2020年11月6日から2021年1月18日にかけて開催されたFileMaker選手権 2020。FileMakerで作ったオリジナルのカスタム Appをたくさんの方にご応募いただきました。今回は、全54作品の中から栄冠を勝ち取ったエンジニア経験者部門2名と、開発未経験者部門2名の方々にオンライン会議に参加いただき、選手権の感想や、FileMakerの魅力について語り合っていただきました。
参加者プロフィール
エンジニア経験者部門 金賞受賞
作品名「モデラーズフリー」:賀東穴鈴さん(以下、賀東さん)
エンジニア経験者部門 審査員特別賞受賞
作品名「ヴァイオリン教室アプリ」:ヴァイオリンを弾くペンギンさん(以下、ペンギンさん)
開発未経験者部門 銀賞受賞
作品名「おなかすいたの?」:観光ビジネスBチーム/代表:目黒虹汰さん(以下、目黒さん)
開発未経験者部門 銅賞受賞
作品名「100masu&100wari」:roromich(ロロミチ)さん(以下、ロロミチさん)
FileMaker選手権に応募したきっかけと受賞したときの感想は?
──はじめに、みなさんがFileMaker選手権に応募したきっかけとFileMaker歴について教えてください。
賀東さん:「モデラーズフリー」は、プラモデルの作業工程や着色などを管理するのに必要だったので作りました。FileMakerは仕事で使っています。
ペンギンさん:私自身ヴァイオリン教室に通っていたことがあって、それでいつか作ろうと思っていましたが、応募期間が延長されたので、良い機会だと思って挑戦しました。FileMakerは4年くらい前から、両親が経営しているデイサービス施設のカルテを電子化したいと思って利用し始めました。
目黒さん:北海道斜里高校で行っている「観光ビジネス」という授業の一環でFileMakerのアプリを作り、応募しました。FileMakerに触れたのは授業が初めてです(※北海道斜里高等学校はClarisの教育機関向け特別プログラム「FileMakerキャンパスプログラム」の指定校)。
ロロミチさん:過去に開催されていたFileMaker選手権のカスタム Appをいくつかダウンロードしていて、いつか自分も参加してみたいと思っていました。そして今回、締め切りがちょうど本業の繁忙期から外れていたので、腕試しのつもりで応募しました。賞品はハムを狙っていました(笑)。
──受賞の連絡を受けたときに感じた率直な気持ちをお聞かせください。
賀東さん:嬉しかったです! 模型が好きな方にぜひ使って頂きたいと思いました。
目黒さん:卒業式よりめちゃめちゃうれしいなと思いました。自動車免許の取得とアルバイトを両立しながら、合間を縫って学校や家で作業していたので、努力が実ったなと思いました。まだ親には言ってないんですけど……(笑)、先生は「頑張った甲斐があったね」と褒めてくれましたし、北海道新聞の取材も受けました。
*目黒さんが取材を受けた記事は北海道新聞道東版3月27日朝刊に掲載されました。
賀東さん:目黒さんにお伺いしたいのですが、受け取った賞品はどうされたんですか?
目黒さん:次の世代の人たちに回そうということで、MacBook Airは学校に寄付しました。モバイルバッテリーはメンバーのみんなで分け合いました。
ロロミチさん:私は小学校からずっとコンテストで表彰されたことがなかったので、受賞したことを周囲に報告できたことがうれしかったです。家族や友人はFileMakerのことを詳しく知らないので、受賞したことで私がどういうものを使っているのか、どんなことをしているのかを説明する良い機会になりました。FileMakerを使っている従業員には「今使っているのは、受賞した人が作ったカスタム Appなんだよ!」と自慢することができて、これが一番うれしかったかもしれません。
ペンギンさん:受賞してビックリしました。そして、賞品としてとてもおいしい信州ハムがもらえたことがすごくうれしかったです!ヴァイオリンの先生をしている友人との会話からこのアプリを作ろうと着想し、ヒアリングさせてもらったので、その友人にも報告しました。作ったアプリが受賞したこと自体より、ハムをもらえたことに対しての反応が大きかったですね(笑)。ハムは家族で分けて食べました。
作品のアイデアとこだわりポイントは?
──受賞作品のアイデアはどのようにして生まれましたか?
