「ゲーマー1」「ゲーマー2」はともに初期状態から調整が可能だが、特に違和感がない場合は、そのまま使えばよいだろう。個人的には普段使いや一般的なゲームプレイでは初期状態の「ゲーマー1」を使い、「ゲーマー2」の方は“画質面で気になったときに調整して使うモード”として使い分けるとよさそうだ。「ゲーム機能設定初期化」メニューを使えば、調整した内容は、簡単に初期状態に戻せるので、何をどう調整したか分からなくなったときは、躊躇なく初期化してしまおう。
ちなみに、「ゲーマー1」は、HDR映像を入力時、VESA規格のDisplayHDR標準画質モードとなるので、HDR映像を楽しむ場合は、まず「ゲーマー1」を試してみよう。
「FPS」「RTS」などのゲームジャンルモードは、そのジャンルのゲームをプレイしたときに、試しに使ってみて、気に入ったら使う感じでいいだろう。上述したように映画コンテンツが「RTS」と相性が良かったりすることもあるので、最初はモード名を気にせず、色々と切り換えてみるといい。
- 「HDR効果」: HDR未対応のゲームをHDR映像っぽく楽しむのに向いている。
- 「sRGB」:やや暗くなるが、PCモニターの基準画質となるので、別の画調モードで違和感があったらこれを使うのがいい。
- 「ブラックスタビライザー」:暗部階調を持ち上げて暗がりに潜む敵を見やすくするための機能。
- 「クロスヘア」:画面中央に照準器を表示する機能。一人称シューティング(FPS)ゲームにおいて、照準器をゲーム側で描かないタイトルがあり、そうしたタイトルでも狙い撃ちがしやすいように、という支援機能である。
実は隠れた目玉機能といえるDTS関連機能
「32GS95UV」には、7W+7Wのステレオ内蔵スピーカーが搭載されており、PCサウンドを再生することができる。音質的には、エントリークラスのPCスピーカー程度はあり、YouTubeを楽しんだり、カジュアルにゲームを楽しむ程度であれば十分に使える機能だ。
それと面白いのは、「32GS95UV」は「DTS Headphone:X」と「DTS Virtual:X」のバーチャルサラウンド技術(四方から音が鳴っているように聴こえる技術で没入感が高まる)に対応しているところ。PS5、Xbox Sereies X|S、PCなどを「32GS95UV」にHDMI接続すると、リニアPCMの7.1ch仕様のサウンドデバイスが内蔵されているとして認識されるのだ。
「DTS Headphone:X」は、DTS社が開発したヘッドフォン向けのバーチャルサラウンドサウンド再生技術で、一方の「DTS Virtual:X」はそのスピーカー版に相当するもので、なんと前述した7W+7Wの内蔵スピーカーでバーチャルサラウンドサウンド再生を試みるモードになる。ゲーミングモニター製品でバーチャルサラウンドサウンド機能が搭載されているとは、さすがだ。
実際に今回の評価では、リニアPCM 5.1chのサウンドコンテンツを再生して、「32GS95UV」の「DTS Virtual:X」機能と「DTS Headphone:X」機能を活用して試聴してみた。「DTS Virtual:X」機能は「そこそこ」といったところ。しかし、「DTS Headphone:X」機能の方はヘッドフォンでの視聴にもかかわらず、実際のスピーカーで鳴っているかのような、かなり良好なサラウンド感が得られていた。
筆者は普段、他社のサウンドデバイスを使ってPCゲーム側から出力される「リニアPCM5.1ch」サラウンドサウンドをリアルタイムに「DolbyDigital 5.1ch」へ変換し、バーチャルサラウンドヘッドフォンで聴いて楽しむことが多いのだが、これに見劣りしないレベル。なんなら、そうした追加デバイスなく普通のヘッドフォンで、ここでのバーチャルサラウンド体験が出来るのは、「32GS95UV」の大きな訴求ポイントとなっていると思う。
有機ELパネルの弱点を補う機能も
「全般」メニューの方は、「32GS95UV」の細かい設定を行うところになるが、気になる項目を抜粋して解説しよう。おそらく、液晶モニターを使ってきたユーザーだと初めて目にするのが「OLED画面の移動」「OLEDスクリーンセイバー」「OLED画像のクリーニング」の3つだろう。
有機ELパネルはその原理上、焼き付きを起こしやすい性質がある。これら3つの機能は、この焼き付きをある程度解消したり、有機ELパネルの延命を行うためのものだ。
- 「OLED画面の移動」:表示映像を、ユーザーが気づかないほどのゆっくりな速度でドット単位でランダムに移動するもの。PC画面やゲーム画面は、画面上の同じ場所に同一の表示がなされることが多いので、これを低減する機能。
- 「OLEDスクリーンセイバー」:同一画面が表示されているときに画面を消してしまう機能。
- 「OLED画像のクリーニング」:初期状態の焼き付きの解消を試みる機能。特定の色を長期に表示し続けた画素は、その駆動電極の極性に偏りが出始めているため、この機能を活用すると、これをニュートラルに戻すことが出来る(かもしれない)。この機能の完了には時間がかかり、一度実行させると約10分は作業できなくなるので注意したい。
なお、「入力互換性バージョン」はHDMI接続やDP接続において、表示が乱れたり点滅したりしたときに、活用する設定だ。通常は上端の最上位設定にしておけば良いのだが、古いAV機器、ゲーム機、PCのGPUでは、最新のモニターとの相性が悪いことがあるため、この機能が設けられている。何かあったときにはこの設定を変えてみよう。この設定を変えても表示に異常が見られる場合は、HDMI/DPケーブルを疑おう。
「32GS95UV」ならではのゲーミング機能をチェック!
