ビジネスフォーラム事務局とマイナビニュースは2021年2月15日、Webセミナー「withコロナの成長に向けたデジタライゼーションと経営」を共同で開催した。

参加者を部長相当職以上に限定した同セミナーでは、withコロナやニューノーマルへの潮流を捉えるために積極的なデジタル化を進めている企業が集結。それぞれの推進する取り組みについて解説が行われた。

本稿では、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ デジタルビジネスソリューション事業部 部長 遠藤由則氏が登壇した講演「コロナ禍の働き方を支援する次世代ワークスペースの条件―UXとセキュリティの両立を目指すー」の内容をお伝えする。

  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ デジタルビジネスソリューション事業部 部長
    遠藤由則氏

働き方の変化で生まれた「課題」

新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の生活に大きな変化をもたらした。「働き方」もその一つであることは言うまでもない。2020年12月に内閣府が発表した調査結果によると、同年4月に発せられた緊急事態宣言を受け、テレワークの実施率は約3倍と急増したものの、その後は緩やかに減少し、現在はテレワークと出社(オフィスワーク)が混在する勤務形態が常態化しつつある。

また、「テレワークを経験した上で感じたデメリット(不便な点)」について尋ねた回答には、「コミュニケーションの困難さ」と「セキュリティ面の不安」が多く挙げられている。

企業では、コミュニケーション面の課題を解消すべく、さまざまなツールの導入が加速した。しかし、長期間にわたりテレワークを体験した人々は、それらのツールでは対面と同等のコミュニケーション体験までは得られないこと、そしてそれが自身の生産性に影響を及ぼしていることに気づき始めている。

「これまでは当たり前のようにコミュニケーションで得られていた体験を、オンラインの世界でどう実現するかが大きな課題となっている」と遠藤氏は語る。

また、働き方の変化に伴って生じたもう一つの課題が、セキュリティだ。

緊急事態宣言の発令により、多くの企業が十分な準備ができないままテレワークの実施を余儀なくされた。急遽構築されたテレワーク環境には、ネットワークの監視体制が不十分だったり、シャドーIT対策がなされていなかったりといったセキュリティ上の課題が潜むものも多い。こうした状況は悪意ある攻撃者にとって絶好の機会となり、攻撃による被害は世界的な規模で広がっている。

新しい働き方に向け、その環境を整えていくにあたっては、これらの課題への対策が急務となる。

「今後は、出社型とテレワーク型の長所を取り込んだニューノーマル型の働き方が広がっていくことでしょう。ただ、その実現は口で言うほど簡単ではないと感じています。今は、働き方全体について、価値観も含めて働き方のかたちを変えていくフェーズです。そして、どのように変わるべきかという最適解は企業ごとに異なります」(遠藤氏)

ニューノーマル型の働き方を実現する「デジタルワークスペース」

ニューノーマル型の働き方では「働く場所の分散化」「デバイスの多様化」「クラウド利用」が必然的に加速していく。企業としては、それらの普及/浸透に伴って発生するセキュリティ課題に対策を講じつつ、利便性も追求しなければならない。これを実現する手段として考えられるのが「デジタルワークスペース」だ。

デジタルワークスペースとは「堅牢なセキュリティに守られ、柔軟かつ自由な働き方を可能にし、利便性の高いクラウドサービスを使いこなすことができる、企業の生産性と利用者のQOL(Quality of life)を継続して向上させる新しい働く環境」のことを指す。そうした環境を実現するには、さまざまなICTやルールを駆使することになる。中でも、環境のベースとなる技術として「仮想デスクトップ」や「ゼロトラストネットワーク」といった要素を使いこなしていくことが必要だ。

ゼロトラストネットワークでは、社内外関係なく、全てのアクセスやデバイス、ユーザーを監視/制御する。

従来の境界防衛型セキュリティでは、社内と社外の境界をファイアウォールやプロキシサーバなどで仕切ることで社内ネットワークを守ってきた。しかし、テレワークを実施するには社外からのアクセスを受け入れなければならない。そうした状況下にある今、企業としては、故意/過失を問わず、攻撃につながるような行為をさせない環境を従業員に提供することが求められる。そこで有効なのがゼロトラストネットワークというわけだ。

「ゼロトラストネットワークはさまざまな要素で構成されています。例えば、SaaSの利用に関する監視と分析を行う『CASB(Cloud Access Security Broker)』では、ユーザーや端末の場所などに依存することなくSaaSへのアクセスを管理可能です。このほかにも、EDR(Endpoint Detection and Response)やNGAV(Next Generation Anti-Virus)など複数のサービスを組み合わせることで、利便性を保ちつつセキュアな環境を実現できます」(遠藤氏)

デジタルワークスペースを実現する「BizXaaS Office」

エヌ・ティ・ティ・データでは、デジタルワークスペースの構築に必要な要素を提供するサービス「BizXaaS Office」を提供している。仮想デスクトップを中心とした「BVDI」、ゼロトラストネットワークを実現する「BMWS」、導入/製品/運用/監視を支援する「BPCS」で構成され、これらを組み合わせることで、社内外のさまざまな場所から「いつものオフィス環境」を安全に利用することができるという。

講演では、「保険業」「人材派遣業」「サービス業」などへの導入事例が紹介され、各々が抱えていた課題とBizXaaS Office導入による効果がBefore/Afterのかたちで解説された。

“アフターコロナ”の働き方をどう考えるか?

アフターコロナを見据えたニューノーマルの働き方について、遠藤氏は「出社型から完全テレワークへと移行するのではなく、両者の長所を生かしたDXを考えていく必要がある」と説明する。

さらにもう一つ、大きなポイントとなるのがEX(Employee Experience)だ。

「人との繋がりや会社への帰属意識の醸成、孤独感の回避、個人の存在価値といった事柄を可視化して従業員のモチベーションを高め、一人一人の生産性を上げることで企業の業績を向上させる。労働人口が減少しつつある昨今、そうした考え方が重要になってくると思います」(遠藤氏)

こうしたDX/CXを実現していくには、これまでに導入されてきたツールだけに依存するのではなく、多角的に課題に向き合う必要がある。

最後に遠藤氏は進化したデジタルワークスペースの活用例を示し、「データを収集/解析し、アクションを行い、評価をフィードバックする。このサイクルをいかに回していくかが、さらなる生産性向上/エンゲージメント向上を考えていく上で重要となるだろう」として、講演を締めくくった。

[PR]提供:エヌ・ティ・ティ・データ