賀東さん:作品のテーマでもある「プラモデル」の塗料には、たくさんの種類があるんです。たとえば「灰色」といってもその範囲内に濃淡、色調の異なる色があり、実際に塗ってみないとわからない場合もあります。以前どんな色が出たのかを記録できれば便利だと思って作りました。完成した作品をギャラリーにして並べて鑑賞するのも楽しみのひとつです。また、動画配信サービスなど何か別のコンテンツを見ながら作ることが多いので、ボタンひとつで起動できるようUIも工夫しました。
目黒さん:チームの仲間で「斜里町のグルメサイトみたいなものがあったらいいよね」という話をしていて、「じゃあアプリで作ってみよう」となりました。田舎の町なので、グルメサイトに載ってないお店もたくさんあるんです。同じ学年の4人チームで作っていたのですが、最終的には私がFileMakerをずっといじっていて、もう1人がデザイン担当、あとの2人がお店やメニュー、営業時間を調べて、今回のアプリを完成させました。
ロロミチさん:私は学習塾を経営していまして、“100ます計算*”をずっと紙ベースで行っていました。ですが、それを続けていくのは難しいところがあるんですよね。子どもたちがやる気を維持できないとか、答え合わせに時間がかかるとか、いろいろと問題がありました。そこでまずは子どもたちの「継続できない」という課題を解決し、全員に取り組んでもらいたいと思って塾で使うために作ったアプリが今回の応募作品のベースになっています。応募に当たっては、子どもたちが自宅で使いやすくなるよう自由にルールを作れるようにしました。コロナ禍によって自宅学習が増え、iPadも普及したので、多くの子どもたちに使ってほしいと思います。
*100ます計算:タテヨコ10ずつの「ます」の左と上にそれぞれ0から9の数字をランダムに並べ、これらが交差する「ます」に指定された計算方法(足し算、引き算、掛け算、割り算)の答えを記入する計算トレーニング。
ペンギンさん:音楽業界がコロナ禍の影響を受けていることを感じて、このご時世に合わせたヴァイオリン教室アプリを作ってみました。新型コロナウイルスに感染したときのことを考えて、いつ誰が来たかを記録してあとから検索できるようになったらいいなと思い、レッスンのスケジュールや内容を記録できるアプリを作りました。また、演奏した曲が何調かを記録しておけば、先生が「この子は最近伸び悩んでいるので、得意なあの調の曲を弾かせてみよう」という風にレッスンの内容を考えるのにも役立つんじゃないかなと思います。
──受賞された作品の「ここ!」というこだわりポイントを教えてください。
賀東さん:工数の半分以上はデザインに費やしました。トップ画面の隠し機能として模型製作が嫌になってしまったときの「言い訳」が出てくる機能も付けました(笑)。どんな言葉が出てくるか、ぜひ試してみてください。
目黒さん:チームでこだわったのはデザインですかね。ロゴデザインだけでなく、アプリ下のバーデザインなどにもこだわりました。背景は流氷やキタキツネなどで、これは知床の風景なんです。また、調べた情報を後から見返しやすいよう履歴やブックマークの機能を追加したりもしました。
ロロミチさん:学習塾に在籍している生徒は小学生から高校生までいるので、幅広い年代に対応できるようこだわりました。たとえば小学校低学年も利用するので、できる限り漢字は使わない、指のサイズの違いを意識したUIにする、といった工夫をしています。FileMaker 19の新機能 アドオンで使いやすくなったので、それも取り入れました。当初は締め切りまで時間がなかったので、簡単なマニュアルをwebページに作り外部リンクだけFileMakerに追加しました。募集期間が延びたのでYouTubeに動画を上げたりして、webページ内を更新することができました。作ったあとで変更しやすいのも FileMaker の良いところだと思います。
ペンギンさん:私の場合は、ほかの楽器に変えたり、複数人で使ったりすることも想定しながら作ったという点です。発展の可能性を見据えながら開発したというのが、あえて言うならこだわりのポイントです。実はFileMakerのアプリ開発期間は2日程度で、工夫らしい工夫はしてないかもしれません(笑)。
FileMakerの良さ、オススメのポイント
──ここからはFileMakerについてお聞きしていきたいと思います。FileMakerを使ってみてここが良かったというポイントを教えてください。
賀東さん:こういう選手権をやったときに、ライセンスなしで受賞作品のアプリを動かせるのは大きな特徴ですよね。ほかのソフトウェアやプラットフォームだと、いろいろと契約が必要じゃないですか。そのあたりのことを考えずにApp Store で 無料でダウンロードができるFileMaker Goで ほかの人が作ったカスタム Appを動かすことができるのはとても良いところだと思います。
ペンギンさん:開発するためのFileMaker Pro が45日間無料で評価版として利用できるのもいいですよね。そこで操作感を試して、ライセンス購入の検討をすることもできます。
ロロミチさん:本当は高校生の方にも、もっとFileMakerに触れてほしいんですよね。私は今回のカスタムAppにいろいろな設定をして、FileMaker Goだけでも子どもたちが自由にカスタマイズできるよう遊びを持たせています。
目黒さん:今回初めてFileMakerを使ったのですが、ボタンの配置などはわかりやすいと感じました。よくあるプラットフォームのようにプログラム言語をガーッと打ち込む感じじゃなくて、マウスを使っていろいろなことを実現できるのはすごいなと思いました。
