日本の教育現場は、GIGAスクール構想の実現に向けて急速にICT化が進んでいる。ほとんどの小中学校で「一人一台端末」の展開が完了し、高校でも配備が始まった。しかし、ツールの導入はあくまで第一段階であり、ICTによってどのように個別最適学習を実現するかが、真に求められている。しかし一方で、通常校務に加えICT化に向けた対応、コロナウィルス感染症対策など教職員は日々多忙を極めているのも実情だ。

個別最適学習をいかに実現するか、教職員にかかる負担をいかに軽減するか、教育現場は多くの課題に直面している。そんな教育現場を支援するために登場した新たなテクノロジーが『ネットワーク音声ソリューション』だ。

当たり前だと思って誰も気にしていなかった? 実は使いづらい校内放送

昼休みや掃除の時間、下校中に流れる校内放送。連絡事項や校内のニュースなどを校舎に流す放送設備はどの学校にも設けられている。しかし実は、従来の校内放送には使いづらい点が数多くあった。

たとえば個別放送のしづらさだ。英語のリスニングテストでは、放送室からではなく、教室にラジカセなどの音声機器をわざわざ持ち込んでテストを実施している。各教室にスピーカーが設置されているにもかかわらず、その行為を二度手間だとは誰も思わない。

放送室での操作も大変だ。多数のボタンとツマミが並んだミキサーで音量を調節し、学校によってはいまだに音源用のCDを入れ替えてデッキから再生しなくてはならない。機器の使い方を覚えるだけでもひと苦労だ。放送部のように機器の操作を学びたい生徒にとっては良い練習環境かもしれないが、そうでない人にとっては操作が煩雑でハードルも高い。この校内放送のあり方を当たり前だと思い、「校内放送を工夫しよう」というクリエイティブな発想がなかなか生まれないのが実情ではないだろうか。

  • 校内放送の機器の使い方が分からず困っている様子

場所や時間を選ばず、ブラウザだけで操作が簡単な『ネットワーク音声ソリューション』

このような課題を解決するのが『ネットワーク音声ソリューション』だ。ネットワーク音声ソリューションは、スピーカーにアンプ・ミキサー・音源ストレージのすべてが内蔵され、パソコンやタブレットで一括管理できるシステムだ。複雑な配線は不要で、LANケーブルをPoEスイッチにつなぐだけで校内のネットワーク環境に接続され、給電と音声伝達の制御が可能になる。

この新しいオーディオシステムを用いれば、再生する音源の設定・変更や再生スケジュールの管理がブラウザだけで完結する。校内にある複数のスピーカーをグループ化できるため、たとえば英語のリスニングテストであれば、「1年生はこの音源をこの時間から」「2年生はこの音源をこの時間から」と異なる音源を別々の教室で放送することが可能だ。また、全校集会や学年集会などで、校長先生からの挨拶や連絡事項を教室から聞くことで、コロナ禍で実施のしづらくなっているイベントにも活用できる。その他に、登下校時にチャイムを流す、昼休みに音楽を流す、事務連絡を放送するなど日常でよく見られる校内放送が、ブラウザの操作だけで場所や時間を選ばずカスタマイズ性のある使い方へと変わる。ブラウザ画面も分かりやすく操作しやすいため、オーディオ機器の使い方を覚える必要もITが得意である必要もない。

  • PDやタブレットのブラウザ画面で操作でき、様々な機器と連携している様子

PCから音源をスピーカーに事前にアップロードしておけば、教員が必ずしもその場に立ち会う必要はない。授業の準備や進路指導、部活動の顧問など多忙と言われている教職員に効率的な働き方をもたらしてくれる。

ネットワークカメラの第一人者が開発した、新しい音声技術

このように校内放送をデジタル化し、教育現場で抱えるさまざまな課題を解決するネットワーク音声ソリューション。さらに、アクシスコミュニケーションズの 「AXIS C8210 Network Audio Amplifier 」を各教室のスピーカーに接続すれば、学校の放送環境はより”スマート化”するだろう。AXIS C8210は、アンプを持っていないスピーカーにアンプ機能を持たせ、さらにIP化できる。この製品を使えば、新しいスピーカーを購入せず既存のスピーカーを使って徐々に校内放送をIP化することもできるのだ。

