SDGsやカーボンニュートラルなど、国内外で環境への意識が高まる今、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーに注目が集まっています。そんな中、50年以上にわたって太陽光発電システム分野で開発を続けてきたシャープが、新たな挑戦に踏み出しました。

  • ソーラーパネル

初期費用ゼロで一般家庭に太陽光発電システムを設置できる新サービス「COCORO POWER」です。

  • COCORO POWER

高額なため、一般家庭にはあまり普及が進んでこなかった太陽光発電。それを初期費用なしで利用できる新たなモデル「PPAサービス」を取り入れ、より多くの住宅の再エネ化を目指しています。その開発秘話に迫りました。

「クリーンエネルギーを初期費用ゼロで」シャープの「COCORO POWER」とは

お話を伺ったのは、「COCORO POWER」を企画・開発したシャープエネルギーソリューション株式会社営業推進統轄部の梶山卓也さん、松山尚樹さん、木場拓哉さんです。

  • Interviewees

「COCORO POWER」は、初期費用なしで太陽光発電が導入できる「PPAサービス」の一つ。どうして初期費用が0円で済むのでしょうか。その秘密は、このサービスのビジネスモデルにあります。

「PPA(Power Purchase Agreement(=電力販売契約))サービス」とは、PPA事業者(今回の場合、シャープ)が太陽光発電システムを各家庭に設置させていただき、発電した電気をご利用頂く電力サービスのこと。10年間のサービス期間中、発電システムはPPA事業者の所有物になるため、初期費用が無料で済むのです。

  • COCOROPOWERの仕組み

これまでシャープが販売してきたのは、太陽光発電システムであり「発電機器」そのものでした。それを顧客が自己資金や住宅ローンで購入し、機器の所有者になる。そして自家発電した電気を使用し、余った電気は売電収入となっていました。

一方PPAサービスの「COCORO POWER」は、シャープが所有する機器を設置し、そこで発電された電気を定額で使用するサブスクリプション型のサービスです。サービス期間は機器の故障があっても無償修理が可能で、終了後は各家庭に譲渡されます。

いまだ普及に至っていない太陽光発電を、より多くの家庭に導入していただきたい。ためらいなく家庭に導入できるよう、初期費用ゼロのサービスを企画しました。


  • 梶山さん

「COCORO POWER」は、蓄電池もセットで導入できるメリットも用意しています。「ソーラー蓄電池プラン」です。

「ソーラー蓄電池プラン」では、昼間に発電した電気の余剰を蓄電池で蓄えます。そうすることで、太陽の光で発電した電気を夜間に使用できる上、万が一災害などで停電が起きても安心感が違います。

非常時もエネルギー供給ができる「レジリエンス住宅」としても機能します。


  • 電気を貯めるイメージ

    「ソーラー蓄電池プラン」は蓄電池に余剰電気を貯められるため、災害時に役に立ちます。

SDGs、カーボンニュートラル、ZEH住宅…シャープがPPAサービスに参入した理由

シャープが「COCORO POWER」を生み出した最大の目的は、「すべての住宅をゼロエネルギーハウスにすること」。その背景には、環境課題への高い意識がありました。

いま、国内外で環境への意識が高まっています。2015年に国際連合のサミットでSDGsが掲げられ、世界で取り組みが加速しているところ。また日本国内でも、政府が2050年に脱炭素社会になることをビジョンとして掲げています。

長らく太陽光発電に携わってきたシャープも、それに貢献しなければならない。そんな課題意識がありました。


「無限にある太陽光や太陽熱で電気を起こすことを考えれば、人類にどれだけ寄与するかは、はかりしれない」。太陽エネルギーに大きな可能性を見出したシャープの創業者、早川徳次氏の言葉です。この言葉を合図に、シャープは1959年以降、50余年にわたって太陽光発電の開発に取り組んできました。

  • 早川 徳次氏の言葉

1959年の太陽電池付きトランジスタラジオの開発を皮切りに、1966年に長崎県上島に灯台用太陽電池を設置。1976年には初の太陽電池付き電卓を発売し、同年、日本初の実用衛星「うめ」に太陽光発電が採用されました。次いで、1994年には住宅用太陽光発電システムを発売。2012年にタイで約73MWのメガソーラー発電所を建設、2019年に電動自動車搭載太陽光の開発と、強い使命感のもとで数々の開発が重ねられてきたのです。

  • 年表

電気を消費するモノをつくるメーカーの責任として、いつか電気そのものをつくる存在になりたい」という創業者の言葉、これがシャープの考えです。

シャープには、先人が行ってきたさまざまな研究・開発を広めていかなければいけないという使命感があります。広く太陽光発電をお客様に提供していきたい、その一心でした。


いま国内では、環境に優しい「ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅」が増加しています。「ZEH住宅」とは、家庭で消費するエネルギーを自家創出して、エネルギー収支がゼロ以上になる住宅のこと。「消費エネルギー」よりも、「創エネルギー」が多くなる工夫がされています。

