変革を実行する「社員」自身の意識改革をサポート
国際的なビジネスプロフェッショナルのネットワークであるDeloitte(デロイト)のメンバーであり、日本ではデロイト トーマツ グループでコンサルティングサービスを展開するデロイト トーマツ コンサルティング(以下、DTC)。3,600名規模のコンサルタントを抱える同社は、あらゆる組織・機能に対応したサービスとセクターに対応したサービスで、提言や戦略立案から実行まで一貫して支援できる体制を整えている。
そんなDTCにおいて、組織変革(Organization Transformation)領域の副事業責任者を務めるのが執行役員の古澤 哲也氏である。
古澤氏に組織人事コンサルティングの現在の状況について聞いた。「我々のチームでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業へのコンサルティング案件が増えています。DX戦略やビジネスプランをつくった後、実行に移すのはあくまで人です。そのため、取り組みについていけない人や、新しいビジネスモデルに適応できない人が出てこないように、社員の意識の変革も促していくという支援を行っているのです。」
さらに、コロナ禍によって企業の課題意識や相談内容にも変化が起きているとアソシエイトディレクター 田中 公康氏は話す。
「緊急事態宣言によって多くの企業が強制的にテレワークを経験することになり、その結果、テレワークを前向きに捉え、積極的に取り入れようとする企業が増加しました。しかし、全社で本格的に導入しようとすると、業務や組織の仕組みなど、あらゆる箇所で課題が出てきており、ご相談が増えてきています。これらの解決のためには、業務や組織のデジタル化が必要です。これまでデジタル化を推進してきた企業は、これを機にドライブがかかり、生産性を上げられたという結果を出していますね。」
テレワークや組織変革を推進する際には、全社・全組織を対象に生産性を可視化していく必要がある。そこで活用できるのが、古澤氏らのチームが中心となり、開発したデジタル変革ツール「WellMe™」だ。
DTCの強みを活かす「デジタル変革ツール」へとリニューアルを実施
WellMe™は、個々人レベルの変革浸透度をリアルタイムに可視化・実証しながら、変革のPDCAをアジャイルに推進することができるデジタル変革ツールだ。
実は2017年にサービス提供を開始した当初のWellMe™は、一人ひとりが健康に、かついきいきと充実して働くことを目指す考え方である「健康経営」にテーマを絞っていた。当時は「健康経営」がブームだったこともあり、同じコンセプトを持ったアプリやサービスが多いうえ、単純なプロダクトアウト型ではコンサルティングとしてのDTCの強みが活かせないというジレンマにぶつかった。「健康」に絞って企業を支援するよりも、さらに幅広いレイヤーで、変革を推進する組織を継続的に支援できるツールにしよう、と「デジタル変革ツール」にリニューアルする運びになった。
組織改革やデジタル変革といったアプローチによるコンサルティング支援のニーズが高まっていることや、DTC全体としてデジタルツールを活用した持続性のある「ハイブリッドコンサルティング」に注力していくというビジネス戦略も、リニューアル決断の背景にあった。<デジタル×コンサルティング>で変革を持続的に支援していくためのツールとして、WellMe™を進化すべく、大幅な機能向上を目指した改修が行われることとなった。
「WellMe™を用いることで、顧客の組織に属する従業員の意識や行動の改革度合いをデータ化・集約しながら定点観測的にモニタリングできるので、何かあればフォローアップすることができ、長期にわたって顧客との付き合いが続いていくことになります。」と古澤氏は言う。
改修後のWellMe™のポイントについて、シニアマネジャー 小出 翔氏はこう話す。
「大事にしたのは、どんなテーマの変革でも活用できる、汎用性の高いツールにしたことです。ユースケースを幾つも具体的に想像しながら、データドリブンで継続的に支援するためにはどうしたらよいか考え、人・組織をベースにして柔軟性のあるツールを開発しました。」
人の意識・行動変革を促し企業の生産性向上を支援する「WellMe™」
WellMe™が備える機能は、Check-In(一人一人の育成のための高頻度コミュニケーション&フィードバック)、Pulse Survey(簡易アンケート)、Snapshot(評価ツール)、Thanks point(感謝を気軽に伝えるコミュニケーションツール)、及びそれらを一元管理するAnalyticsの5つで構成されている。 Analyticsはマネジメント向けのダッシュボード機能で、モニタリング・分析を通じて組織運営に役立てることができる。