  • アクシスコミュニケーションズのネットワーク音声ソリューション製品群

    アクシスコミュニケーションズのネットワーク音声ソリューション製品群

キヤノングループの一員であるアクシスコミュニケーションズは、スウェーデンに本社を持つグローバル企業だ。ネットワークに接続できる、コンピューターと一体化型の「ネットワークカメラ」を世界で初めて生み出した企業であり、スマートシティやスマート店舗といった新しい社会に欠かせない最新テクノロジーを提供している。この技術をオーディオ機器に拡張して生まれたのがネットワーク音声ソリューションだ。

カメラとの組み合わせで広がる「個別最適学習」の進め方

ネットワーク音声ソリューションは、ネットワークカメラと組み合わせることで、さらに活用方法が広がる。ある調理専門学校での実習を想定した活用事例を紹介しよう。

その専門学校の調理実習室は、洗浄・下処理・調理といった工程ごとに部屋が分かれていた。各教室で行われる作業の見回りは、教職員への負担が大きく十分な指導ができないという課題があった。

そこで同校が導入したのが、「各部屋にネットワークカメラを設置し、すべての実習状況を確認しながら、スピーカー越しに指導をする」という仕組みだ。いわば管制室を新設したわけだが、大規模な工事は不要だった。オールインワン型のネットワークスピーカー「AXIS C1410 Network Mini Speaker」と、固定ドームカメラ「AXIS P3245-LV Network Camera」を各教室に取り付け、LANケーブルで繋ぐだけだ。カメラとスピーカーを管理するシステムとして、Axisのビデオ管理ソフトウェアである「AXIS Camera Station」を使い、タブレットのアプリからカメラとスピーカー両方の遠隔操作ができる。

こうして同校では、音声による個別指導を実現した。さらに接触回数を減らすことでコロナウィルスの感染対策もでき、より安全でスマートな調理実習の実施が可能になった。調理実習に限らず、複数の教室に分かれる授業において、大いに参考になるケースだろう。

音×画像解析による防犯対策にも期待

ネットワーク音声ソリューションとネットワークカメラの組み合わせは、教育現場のセキュリティ強化にも貢献する。校内に不審者が侵入し生徒たちが犯罪に巻き込まれることは、最も避けたい事態の一つだ。

音には高い防犯効果があると言われており、防犯カメラに警告音を追加した場合、窃盗・いたずら・破壊行為が90%減少したという報告もある。お寺では賽銭泥棒対策としてネットワーク音声ソリューションを導入したという事例もある。

さらにアクシスコミュニケーションズのカメラは、画像解析アプリケーションを備えており「人物が指定した範囲を越えた」「10秒以上うろついている」「校門を乗り越えようとしている」といった条件に反応し、スピーカーから自動的に警告を発したり、担当者に情報や写真をメール送信したりできる。アプリケーションはカメラ内にインストールされるため、画像解析のためのサーバーは不要だ。

個人情報の流出など”サイバー空間”のセキュリティ強化に注目が集まりがちだが、ネットワーク音声ソリューションとネットワークカメラを組み合わせることで、”リアル空間”のセキュリティ強化にも大きく貢献するのだ。

『ネットワーク音声ソリューション』で”よりスマート”な学習環境を

本稿で初めてネットワーク音声ソリューションの存在を知ったという方がほとんどだろう。このソリューションを展開するアクシスコミュニケーションズは”よりスマートで、より安全な世界を”というミッションを掲げ、世界各地で業務の省人化・効率化に取り組んできた。

学校の教職員は、日々大変なオペレーションをこなしている。教育現場に対する同社のソリューションは、教職員にかかる負担を軽減することで、結果的に「教育」という本来の業務へ専念するための手助けとなるだろう。

 関連リンク

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