GIGAスクール構想により、全国の児童が1人1台の端末と高速なネット環境を利用するようになりました。数年前までの子どもたちと比べると、PCの使いこなしに大きな差が出ています。しかし、使い方は直感的にわかっていてもPCの構造までは知らない子どもも多いはず。
『テクノロジーが不可欠なこの時代。新世代にはコンピューターの特徴や仕組みを理解して、より深い活用や新しい応用ができるようになってほしい』
そんなインテルの思いを込めたPCの構造を学ぶワークショップ「パソコンが動く仕組みを知ろう!」が2月7日、同社とマイナビニュースの共催により実施されました。本記事ではその模様をレポートします。
本ワークショップは、東京学芸大学附属竹早小学校で開かれ、同校の6年生の生徒32人(男女同数)が参加しました。
竹早小学校では、ICTだけでなく包括的な教育環境の構築に取り組んでいます。その取り組みの一環として導入された、内田洋行の空間構築ユニット「SmartInfill(スマートインフィル)」によってICTデバイスを実装した教室が、ワークショップの会場となりました。教室の正面には黒板ではなく、スライド投影もできるホワイトボードがあり、教室内を俯瞰するネットワークカメラも備わっています。
また講師を務めたのは、関西に本社を置き全国でキッズプログラミングスクールを展開する『8×9(ハック)』の柴原洋紀先生。プログラミング指導歴6年のベテランです。
開会の挨拶はインテルの竹元氏がオンラインで行いました。インテルが作る半導体には世界で最も小さな部品が用いられていることから、「インテルは世界で一番小さなものを作っている会社です」とインテルについて子どもたちに紹介していきます。少し表現を工夫するだけで、生徒たちの興味や関心が変わるのがわかりました。
竹元氏の挨拶が終わったところでワークショップスタート。柴原先生が進行する形で、8チームに分かれた生徒たちはパソコンの頭脳といわれるCPUのなかから、SoC(1つに統合されたシステム)の8つのコンポーネント(部品)の役割を調べていきます。また、もしこのパーツがなかったらどうなるのか、解決するにはどうすればよいか、実現するにはなにが必要かなど、チームごとに話し合ってもらいました。
SoCの8つのコンポーネントは「AUDIO」「Storage」「PCIe」「CPU」「Graphics」「Imaging IPU」「Power Management」「Network」です。ワークショップでは、理解の助けとして、インテル知育ブロックも用いながら、SoCを4層に積み重ねた立体的なパーツであることを説明していました。
生徒たちは1人1台ずつパソコンを使いながら、調べた結果や自分たちの考えを共有ノートアプリにどんどん記入していきます。大人でも簡単ではない内容ですが、子どもたちの自由な発想力を感じました。
コンポーネントについて調べ、10分間の休憩を挟んだあと、いよいよサンドボックスゲーム『Minecraft®』を利用したプログラムに入ります。今回は、生徒たちが短時間で学びやすいよう、『8×9』が独自開発したプログラミング学習用Mod(※)『8×9craft(ハッククラフト)』を使用しました。
※:ゲームをより楽しむための改造や要素の追加を行うユーザー製のデータやファイル
『Minecraft®』のワールド上に巨大なSoCのイメージを出現させ、生徒たちはここで各コンポーネントの特徴を示したオブジェクトを作っていくことに。AUDIOならスピーカー、STRAGEなら倉庫など、ゆるく想像してなんでも試してみるといった形で作業を進めていきます。勝ち負けを競うゲームではないため、生徒たちは自由に楽しみながら作っていました。
具体的な操作は、ワールド上で自分の命令に従って動くオリジナルキャラクター・はっくんに指示をすることで行える。命令は「なに」を「幾つ」「どうする」といった、目的を示すブロックの組み合わせによって作っていきます。
参加した生徒のなかには、自宅で『Minecraft®』のプレイ経験のある子も何人かおり、コツを掴むと周囲の生徒に積極的に教え、教わった生徒がすぐに別の生徒に教えていく光景も見られました。
ワークショップ終了後には、実際に子どもたちにも感想を伺いました。
班で調べたパソコンの仕組みをマイクラのなかに作るというアイデアがすごいと思ったのと、そのおかげで楽しく受けることができました。パソコンの仕組みもよく理解できましたね |
