スマホで手軽に動画が撮れる時代になり、映像制作に興味を持つ人も増えています。簡単な映像ならスマホでも制作できますが、本格的な映像制作や将来映像制作のプロとして活躍したいのであればPCは必須アイテムといえるでしょう。そこで気になるのが、「映像制作にはどれくらいの性能のPCが必要なのか」ということ。一般的に映像制作はPCの負荷が高く、スムーズに作業をするならある程度のスペックが要求されるからです。

そこで今回、マイナビニュース会員348人を対象にPC選びに関するアンケートを実施。PCの買い替えを検討している理由や、PCを選ぶ際に困ったポイントなどを調査しました。また、後半では映像クリエイターとして活躍するヨシダタカユキさんに取材を実施。

映像制作に必要なPCの条件や、スペックへのこだわり、読者に募集した「ヨシダタカユキさんに聞いてみたいこと」など、さまざまな質問に答えていただきました!

さらにお得なキャンペーン実施中!
詳細は記事末尾に記載しているので要チェック👀

今すぐ特設ページを見る »
  • ヨシダタカユキさん(モーショングラフィックデザイナー)
    映画・TV・CM・イベント・映像メディアなどの分野にてCG・モーショングラフィックスや、グラフックデザインを中心に活動している他、SNS等を通じて自主制作物も発表している。2021~2024年には、優れた作品を生み出す日本の映像作家を100人選出する「映像作家100人」に毎年選出されている

PC選びをする人たちの悩みごととは?

いざPCがほしいと思っても、どんなPCを選んでいいのかわからないと悩んでいる人は多いのではないでしょうか? アンケートでも、8割近くの人が「PC選びに困った経験がある」と回答しました。

その理由としては「価格と性能のバランスが難しい」や「自分に合うスペックがわからない」といった声が挙がっており、多くの人が「価格」と「スペック」で悩んでいることがわかります。

たしかに予算には限りがありますから、できるだけ安く抑えたいのが本音。その一方、価格を抑えたためにスペックが不足し、やりたいことが満足にできないのも困ります。特に映像編集となるとPCにも高いスペックが求められるイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。ここからは映像クリエイターとして活躍されているヨシダタカユキさんにお話を伺っていきます!

ヨシダタカユキさんが得意とするモーショングラフィックスとは?

――まずはヨシダさんのお仕事やご経歴について教えていただけますか。

大学を卒業後、10年ほど都内のデザイン会社に勤務していました。そこは主にテレビやイベントの仕事が多くて、僕もそうした業界で映像制作の経験を積みました。3年前に独立した後も同じ分野の映像制作を手がけてきたのですが、最近では映像の使われ方も多岐にわたるようになり、映画やCM、Webなどの領域でも映像制作を行っています。

――映像制作全般を手がけられるヨシダさんですが、なかでも得意とされているのがモーショングラフィックスと伺っています。モーショングラフィックスとはどのような映像なのでしょうか。

グラフィックや文字などを要素としてアニメーションさせるのがモーショングラフィックスです。また、たとえばSF映画などで、空中で文字やグラフィックが動きながら現れるようなシーンがありますよね。ああいった映像もモーショングラフィックスですね。

――ヨシダさんのオフィシャルサイトで掲載されている作品がまさにそういった映像ですね。ポップな色使いのサイバーパンク風な映像があったり、シックで落ち着いた雰囲気の映像があったりと、作風の幅が広い印象です。

もともとはテレビ番組の仕事が多かったので、ドキュメンタリーのオープニング映像のような硬派の作品も多いです。ただ、僕個人としてはポップなテイストの映像も好きなので、受注製作の合間に作っている自主制作作品はそんな雰囲気に仕上げていますね。

自分を選んでくれたクライアントの期待に120%応えたい

――作品によっても違うと思いますが、アイデアや発想が浮かぶまでにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

