学校法人 聖ドミニコ学院は幼稚園から小学校、中学校、高等学校まで一貫で学ぶことができる教育機関だ。社会情勢やデジタル文化の変化など、時代の要請に合わせてITを取り入れてきた同学院は、近年になって施設のITインフラを含めたデジタル機器の大幅な刷新を実施。これからのICT教育に最適な環境を整えたという。

サポートを務めたユニットコム(パソコン工房)の活躍とともに、どのようなIT環境を創ったのか伺ってみよう。

  • 学校法人 聖ドミニコ学院 法人事務局 橋本良太様

※インタビューはオンライン取材にて実施いたしました

求められるICT教育環境の構築

宮城県仙台市に拠点を持つ学校法人 聖ドミニコ学院(以降、聖ドミニコ学院)は、幼小中高一貫教育を行っているミッションスクールである。

その名称からも分かる通り、聖ドミニコ女子修道会の流れを汲む教育機関で、1931年にこの地に赴いた5人の修道女によって修道院が設立され、以降幼稚園の開園から学院の創立、1960年には高等学校が設立されたという長い歴史を持ち、現在に至るまで多くの人材を輩出してきた。

そんな同学院は早期からパソコン教室を設置するなどIT教育にも取り組んできた。

「校舎にオンプレミスのサーバーをたて、独自のネットワークを作りながら端末を増やしていったと聞いています」と当時の様子を語るのは、聖ドミニコ学院のIT全般を担当している法人事務局の橋本良太氏だ(以降、橋本氏)。

「今回のICT環境再構築前は、高等学校校舎にパソコン教室が一つあるのみでした。主に高校生の情報科やその他の教科の授業で使われ、小学校と中学校もその教室を共有していました」と橋本氏。同学院では少しずつパソコンを増やしながらも、基本的なシステムはそのまま長期間の運用を続けていたのだという。

ITシステムの大刷新で大幅な効率化を目指す

「私がこの学院へ来て約5年が経ちますが、当初高等学校にはパソコン教室が2つ、それぞれの教室に40台ずつ端末があり、古いものではWindows Vistaの端末もありました。全国でICT教育が加速している現状もあり、当学院でもそれに対応できる環境を再構築しようという話になったのです」と聖ドミニコ学院におけるIT環境の刷新についてきっかけを語る橋本氏。

例えばGIGAスクール構想では、生徒が一人1台の端末を持つことが推進されている。そうなれば、Wi-Fiの充実はもちろん、あらゆる環境において以前のシステムを変えていかなければならない。

「そこで、様々な業者の方にご相談したのですが、教育機関向けのソリューションになると規模が大きなものが多く、小規模校である当学院の実情と合わないご提案も多くありました。そんな中、バランスのよいIT環境構築を提案して頂いたのがユニットコム(パソコン工房)さんでした」と橋本氏は話す。

同校のネットワークインフラは段階的に導入されたことにより、機器構成が複雑化し、将来的な拡張にも対応できないという課題があった。そこでまず、教務用と校務用のネットワークに再構成と高速化を行い、Wi-Fiの設置や遠隔地にある幼稚園とも連携できるようVPN、VLANの敷設を行った。

  • ユニットコムが提案した新しいネットワークの概要図と設置機材

ネットワークの刷新でもっとも力をいれたのがセキュリティの強化だったという橋本氏。そのために用意したのは、UTM、侵入検知といった物理システムと、各端末に導入してあるアンチウイルスソフトなどだ。

  • UTMと不正接続を防止する侵入検知デバイス。既設のルータ、ロードバランサー、ファイアウォールの機能をUTMに集約することにより、機器構成の簡略化と保守費用の削減を実現

「以前のシステムにも似たような仕組みはありましたが、古くなっていることもあり、セキュリティの強化は必須だと考えていました。今回の入れ替えによって早期の侵入検知ができるようになり、外部からのアタックも可視化されることで、守られていることを感じ、安心することができました」と新しいセキュリティシステムへの安心感を語った橋本氏。 また、運用面ではファイルサーバも強化されている。 「特に教職員のみなさんには端末本体にデータを残して欲しくなかったのです。セキュリティ面ということもありますが、万が一のトラブルでもデータさえファイルサーバに残っていれば業務は続けられます。現在では学院のデータがここで一元的に管理されています」と話す橋本氏。