ここでは「32GS95UV」ならではのゲーミング機能について見ていく。HDMI入力時は「VRR」、DP入力時は「Adaptive-Sync」と表示されるメニューは、可変フレームの映像を美しく表示するための「VRR」「Adaptive-Sync」の機能の有効化、無効化の設定メニューになる。基本的には有効化しておいて問題のない機能だ。
リアルタイムフレームレート表示を可能にする「FPSカウンター」
そして、この「VRR/AdaptiveSync」を有効化した状態で活用したいのが「FPSカウンター」機能である。「VRR/AdaptiveSync」を無効化した状態では、その時点でのリフレッシュレートが表示されるだけだが、「VRR/AdaptiveSync」を有効化した状態で活用すると、その表示が動作中のゲーム側のフレームレート表示に相当するようになるのだ。
これは、「32GS95UV」に接続しているゲーム機やPCが「VRR/AdaptiveSync」に対応していれば、同製品がそのフレームレートに呼応してリフレッシュレートを変化させるため、事実上のリアルタイムフレームレート表示が可能となるわけである。
PCゲームにおいては、従来通りPC側のソフトウェアとしての各種フレームレート表示ツールを使うのも悪くはないが、この機能を活用すれば、PC側に一切負担をかけないでリアルタイムフレームレートが表示できる。
リフレッシュレートを2倍速にする「Dual-Mode」
そして、「32GS95UV」のウリとも言える機能が「Dual-Mode」だ。「32GS95UV」の基準となる最大リフレッシュレートは240Hzなのだが、これを2倍速にするのが「Dual-Mode」となる。
「32GS95UV」は、4K解像度において業界最速レベルの240Hz駆動できる最大リフレッシュレートも特筆すべき点なのだが、この「Dual-Mode」を活用すると、フルHD解像度においては480Hz駆動が実現できるのだ。ただ「Dual-Mode」を有効化しているときには、画面解像度の上限がフルHDになってしまう点には留意したい(=「Dual-Mode」を有効化すると4K解像度表示が行えない)。
「Dual-Mode」を有効化して、画面の一望性が重要視される競技系のゲームをプレイする際、ゲームの種類によっては、「32GS95UV」の32型画面は大きすぎると感じる場合もあるかもしれない。その場合、27型サイズ領域、24型サイズ領域に映像を縮小して表示してくれる。コアなゲーマーにとってはありがたい機能だ。
筆者がGeForce RTX 4090を搭載したPCを使ってテストした範囲では、4K解像度/HDRの240Hz表示、フルHD解像度/HDRの480Hz表示を、本機のHDMI端子、DP端子のいずれにおいても正常に行えていた。
こうしたハイリフレッシュレート表示は、古いケーブルでは電気的な損失が大きくて、高クロック電気信号が鈍ってしまう場合があるため、(実際に、筆者の古いケーブルでも表示が行えないことを確認した)、もし手持ちのケーブルで何らかのトラブルがあった場合は、付属のケーブルを使うようにしたい。
なお、「32GS95UV」の画素応答速度は、0.03ms。これは30μsに相当し、一般的な液晶パネルの100倍も高速なのだ。そのかいあって、残像の少なさは映像関連の標準規格を策定しているVESA(Video Electronics Standards Association)における、動画の残像の少なさを表す指標である「ClearMR」(Clear Motion Ratio)で、現状の最上位である「ClearMR 13000」を達成している。
この「13000の数値の意味」だが、「画面上において、残像でぼやけているピクセル1個に対して、残像のない鮮明なピクセルが、その13000%(130倍)分存在する」の意味を表している。これを「画面上の総ピクセル数」に対し「残像のない鮮明なピクセル」の割合(パーセンテージ)に換算してみると「130÷131≒99.24%」となる。つまり、「画面上の99.24%が鮮明なピクセル」として見えるということなのだ。
ちなみに、ClearMR値はバックライトスキャニングをはじめとする黒挿入系技術の併用をしないで認証されるという。「32GS95UV」のClearMR 13000は、フリッカー感が起こりえない状況下で認証されたものということだ。遅延以上に「残像感を嫌うコアなゲーマー」にとっても、安心して使えるゲーミングモニター製品ということになる。
「入力遅延」の計測結果は?
さて、ゲーミングモニター製品のキモとも言える「入力遅延」だが、筆者が手持ちの遅延計測器で計測したところ以下のようになった。
計測器の仕様で、240Hz時や480Hz時の値は計測できなかったが、これを見る限り240Hzでは0.45ms、480Hzでは0.23msあたりになるのだろうか。いずれにせよ、人間の知覚ではわからないほどの低遅延性能が実現できていそうだ。
結論:現行で最高クラスのスペックを持つ有機ELゲーミングモニターだった
色々と検証してみたが、4Kでリフレッシュレート240Hz、フルHDで480Hz。画素応答速度は30μs(0.03ms)。低残像性能が現状最高位のClearMR 13000。そして圧倒的な低遅延性能。HDR表示性能はDisplayHDR True Black 400。リニアPCM7.1chサラウンド入力に対応したDTSバーチャルサラウンド機能搭載……など。
「32GS95UV」は現行製品で考え得る、最高クラスのスペックを集約したゲーミングモニターだといえる。ゲーミングモニターの買い換えを検討中のユーザーは、一度、店頭で実機をチェックして見てほしい。
[PR]提供:LGエレクトロニクス・ジャパン