これは仕事でやっている以上、納期によるとしか言えない部分はあります。たとえば納期まで1カ月しかない場合、実際に手を動かす制作期間を加味すると、アイデアを練る時間は1週間くらいしかないんです。その際はもう、与えられた時間のなかでできるだけのものを作り上げることになります。一方で映画やブランディング広告の場合、公開まで1年くらいあることも珍しくありません。制作期間も半年くらいいただけるので、アイデアもじっくり練ったり監督と連携して進めていったりしますね。

――ここで事前に募集した「読者からヨシダさんに聞いてみたいこと」をお聞きします。

Q.映像制作のアイデアは普段からストックしておいて依頼に合わせて使うのでしょうか。それともその都度新しく考えるのでしょうか。

溜めておいたアイデアやテクニックを案件に応じて使うことが多いですね。そのためにも自主制作でアイデアを形にしておくことは大事だと思います。自分の作風を突き詰めるタイプのクリエイターもいるし、いろいろな表現を試してみるタイプのクリエイターもいますが、僕はどちらかといえば後者のタイプ。それに、CGやアプリケーション、機能などは日進月歩で進化していくので、普段からできるだけ触れておかないと仕事には使えませんから。

――映像制作で大事にしていることやこだわりについて教えてください。

星の数ほどいる映像クリエイターのなかで自分に声をかけてくれたということは、そこに僕への期待があるのだと思っています。その期待に応えるためにも、特に初回の提案では自分の持ち味を120%発揮して、トゥーマッチになるくらいのものを出すようにしています。これはフリーランスになってからは特に意識していることですね。

――トゥーマッチというと?

オーダーに対して、自分の持ち味をたっぷりと盛り込んだ案も出して、ここまでできますよということをアピールしますね。そこから“引き算”はいくらでもできますから。

「クライアントへの伝わりにくさ」がPCの進化で解消された

――映像制作で大変だと感じることはありますか。

まずはテクニック的なところです。僕はグラフィックデザインから制作することもあるのですが、モーション抜きなら静止した画をデザインすれば成立します。ただ、デザインしたものをモーショングラフィックスとしてアニメーションさせるとなると、CG技術やアニメーションソフトの機能なども詳しくないと制作できませんし、そもそもアニメーションさせるのに向かないデザインもあるわけです。ですから、グラフィックを制作するときは常に「これを映像化できるだろうか。やるならどう映像化するのか」を考えながらデザインしています。

もう1つは提案時の話です。少し前まではクライアントに初回提案する際、動画を静止画として説明する絵コンテやイメージボードを使うのが一般的でした。ただ、クライアントも映像のプロではないので、絵コンテやイメージボードだと動画としての仕上がりをうまくイメージできないことも多いんです。実際に動画になったらすごくかっこいいのに、絵を並べた絵コンテやイメージボードだとそれが伝わりきらなくてもどかしい思いをしたことは多かったですね。

もっとも現在ではPCがハイスペックになったことで、「Vコンテ」という簡易的な映像によるコンテを以前よりスピーディーに制作できるようになりました。映像なのでクライアントも完成形をイメージしながらコンテを確認できます。おかげでクライアントとのイメージや認識の齟齬が少なくなり、仕事がスムーズに進むようになりました。

――再び「読者からヨシダさんに聞いてみたいこと」についてお聞きします。

Q.これから動画編集をやってみたいと思っている初心者の方に向けて、おすすめのツールやテクニックを教えていただけますか。

モーショングラフィックスでいうなら、AdobeのAfter Effectsというソフトが業界標準となっているのでおすすめです。また、Adobe Creative Cloudを契約すればPhotoshopやIllustratorも使えます。これらのソフトも扱えると作品の幅が広がりますよ。

一般的でない他のソフトを使うとなかなか他の人と協業しづらかったりします。たとえばグラフィックデザイナーさんがデザインした作品が送られてきて、それをモーショングラフィックスで動かすという仕事もすごく多いんです。送られてくるのはAdobeのIllustratorのデータだったりするので、そのデータが扱えないとそもそもスタート地点に立てませんから。

本格的にモーショングラフィックスをお仕事にするなら3DCGの技術も重要ですね。平面データしか動かせませんとなると、それが壁となって受けられる仕事が減ってしまいます。3Dでいうと、Cinema 4DやMayaやBlenderといったソフトがよく使われています。私が使用しているCinema 4Dは学生版なら安く使えたと思うので、今学生の方は試してみるといいと思います。