Minecraft®を使っての授業だったので経験者の僕的にはすごくやりやすかった。普段のプログラミングと違い、自分がやったことがあるゲーム内でプログラミングするのはすごく楽しかったです |
パソコンの動く仕組みを口で教えていただいただけではなく、実際に自分がロボットを動かしてみながら教えてくれたのでとてもわかりやすかったです |
日常的に遊んだことのあるMinecraft®で、パソコンの仕組みが知れたり、プログラミングができたりするのはとても画期的で、面白かった |
親しみのある『Minecraft®』を使用した授業は生徒たちからも好評で、パソコンの仕組みについても理解が進んだことが見て取れます。子どもたちも大満足なワークショップだったといえるでしょう。
生徒たちによい刺激となったワークショップは、普段生徒を受け持つ竹早小学校の先生の目にはどのように映ったのでしょうか。
佐藤正範先生は「今回教材に利用したMinecraft®は、初めて触った子もいれば、普段自宅で遊んでいる子もいて差がある状態です。ですが、ワークショップを通して『Minecraft®とはこういうものなんだ』と生徒全員が改めて理解することができたと思います。今後このようなワークショップを継続的に実施できれば、今回テーマだったPCの仕組みの理解をより深めることができると思いますね」と述べ、今後も今回のような取り組みを続けることにも前向きな考えです。
ワークショップ中に佐藤正範先生が驚き、かつ安心したのが、得意な生徒たちが自主的に周囲に教え始め、全員の理解がどんどん底上げされていたこと。普段からクラスでなにかトラブルがあったとき、自分たちで解決して乗り越えていく力を養っていたそうですが、今までやってきたことが、きちんと身についていて発揮されたことに喜びを感じたそうです。
佐藤正範先生「通常、教科の内容に関しては、私は推奨していません。表面的な知識だけ教え合って、新しい概念や決まりを間違って覚えてしまう可能性があるからです。ですが、コンピュータに関してだけは教え合うことを解禁しています。コンピューターは間違えたプログラムは間違えた通りに動きます。このため、正しく教え合わないと正しく動かないからです」
前述の通り、竹早小学校ではPCなどのICTを活用した教育に意欲的に取り組んでいます。そこでの教育方針は、PCの操作の仕方だけを学ばせるのではなく、情報の調べ方や整理の仕方、伝え方などを通して、使いこなせる道具にすること。そのため、ハイペースで詰め込んでいくのではなく、発展的に理解し、PCを使って自分たちで問題解決が図れるよう導びいています。
佐藤正範先生「キーボードに初めて触れる子に『なにか調べてみましょう、インターネットで検索しましょう』など、いくつもの要素を1度に触れさせてしまうのはよくありません。そうではなく、たとえば当校では低学年ではカメラを使って好きなものを撮影させ、中学年で数字とアルファベットの組み合わせだけで音楽を奏でさせるといった具合に、ステップアップして学ばせます。生徒たちにはローマ字入力がネックになっているので、まず、そこを覚えてから日本語入力を教えるようにしています」
高学年になれば、付箋紙ソフトや共有ノートアプリなども利用して、調べたことを整理して入力し、スライドを作って順番に発表まで行っているそうです。
佐藤正範先生「学んで欲しいことは、ICTの活用だけでなく、情報活用自体を理解していくことです。コンピューターを使って、『知りたい』、『仕組みを理解したい』と思うようになってほしい。デジタルの裏側に人間がいることを感じ取って、PCを使ってその人を助けてあげたい、便利にしてあげたいと考えられる、相手に共感できる子どもたちになってほしいです」
GIGAスクール構想を通じて、児童のデジタルリテラシーは大きく引き上げられています。そんななか、インテルはオンライン教育の推進や教育スキルアップのための研究開発・支援や協力も行って、子どもたちの将来の選択肢を増やせるようなイベントをいくつも実施しているのです。
10年先、20年先のデジタル社会を担う人材の育成に、インテルの存在は大きな力になっていると感じたワークショップでした。
※感染症対策を十分に行ったうえで撮影をしております。
NOT OFFICIAL MINECRAFT PRODUCT.NOT APPROVED BY OR ASSOCIATED WITH MOJANG
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