政府はZEH住宅を積極的に推進していて、同時に「家庭のゼロエネ化」は社会的なテーマにもなっています。実際に2020年の新築注文住宅の50%をZEHで占めることを目標にしました。

しかし、結果的に全体の24%にとどまってしまったのです。


  • エコな住宅のイメージ

どうしてZEH住宅の普及が進まないのか。その大半の原因は、太陽光発電システムや蓄電池設置にかかる高額な初期費用です。
間取りやキッチン、バスルームなど、さまざまな仕様で多くの予算を割く購入者はたくさんいる一方で、太陽光発電はなくても困らない。通常通り、電力会社から電気を購入すれば、生活できる。そんなユーザーの実態が見えてきました。ならば、初期費用をゼロにすれば、より多くの家庭に太陽光発電が普及するのではないか。そんな思いから、PPAモデルを取り入れたサービスの考案が始まりました。

「クリーンエネルギーを手に取りやすく」するために行ったのは、パートナー企業との知恵の共有

PPAモデルの採用は、シャープにとって初めての取り組みでもありました。太陽光発電システムを販売したり、リースで機器を提供したりすることはあっても、「サービス」そのものを提供した経験はほとんどなかったからです。

メーカーとして「電気」を売るのではなく、「サービス」としてお客様に電気を届ける、というのは初めての試みです。ビジネスモデルの構築、お客様との契約やオペレーションなど、サービスとしての提供方法を考えるのに苦労しました。

既存のサービスや他社のケース、お客様のニーズなどをヒアリングしながら、何度も社内検討を重ねましたね。


  • 木場さん

そこで手を取り合ったのが、東京電力グループのTRENDE社。同社はすでにPPAモデルを取り入れたサービス提供の経験がありました。顧客への提供ノウハウや、そもそものPPAサービスの仕組みなど、知恵を共有することで、サービスは形になっていきました。

協業したのは、TRENDE社だけではなく、AIoTクラウド社の知恵もお借りしました。お客様がWEBで契約できるクラウドシステムの開発を行うためです。

今はさまざまな電力サービスがWEB契約を採用し始めているので、弊社でも行わなければ、と思ったんです。


実際にWEB契約を導入したことで、「便利」「契約しやすい」という声が広がったと梶山さん。しかし2021年7月にサービス提供を始めたばかりで、まだ課題はたくさんあると話します。

今後は、サービスの普及が重要な課題だと思っています。PPAサービスの重要性は、新築住宅に住むエンドユーザーだけでなく、家を作る住宅会社やビルダーにも理解していただく必要があります。しかし、まだ訴求力が足りていません。まずは多くの企業と手を取り合うことで、たくさんの住まいに「COCORO POWER」が広がる。

そのためにも、環境省や自治体の補助金活用や、ZEH住宅を推進している政府の方向性、蓄電池がセットにできるというメリット、そしてPPAサービスの必要性など、積極的に伝えていかなければと思っています。

そして最終的に、「すべての住宅をゼロエネルギーハウスにする」というビジョンを実現していきたいです。


「COCORO POWER」に見るシャープの“Be Original.”

「COCORO POWER」は、SDGsにも対応しています。

SDGsの17の目標のうち、3つの目標に当てはまっています。「目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「目標13:気候変動に具体的な対策を」、そして「目標11:住み続けられるまちづくりを」。

誰もが太陽光発電を気軽に取り入れ、また蓄電池によって災害に強い家を作り、それを一つの家庭のみならず街全体に広げていく。そんな未来を実現していくのが、「COCORO POWER」です。


しかし梶山さんは、「COCORO POWER」について「まだ通過点に過ぎない」と話します。

シャープのビジョンは、広く太陽光発電を普及させていくことです。それを実現するために、これまでメガソーラーを開発したり、住宅用の太陽光発電システムを販売したりしてきました。そのうちの一つが、今回の「COCORO POWER」です。

このサービスによって、一般家庭がより太陽光発電を導入やすくなり、シャープの思い描く未来に大きく近づいたと実感しています。次は蓄電池の活用やお客様へのご提供方法など、よりサービスを充実させていくことが目標です。


お客様へのサービス提供オペレーションの構築を担当した松山さんも、サービスへの自信を覗かせます。

シャープは、太陽光発電の開発を50年以降も重ねてきました。そのノウハウや知恵は日本一だという自負があります。次は蓄電池の活用やお客様へのご提供方法など、よりサービスを充実させていくことが目標です。

これからも太陽光発電を展開していくことに変わりはないので、安心して「COCORO POWER」を設置してほしいと思っています。


  • 松山さん

その日本一と自負する技術が、太陽光発電をより多くの人に届ける「COCORO POWER」として形になりました。それは、創業者が掲げた「誠意と創意」に基づいたシャープのマインド“Be Original.”の賜物だといえます。

COCORO POWERの詳細はこちら

[PR]提供:SHARP