WellMe™の4つの機能の活用状況をモニタリング・分析を通じて組織運営に役立てるのがダッシュボード機能であり、主にマネジメント層が利用する。施策立案から、実行・モニタリング・改善、そしてそのあとの振り返りといった流れのなかで、4つの機能を活用する。施策浸透度をリアルタイムに継続的に可視化し、必要に応じてコンサルタントによるフォローを得られるというわけだ。
WellMe™の改修プロジェクトは、AppExchangeに精通し実績豊富なパートナーを選定
WellMe™は、デロイトのグローバルアライアンスパートナーであるセールスフォース・ドットコムが提供するクラウドプラットフォーム上に開発されており、同じくセールスフォース・ドットコムが提供するビジネスアプリのマーケットプレイス「AppExchange」上で提供されている。2017年当時、多くの顧客企業がSalesforceを導入していたこともSalesforceプラットフォームを選択した理由の一つだ。
WellMe™改修プロジェクトの開発パートナーに選定されたのが、クラウドインテグレーターとして多くの実績を有するテラスカイであった。選定にあたっては、AppExchangeに関する運用実績が豊富で、技術的にも精通している点が大きな決め手となり、それは一緒に開発を進めるなかでも実感できたという。
DTCとテラスカイによるWellMe™の改修プロジェクトは2019年1月にスタートし、まず要件定義を実施、3月から開発に着手し、7月にはベータ版のリリース、10月末には完成と、スムーズに進んだ。
その理由について小出氏はこう話す。「テラスカイ側とのコミュニケーションを密に行えたのが大きいでしょう。ふだん、我々がクライアントに対しコンサルティングサービスを提供するのとは逆の立場となりますが、コミュニケーションの機会を多くしたことで、我々の要望も伝わりやすく、テラスカイのメンバーも我々が何に困っているのかすぐに理解して応えてくれるので、とても開発を進めやすかったです」
田中氏は続けて言う。「テラスカイの方たちはAppExchangeの隅々までとてもよく理解していました。たとえばリードタイムはどのぐらいか、セキュリティレビューを通す際にはどのタイミングでどういったことが必要なのかなど、開発を進めるなかでのポイントをとてもよく理解していると何度も実感しました。特にセキュリティレビューについては、ロールアウトのタイミングで通らないといけませんが、我々には“土地勘”がありません。しかしそこはテラスカイが一緒なので、多くの経験から得た勘所といったものをもとに的確なアドバイスがもらえ、計画が立てやすかったです」
古澤氏も「テラスカイのグループ会社である『キットアライブ』の開発チームとも、北海道と東京をリモートでつないでWellMe™の画面を共有しながら議論したりしました。今では普通のことですが、つい昨年とはいえ当時(2019年)リモートでリアルタイムにアウトプットを操作しながら議論するというのは新鮮でした。こうしてかなりアジャイルな開発にも関わらず、コミュニケーションコストを抑えながら進めることができましたね」と振り返る。
自部門での活用で高い効果を証明し、広がる展開
大幅な改修を経てリニューアルされたWelMe™は、2020年1月にリリースされた。まずは社内でのトライアルをと、組織人事コンサルティング部門のスタッフ300人が活用することになった。
4月の緊急事態宣言を受けて全社的にリモートワークとなるなか、WellMe™から得られたデータを利用してコミュニケーションについての施策やフォローアップ、責任者クラスのディスカッションといった取り組みを行ったという。すると、当初はリモートワークで上昇するとみられていた不安・ストレス・孤独などのスコアが、12%も改善したのだ。
こうした結果をDTCの社内で発表したところ、他のさまざまな部門から大きな反響があり、全社展開も含め、より広い活用が検討されることとなった。また、こうした自社でのWellMe™活用がモデルケースとなり、他社からの問い合わせも増えているという。
今後もDTCでは、UX/UIの改善や、さまざまなデータベースとの連携など、WellMe™をより使いやすく、効果の高いシステムへと改善をしていく構えだ。
「UX/UIに関するテクノロジーやデザインなどは、コンシューマライゼーションの流れなどもあって非常に速いスピードで進化していて、最先端のナレッジをキャッチアップし続けるのはなかなか難しいのが現実です。そこもテラスカイからの支援に期待する点ですね」と、田中氏は期待を示す。
環境変化の激しい昨今、組織には重圧がかかっている。しかしWellMe™の活用によって社員の状態を正確に把握し、対策をとることで、企業は変革を推進できる、柔軟性を備えた強い組織を作っていけることだろう。
[PR]提供:テラスカイ