  • 学務用のファイルサーバ。教職員用のデータはここで一元管理されている。その他ドメインコントローラーやバックアップ、資産管理の各サーバーを導入している

これらの導入により、教職員の業務効率も大きく改善したという。

「PCと一緒にネットワークも刷新されたので、現在では校種毎に連絡掲示板を活用するなど情報共有手段も構築されています。毎日朝礼で15分必要だったものが、現在では2、3分もあれば完了できるようになりましたね」と橋本氏。

「ネットワーク環境の充実とともに、現在はMicrosoft Teamsを教職員のコミュニケーションツールとして導入する検討をしています。これによって学院の運用も大きく変わると思います」と橋本氏は手応えを感じている。

コロナ禍も乗り越え、ICT教育が大きく前進

聖ドミニコ学院とユニットコム(パソコン工房)は、2019年夏にネットワークインフラの大刷新を開始。2020年春にはほとんどの導入終わっていたが、その頃に訪れたのがコロナ禍だった。

「休校が予定されることになり、当初予定していた教職員用の端末をオンライン授業用に前倒しで揃えてもらうようユニットコムさん(パソコン工房)にお願いしました。なんとか間に合わせていただき、以降はオンライン授業に移行することができました」と橋本氏。

同学院はもちろん、保護者とも一丸となってオンライン授業環境を構築し、この難局を乗り越えたのだ。

「正直、Webコミュニケーションだけに頼っての授業をするには、ICT教育環境整備が後発であったため力不足を感じる部分もありましたが、プリントした課題を郵送するなどの工夫もいれながら試行錯誤で授業を進めました。生徒はもちろん、先生方もはじめての経験でしたが、全職員の努力と保護者のご協力により乗り越えられたと思います」と橋本氏。

通常授業の再開後、小学校では文部科学省の「GIGAスクール構想」への対応を進めるために「Surface Go」を秋に導入。

  • 充電庫に格納されたSurfaceGO

「小学生はパソコン教室への移動に時間がとられるケースが多く、モビリティ性能の高い端末があると場所を選ばずICT教育が進むという意見からこの端末になりました。タブレットのようにタッチパネルに触れながら操作でき、直感的に動かせるため生徒たちも喜んで使っています」と橋本氏は眉を細めながら語る。

  • SurfaceGOを用いた授業風景

現在、聖ドミニコ学院には児童生徒たちの明るい声が響いている。

「今、先生方から求められているのは校務と授業を支援するシステムです。より安全なデータ運用と教員の校務作業時間軽減のため校務支援システムは急務です。授業支援では、生徒たちがタブレットで今何をしているのか。これが先生の端末から分かるようになると、個に応じた指導をより効率よく丁寧に行うことができるなど先生方の負担を軽減しつつ授業の質の向上を図ることができるのではないかと期待しています」と語る橋本氏。

また、今後についてはシンクライアントシステムの導入まで見据えた構想を練っているという。

「授業用、校務用とそれぞれの用途に合わせて端末を複数台持たせるより、シンクライアントで運用するほうが効率的かもしれません。そのあたりも視野にいれて今後もシステムを成長させていきたいと考えています。また、今回の刷新では幼稚園のICT環境が進められていません。先生と保護者の連絡用にタブレットがあると、業務効率が格段に上がると予想しています。先生方の負担軽減にもなり、結果的に園児と触れ合う時間が増えてより手厚い保育が可能になると考えられるのでこちらもぜひ進めていきたいです」と橋本氏は今後の抱負を語る。

今回の刷新でICT環境が大きく前進した聖ドミニコ学院。

「ユニットコムさん(パソコン工房)にはいつも様々な情報をもらって助かっています。今後も当学院の規模感に合った的確なアドバイスをいただけるとうれしいですね」と最後に橋本氏は笑顔をみせてくれた。

聖ドミニコ学院のさらなる飛躍のため、ユニットコム(パソコン工房)はこれからも同学院をサポートしていく。

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