荒削りだがスマートにまとめられた水冷ボックス

次は「G-Tune H5-LC」に同梱される水冷ボックスに注目しよう。縦置きが前提となっており、両側面に通気口、ユニット前方にリザーバー、取排水口は本体下部に配置されている。この水冷ボックスにACアダプタを直接接続し、本体は水冷ボックスから電源をもらう設計は実にスマートだ。

  • 「G-Tune H5-LC」に付属する水冷ボックス。大きさはおおよそW75×D205×H190mmなので、少し厚めの辞典や外付けHDDといった雰囲気

  • 背面にあるバレルジャックに本体のACアダプタを接続し、背面から出ているケーブルを本体のAC入力に接続することで配線をシンプルにできる

  • 前面下部にホースを接続。中央のスリットは水量レベルを確認するためのものだが、非常に見づらい。下部にあるLEDは一見、水量インジケーターのようだが、光るだけでなんの機能もないのが残念極まりない

  • 上部には電源スイッチと注水口。注水口は単なるゴム栓なので紛失しないように注意したい

  • 水冷ボックスの内部。前面にリザーバー(タンク)やポンプ、後部120mmファンとラジエーターなどが配置されている

  • 水冷ボックスの同梱物。冷却水として使う精製水のほか、漏斗や給水ボトル、長期間(1カ月以上)使わないときにリザーバーから水を抜くための器具など。冷却水が足りなくなったら高純度の精製水を準備するといいだろう

冷却水用のホースと本体の接続は、前述の通りクイックリリースカップリングが採用されているので着脱は簡単だ。一方、水冷ボックス本体とホースはネジ留め方式だが、これが少々くせものだ。ホースを本体側の差込口にしっかり押し当ててから、ネジを回さないと水が漏れる(経験談)。よってG-Tune H5-LC本体と水冷ボックスを最初に組み合わせる際は、水が漏れても大丈夫な場所で一度水漏れテストをしておこう(最悪、水冷ボックスからの水漏れで本体が故障しないとも限らないからだ)。

  • 本体へ接続する側はクイックリリースだが、水冷ボックス側はネジ留め式

  • 本体と水冷ボックスはこんな感じで接続する。水冷ボックスはある程度離して設置できるので、従来の水冷仕様ノートよりもレイアウトの自由度は高い。ただホースの曲げ半径を考えると、本体の背面には少なくとも80mm以上のスペースが必要になるだろう

冷却水はユーザーが自身の手でタンクに注入し、水量が不足したら追加補充が必要になる。一般的なデスクトップPC用のAIO水冷ボックスの場合、注水も補給も不要なメンテナンスフリー設計になっていることが多いのに、本製品の水冷ボックスは全てユーザーが面倒を見る必要がある。持ち運ぶ際は水抜きをしなければならないため、着脱頻度が高いほど冷却水も減りやすいので、この仕様は当然といえる。一方で、本製品はユーザーを選ぶといえるだろう。

  • 付属のボトルから注水。最初に180mLを入れ、循環モードで少し回してから水冷ボックス正面にあるゲージ一杯まで冷却水を追加する。時々チェックして減っていたら随時給水しよう

本体と水冷ボックスを接続したら、制御は本体にプリインストールされている制御アプリ「Mouse Control Center」より行う。前もって本体と水冷ボックスをBluetoothでペアリングし、「Mouse Control Center」上で接続しておけば、あとは本体を起動あるいはスリープから復帰させるだけで、水冷ボックスも同時に稼働させることができる。

ちなみに本体通電中でも水冷ボックスを着脱することは可能だが、ポンプを動かした状態で行うと冷却水の飛沫が飛ぶ。ゆえに着脱時は「Mouse Control Center」で水冷ボックスを一度切断し、ポンプの電源が切れた状態でホースを着脱したほうがいい。

  • 注水して電源を投入したら、最初にWindows 11の「設定」→「Bluetooth」でペアリングしておく。これを忘れると水循環用のポンプを動かせない

  • 「Mouse Control Center」の「水冷BOX」で「接続」ボタンを押すと、ポンプとファンがスタートする。水冷ボックスを取り外したいときは、「切断」でポンプを止めてから実行しよう。ファンの速度は40/50/60%の3段階が選択できる

このように本製品の水冷ボックスは、コンセプトや性能(後述)は良いが、安全に性能を引き出すには一定以上の注意力が必要になる。しかし、一度動作させてしまえば快適そのもの。後ほど効果については検証するが、水冷にすると本体の冷却ファンの動作が大幅に抑制されるため、静音性が格段に向上するのだ。

水冷ボックスのファンは常に回転しているため無音ではないが、ファン回転数を40%設定にすると、個人的な感覚では卓上扇風機の弱回転程度の音になる。ただ、高負荷をかけて温度が上がりすぎると、やがて本体のファンも回転し冷却を補助するようになっている。

 


 

ここまで、G-Tune H5-LC本体や水冷ボックスの主に外観的な部分について解説したが、次回の後編では、実際にさまざまなベンチマークなどを通じて性能等を検証していく。(※公開は9月中旬頃を予定)

「G-Tune H5-LC」の詳細はコチラ

※ここで紹介した各パーツは、今回試用した機種のものです。出荷時にメーカー、型番などが変わる可能性もあります。ご了承ください。

標準スペック

メーカー マウスコンピューター
型番 G-Tune H5-LC
ディスプレイ 15.6型WQXGAノングレア/Dolby Vision対応(2,560×1,440)
CPU Intel Core i9-12900H
メモリ 32GB DDR5-4800 SO-DIMM
M.2 SSD 1TB(NVMe)
チップセット
光学ドライブ
グラフィックス GeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU
OS Windows 11 Home 64ビット
LAN 2.5GBASE-T/1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応(RJ-45)LAN、
Intel Wi-Fi 6 AX201(IEEE802.11ax/ac/a/b/g/n)+
Bluetooth 5モジュール内蔵無線LAN
インタフェース Thunderbolt 4(背面Type-C×1)、USB 3.1(左側面Type-A×1)、
USB 3.0×2(右側面Type-A×2)
サイズ W360.2×D243.5×H28mm
重量 約2.27kg
バッテリー
駆動時間
約7.5時間
価格 369,800円(税込)~

上記スペックは、あくまで構成の一例だ。BTOを駆使して、ぜひ自分好みの一台を作ってみてほしい。

価格・構成については、2022/8/1(記事作成日)現在の情報です。最新情報についてはマウスコンピューターのサイトにてご確認ください。

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