ロロミチさん:私もプログラミングはほとんどできなくて、Excelでマクロを組み始めた頃から面倒になってFileMakerを使い始めたんです。その後プログラミング言語を勉強すると、こんなに難しいんだと感じました。FileMakerは操作が簡単なので、FileMakerでできることは基本的にFileMakerでやりたいと思っています。
──それでは、FileMakerを人に勧めるとしたら、どんな風に紹介しますか。
ロロミチさん:ソフトウェアを連携させたいという人にはFileMakerは勧めやすいですよね。ひとりで作ってひとりで運用するならそんなにお金もかかりませんし、ソフトウェアのちょっとした足りないところを補えます。
賀東さん:私は商売としてFileMakerを使っているので、人に勧めるコメントは営業みたいになっちゃうんですけど(笑)、あえて言うならプログラム経験がない素人でも、頑張ればなんとか社内システムを作れちゃう感じかな。専門家のためだけじゃない開発環境という印象はありますね。困ったときは「Claris コミュニティ」という掲示板があり、親切な人が教えてくれます。
ペンギンさん:オリジナルのカスタム Appを作りたいという人がいたら、「PowerPointを使うみたいに使えるよ」という感じで紹介すると思います。勧めるかどうかはケースバイケースですが、画一的ではないことをしようとしている人、データベースが必要な場面、レイアウトを整えるような用途には適しているので、勧めやすいですね。
賀東さん:Clarisさんは最近、初心者向けのカスタム Appの無料サンプルとカスタマイズ可能なテンプレートを業種・種別に紹介するページを公開されたので、こちらを使ってもらってみるのも良いかもしれませんね。
FileMakerを使ってやってみたいことは?
──FileMakerを使ってやってみたいこと、作品を改修したい点などがありましたらお聞かせください。
ロロミチさん:「100masu&100wari」で実装できなかったのがSNSなどとの連携です。APIの情報も出てきていますので、そのあたりは使ってみたいなと思います。FileMaker iOS App SDKにも挑戦してみたいです。
ペンギンさん:先ほどちょっとお話ししましたが、「ヴァイオリン教室アプリ」を複数人で使えるよう改修したいです。そのほか、オンラインミーティングのURLを管理できるようにして、FileMakerのUIからアクセスできるようにするのも良いかなと思います。
目黒さん:「おなかすいたの?」は道の駅で配信してもらう予定なんですが、いまはお店の住所や名前など中途半端に英語対応しているんです。もし改修できそうであれば完全に英語に対応して、海外から来られる方も使えるようにして、地域の活性化に役立ててもらいたいと思います。
──最後に、受賞作品のアピールや、FileMakerに興味がある方へのメッセージをお願いします。
賀東さん:「モデラーズフリー」は模型づくりが趣味の方に向けて作りました。模型を作っている方は、ぜひダウンロードしてみてください。
目黒さん:FileMakerに興味のある方は45日間の無料評価版で、ぜひ試してみてほしいと思います。自分のなかで45日間はすごく長い期間で、いろいろと学ぶことができました。
ロロミチさん:マイナビさんといえば就活サイトのイメージがあります。面接でFileMakerを使ってカスタム Appを作った経験を話したら、面接官は興味を持ってくれると思うので、ほかの就活生と差別化も図れるかもしれないと思います。
ペンギンさん:実際にヴァイオリン教室を開いている方に「ヴァイオリン教室アプリ」を使っていただきたいと思います。FileMakerはアイデアをすぐカタチにできるのがすごく良いところです。ものづくりが好きな人、アイデアを出すのが好きな人は一度触れてほしいと思います。FileMakerを使っていると「意外とできるんだね」「こんなこともできるんだね」とよく言われるので、ITでもうちょっとビジネスを便利にしたいという中小企業の方にはお勧めです。
「FileMaker選手権 2020」は、授業でFileMakerに触れた高校生から、仕事でFileMakerを使いこなしているプロフェッショナルまで、さまざまな方にご応募いただきました。あらためて、受賞された皆様に賛辞を贈らせていただきますとともに、ご応募いただいた54組のみなさんにお礼申し上げます。ぜひこれからも、FileMakerを活用してください!See you next time!
関連リンク
●FileMaker選手権 2020 特設サイト
https://news.mynavi.jp/lp/2020/business/enterprise/filemaker2020/
●Clarisコミュニティ
https://community.claris.com/ja/s/group/0F90H000000gDX3SAM/filemaker-が初めて
●Claris FileMakerをダウンロード/購入
・無料評価版
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・FileMaker Go
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https://content.claris.com/jpapps
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