ニューノーマルな時代と言われるようになり、在宅ワーク、モバイルワークなどの多様なワークスタイルが注目されている。コロナウイルス感染症対策として在宅ワークの必要性も高まっている。
このような時間や場所にとらわれない働き方を実現するには、強固なセキュリティが不可欠だ。
その解決策として、データを端末に保存しないシンクライアントが期待されている。中でもDynabookの提供する「USBブート型シンクライアント Virtual Connect」は、専用のUSBメモリ(起動USBメモリ)を挿すことで社外からでも会社の自席PCを遠隔利用できるようになる。その導入の容易さで群を抜く。
今回は、Virtual Connectを採用したトヨタ車体精工に導入の背景や導入の決め手、導入効果などを伺った。
どこからでも会社の自席PCが操作できる「Virtual Connect」
「Virtual Connect」は、自宅のPCや出張に持参するモバイルPCに、専用のUSBメモリ(起動USBメモリ)を挿して起動することにより、会社の自席PCのリモートデスクトップクライアントとして利用できる。
「Virtual Connect」で起動するPCは、インターネットに接続し、VPN接続を経由してリモート先となる会社の自席PCへ接続する。データはすべて会社の自席PCに保存され、「Virtual Connect」で起動したPCのハードディスクや他の記憶媒体にはデータを保存することができないため、自宅や外出先で社内の情報が漏えいするリスクが低減する。また、VPN接続や会社の自席PCに接続するためのパスワードは起動USBメモリ内には保存しないため、起動USBメモリの紛失・盗難による不正アクセスも心配ない。
今回、「Virtual Connect」を導入したトヨタ車体精工は、トヨタグループのミニバン・商用車・SUVの領域で完成車両メーカーであるトヨタ車体の関連会社の中でも、自動車用シート機能部品などを手掛けるメーカーだ。シート位置をなめらかに前後させるスライドレールが主力製品で、日本で同社だけが製造できる全長3,000mmのロングスライドレールでは、世界初の助手席可動域1,160mmという自由度の高いシートアレンジを可能にした。
他にも、シートの骨格部品や、リクライニングの機構部分、回転盤、足回りやエンジン周りといった、クルマの居住性や楽しみ方に関わる部品を作っており、カーライフの充実をサポートしている。在宅ワークの仕組み作りを急ピッチで進めなければならなかった
――まずは導入に至る背景として、貴社がどのような課題を抱えていたのかから聞かせてください。
(以下敬称略)
浅井:以前から、社内にはITへの対応の遅れを指摘する声がありました。働き方改革の機運もあって在宅ワークの仕組みづくりを検討していました。そんな中で、昨年新型コロナウイルスの感染拡大が起き、社員や地域の方々の健康、安心のためにも在宅ワークの仕組みづくりを早急に進めなければならなくなったという背景があります。
松原:昨年、テレワークに適したツールを探し始める前、まずは自分達の席で使っているPC(ローカル)の中に、ネットワーク上のデータを持ってきて、そのデータを持ち帰っていいから在宅でやってみようと試みました。
しかし、『段取り八分』という言葉もあるとおり、いざ自宅で作業しようとすると、持ち帰っていなかったデータがあり、結局手が止まってしまうことが頻繁に起きます。また、社内ネットワークのデータベースにアクセスできないようでは在宅ワークは難しいというのが、従業員の中での共通認識になっていました。
山本:一方、会社では密を回避するためにPCを使う社員の約20%がリモートで在宅ワークが可能なようにしようという目標が掲げられました。この目標は未だ達成に至っていません。社内ネットワークに社外から安全にアクセスできる、在宅ワークの仕組みづくりが喫緊の課題になったのです。
最大の決め手は、
競合製品では動作しなかったソフトが使えたことだった
――在宅ワークの仕組みづくりの中でシンクライアントに注目したのですね。
浅井:テレワークに適したツールを色々検討する中で、Dynabookの「Virtual Connect」も試すことになりました。業務で使用するソフトが動作したこと、使いやすさやセキュリティ対策、コスト面などで、総合的に大変高い満足感が得られ、本採用に至りました。
競合製品では、ときどき画面操作や画面表示が遅れることがあり、使いにくさを感じることがありました。ですが、Dynabookの「Virtual Connect」では遅延を感じさせないレスポンスの良さがあり、オフィスでパソコン操作をしているのと変わらない感覚で使えるところが良かったです。
加えて、ライセンスがユーザーではなく、デバイス(起動USBメモリ)に紐付くので、複数人で共有する環境ではコストを抑えられることも決め手のひとつとなりました。
当社では現地現物で確認したり調整するような業務もあり 、全員が一斉に在宅ワークになるようなことはありませんので『明日は在宅で仕事します』と言う者が、上司に申請した上で職場内の「Virtual Connect」の起動USBメモリを持ち帰る運用をした方が、出勤管理も効率的ですし、ライセンスコストも抑えることができます。
山本:社内で在宅ワークの対象となる従業員は500名前後です。当面の目標は500名の20%がリモートで在宅ワークできるようになることですから、理論上導入数は最大100ライセンスで良い訳です。Virtual Connectはデバイスライセンスなので、コストパフォーマンスが良い理由はここにあります。
もちろん、これは理論上であって実際は在宅ワークがしやすい部署と、しづらい部署がありますし、管理者の富田などは専用の「Virtual Connect」を1本、常に持ち歩いています。
現在はできるだけ無駄が出ないように徐々に導入本数を増やしている段階です。ライセンスがユーザーではなくデバイス(起動USBメモリ)に紐付くので、運用状況を見ながら、部署ごとなどで追加で導入していけるのもメリットだと思っています。
外部から社内ネットワークに安全にアクセスできる
――導入はスムーズに行えましたか?