最新のCPUが搭載されたPCで作業効率は大きく向上した

――ここからはヨシダさんのPCスペックへのこだわりについてお聞きします。映像制作というと、高いスペックが必要とされるイメージがあります。

そのとおりです。僕も学生時代は性能の低いノートPCでがんばっていたのですが、今思うとやはり作業が重くてストレスでしたね。その後、会社に就職して高性能なPCを使えるようになってショックを受けましたね。こんなにも違うのか!と。例えるなら、手かせ足かせを付けられている状態で作業をしていた感じです。PCは手足のようなものなので、それから自分でも自宅用にハイスペックなデスクトップPCを購入したのを覚えています。

なので今はPCを買い替える際は、そのときに買える最高スペックのものを選ぶことを心がけています。何をやるにしてもスピードや快適さが違いますし、何よりそこで頭を悩ませたくないんです。

また同じアプリでも日々新しい機能が取り入れられて進化しているので、同じPCを使い続けていると急にソフトが重く、動くが悪くなるということも起こります。買った後に、あのときやっぱりあっちを選んでおけばよかったとか考えたくないので、一番いいものを買ってあとは作品制作に集中するのがベストだと思っています。

――ヨシダさんは最近PC機材を更新されたそうですが、以前とは作業の効率も変わりましたか。

ヨシダさんの新PCスペック
CPU インテル® Core™ i9-14900KF プロセッサー(第14世代)
グラフィックス GeForce RTX 4090 24GB
メモリ 128GB
ストレージ 2TB

まったく違いますね。以前のPCも購入当時は最新スペックだったのですが……映像業界もどんどん進化して作業自体も重くなっていく傾向にあります。たとえば現在、制作中の3DCGモデルですが、編集中にモーションをプレビューしようとすると動きがカクカクしてしまうんです。

それだと完成形がわからないので、スムーズに再生するために一度書き出したりしていたんです。ただ、書き出し自体にも時間がかかりますし、それを修正するのも時間がかかります。それが、新PCになってからはプレビューのカクつきがなくなり、スムーズに再生できるようになりました。プレビューのために書き出す作業も減らせます。また、AfterEffectsやPremierePro、Photoshop、Illustratorといった重いソフトを同時に立ち上げていても、メモリ不足でソフトが落ちるようなこともなくなりました。

  • 3D モーションを作るCinema 4Dでこれだけ大量の3Dグラフィクスのオブジェクトを使っていても、プレビュー画面で即座にカクつきなくスムーズに再生される。同時に他のソフトを立ち上げていても問題なし。スムーズな再生を見てその場ですぐに直したいところを直せるため、作業効率が大幅に改善されたという

――いちいち書き出して確認する必要がなくなったということは、お仕事のスピードアップやクオリティ向上にも貢献しそうですね。

そうですね。以前だと4Kのような高解像度な動画に3DCGを使うと、書き出すだけで3~4日かかることも珍しくありませんでした。そうなるとその分の時間も考慮して制作期間を設ける必要があり、納期がタイトだとお断りするケースもありました。レンダーファームといって、インターネット上で書き出しをしてくれるサービスもあるのですが、毎回の費用や回線速度も関わってくるため、無制限で日常的に使えるわけではないんです。その意味で、PCの性能を上げることは仕事の幅を広げることにもつながりますね。

映像制作を本気で楽しむならハイスペックなPCを選ぶべき

――引き続き「読者からの質問」です。

Q.現在AIがブームになっていますが、映像制作の世界でAIを取り入れることはありますか。

生成AIはまだ問題が多いのでまだ様子を見ていますが、たとえば映像を高解像度化するとか、高フレームレートにするとか、フレーム間をAIが補完して普通の映像をスローモーションにするとか、そういった機能はかなり使えますし、映像の世界でも一般的になりつつあるように感じます。

――その意味では今後もAIの進化が映像業界に与える影響は大きそうですね。

そう思います。映像制作に必要なPCのスペックもまた変わってくるかもしれませんね。また、昔に比べてPCのスペックがあがったり、使用するソフトの向上によって、地道な作業にかかっていた時間や、レンダリング時間をPCに短縮してもらい、構成とか他のことを考える時間を取れるようにもなることも期待しています。

そうなれば、自分にとって力を入れたいところにしっかり時間を使えて、締切は同じでも、提出する作品のクオリティ向上につながるのでうれしいですね。

――ちなみに、これから映像制作を始めたい人がPCを購入するなら、どれくらいのスペックが必要でしょうか。

優先すべきはやはりCPUとグラフィックスで、これはできるだけ最新のものがいいですね。他は予算との兼ね合いですが、4Kや3DCGを取り入れた映像制作をするなら、メモリは64GBくらいあったほうがストレスはないと思います。

そしてストレージはM.2 SSDのようにスピードの速いものにすること。そうしないとデータの読み込みなどで遅延が起きて、プレビューもスムーズに流れない可能性がありますから。どれか1つだけハイスペックにすればいいわけではなく、CPU、グラフィックス、メモリ、SSDなどをバランスよく高めた方がいいでしょう。

――最後に映像制作に興味を持っている方々へメッセージをお願いします。

最近は映像制作やモーショングラフィックスの書籍や教材も充実してきていますので、まずは始めてみることで、本当に自分が本気で映像制作に取り組めるのかどうかがわかると思います。今は動画投稿サイトやSNSなどで人に作品を見てもらえるチャンスもあるので、始めたばかりの人はとりあえずたくさん挑戦して作品を作って発表してみるのもありだと思います。

そうやって学び、作り続け、見てもらうことを楽しめるなら映像制作に向いているのだと思います。そうなれば、あとはできるだけハイスペックなPCを購入してさらにトライ&エラーを重ね、自分自身をドライブさせていってください。

プロになるわけじゃなく趣味などで動画制作を楽しみたい人でしたら、映像制作ソフトは体験版なども充実していたりするので、まずはそちらを使ってみることをおすすめします。

***

映像クリエイターとして映画やCMなどの最前線で活躍されているヨシダさん。3Dなど負荷の高い作業も多いだけに、PCについては常に最新のものを選び、作業のストレスをできるだけ軽減しているというお話が印象的でした。一般の方でも、映像制作をされるのでしたらできるだけハイスペックなPCがおすすめです。

もっとも、ヨシダさんも言うようにスペックはパーツのどれか1つだけの話ではなく、CPUやグラフィックス、メモリ、ストレージなどのパーツ全体で決まるもの。特にCPUはPCの頭脳(コア)ともいわれるパーツで映像制作だけでなく、PCのすべての作業に関わる重要な存在です。

PCは数年使うものですし、今はAI技術の発展により色んなソフトでも日々技術進化を取り入れているため、どうしても重くなっていきがちです。そのため、もしPC選びに迷ったときは、その時出ている最新のインテルCPUの上位モデル(Core i7がおすすめ)が搭載されたPCを選んでおけば間違いないでしょう。

キャンペーン情報


2024年6月22日(土)から、「インテル® CoreTM プロセッサー・ファミリー & インテル® ArcTM グラフィックス製品購入キャンペーン」が行われます。キャンペーン実施店舗で対象製品を購入した人限定で、ここでしか手に入らないオリジナルグッズをプレゼント!
グッズ配布はなくなり次第終了となるそうなので、この機会にぜひゲットしてみてはいかがでしょうか?

▼キャンペーン概要

  • キャンペーン期間:2024年6月22日(土) ~グッズがなくなり次第終了
  • 対 象:キャンペーン実施店舗にて、対象製品を新品でご購入された方
  • 提供方法:対象店舗のレジにてご購入と引き換えにグッズをお渡し
  • 提供条件:先着でプレゼント。各実施店舗の準備数がなくなり次第終了となります
  • 主 催:旭エレクトロニクス株式会社 / 岡谷エレクトロニクス株式会社 / テックウインド株式会社 / 菱洋エレクトロ株式会社

[PR]提供:インテル