富田:大きなトラブルはありませんでした。「Virtual Connect」以外に新しいデバイスを導入する必要はありませんし、専用ソフトウェアのインストールも不要です。本採用の前に各部門にチェックシートを用いながら試してもらい、高い評価を得ていました。
本採用が決まってから、Dynabookさんに用意して頂いた手順書をベースに、社内向けの情報を付加して当社の手順書を作り、社内に展開しました。
IDやパスワードなどはともかく、『IPアドレス』や『VPN』などの専門用語は、分からない人もまだ多いのでそのあたりを補足しました。この作業は一日か、二日ほどで済みました。
松原:PCを起動する際の操作方法を集めながら進めていましたよね。
富田:そうです。「Virtual Connect」は専用のUSBメモリで起動するので、PCメーカーによってUSBメモリから起動するための操作が違ったり、出てくる画面が違うのです。『この画面のときはこう』という例を手順書にまとめたのですが、全部網羅するのは難しいので、ニッチな例は個別で電話などで対応しました。
在宅ワークでは、従業員それぞれが異なるメーカーの異なるモデルのPCを使っています。ネットワーク環境も当然異なります。我々としても一人ずつ把握できる部分ではありません。そこが一番苦労した部分でした。
「Virtual Connect」で在宅ワークの仕組み作りという課題を解決
――実際に導入してみて課題は解決できましたか?
浅井:はい。「Virtual Connect」の嬉しいところは、社内のシステムをまったく変更せずに導入できる点だと思います。自席のPCにリモートで入ってくるから、自席のPCとまったく同じセキュリティで使えます。自席のPCのセキュリティがしっかりしていれば、導入に際して改めてセキュリティについて考える必要がありません。
既存のPCや社内システムを活用できるので、時間もコストも最小限に抑えられ、課題となっていた、迅速な在宅ワーク環境の仕組み作りに成功しました。
山本:「Virtual Connect」で社内ネットワークに在宅で安全にアクセスできることが分かり、社内でも積極的に活用する人が徐々に増えてきています。今後は、より生産性の上がる使い方や社内システムの改善なども進め、目標達成を目指していきます。
「Virtual Connect」を利用して生産性の向上した部分
――在宅ワークがしやすい部署としづらい部署があるとのことでしたが、具体的にはどのような部署になるのでしょうか。
山本:「Virtual Connect」を一番使っているのは、私どものいる事務方で、外へよく出る営業調達部門や、人事総務部門の集まった、経営戦略部という部署です。30名ほどいますが、いま部署で18本使っています。部署の60%が在宅ワーク可能な体制になっている計算です。
浅井:在宅ワークがしづらいのは、工場などの現場に近い部署です。物を見なければ作業しづらかったり、ディスプレイも画面の大きいものを必要とするソフトなどは、自宅のPCでは画面が小さくて使いづらかったりするのです。
山本:とはいえ、愛知県も新型コロナウイルス の感染者や濃厚接触者が急激に増えたことで、工場などの現場が『我々は現場に来ないと仕事にならないから』と言っていられなくなってきました。在宅でできることが少しでもあるなら、それは在宅でやろうということになり、部署内の「Virtual Connect」が足りずに、他部署に余っているものを借りて回ることまでありました。このように部署間で融通できるのも良いところです。今後は使用者がますます増えそうです。
――導入したことで生産性が上がった部分はどういったところでしょうか。また、残っている課題はありますか。
浅井:会社でやっている仕事を自宅でやると作業が早くなるかというと、個人単位では集中できて早く終わることもあるかもしれません。しかし、部署単位でみると、在宅ワークの人がいない分、会社では電話対応する人が減っていて部署全体の効率は下がっている可能性もあります。このため、在宅ワークですぐに生産性が上がるものとは言い切れません。
しかし、移動時間を上手く使って報告書を早く作ったり、育児や介護で出社が難しい人が隙間時間で業務に参加したりすることが可能になりますし、ペーパーレス化など仕事のやり方を見直す“きっかけ”になって生産性向上につなげることはできると考えています。
山本:在宅ワーク時の勤怠管理をするために、PCの使用時間を把握できる別のツールも導入しました。PCをいつから使用し始めて、いつ使い終わったのか、時間を表示することで、在宅ワークでも勤務時間の正確な管理ができるよう整えたのです。在宅ワークの生産性向上という意味では1つ前進できたと思っています。
松原:「Virtual Connect」を利用して、社内ネットワークへのアクセスは問題なくできるようになり、在宅ワークがしやすい環境になりました。社内目標を達成するには、導入した「Virtual Connect」をいかに活用するかが大事になります。これからは仕事の前さばきの部分、いわゆるマネジメントの部分を改善していきたいと考えています。
――本日はありがとうございます。
ニューノーマル時代の社内システムの再構築に最適なソリューション
「Virtual Connect」は、専用のUSBメモリ(起動USBメモリ)を自宅のPCや、出張などに持ち歩くPCに挿し、会社の自席PCへ接続して起動することにより、どこからでも社内PCの環境を再現することができる。そのため会社にいるのと同じように業務が可能だ。セキュリティの不安がなく、導入コストも抑えられるのも利点と言える。
ニューノーマル時代の社内システムの在り方を模索中の企業は、この機会に「Virtual Connect」を検討してみてはいかがだろうか。詳しくはDynabookの紹介サイトを参照してほしい。
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