「サブスクリプション(サブスク)」という言葉は近年急速に普及した一方で、B to Bではまだ発展途上で、人によってサブスクという言葉の認識にはバラつきが大きい。そんなサブスクを中立的に考えられる軸を作るため、日々研究を行っているのが「サブスクリプション総合研究所(サブスク総研)」だ。本稿では、サブスク総研の宮崎氏とNTTコミュニケーションズの中野氏の対談を通して、サブスクのビジネスモデルとその懐の深さ、そしてサブスクビジネスに特化したSaaSである「Subsphere」の魅力と役割について探っていきたい。

  • 「サブスクリプション」ビジネス成功の秘訣に迫る

    NTTコミュニケーションズ アプリケーション&コンテンツサービス部 アプリケーションサービス部門長 中野 誠 氏(左)、サブスクリプション総合研究所 代表取締役社長 宮崎 琢磨 氏(右)

サブスクとは、そもそもどういったものなのでしょうか。

宮崎 氏:サブスクと言われたときにぱっと思い浮かべるのは、例えば月300円でマス向けに課金するといったビジネスモデルだと思います。しかし、こういったモデルはサブスクビジネスのごく一部に過ぎません。

サブスク総研では、サブスクを「顧客との継続的な関係が担保された状態」と定義しています。そして顧客との継続性を考える際に重要なのは"タッチポイントが何か"、"顧客とエンゲージしているか"の2点に絞られます。お金を取るか取らないか、課金方法が何かは全く関係がないのです。

例えばドライヤーのような小売り家電は、ユーザーとのタッチポイントは多くの場合、家電量販店であってメーカーではありませんので、顧客との関係性をメーカーが直接構築することは難しいです。一方、離島に1軒しかないよろず屋さんがあったとしたら、これは一見してサブスクビジネスの極北のように見えますが、実態としてはサブスクビジネスにほかなりません。島の人は基本的にそこで買い物をするしかないですから、継続的な関係が担保されていることになります。サザエさんの三河屋さんのような御用聞きビジネスも、旧態依然としてはいますが、サブスクビジネスといえるでしょう。このように、継続的な関係の中で購買活動をすることがサブスクビジネスと捉えると、視野が広がるのではないでしょうか。

またサブスクビジネスというと、新規で事業を立ち上げて世界を相手にするイメージがあると思うのですが、実はサブスクに繋がりやすいビジネス、あるいは、古い形ではあるが、すでにサブスクであるビジネスは、身近にあったりします。これらをICTのチカラでデジタルトランスフォーメーション(DX)すれば、それがサブスクビジネスへの最短の近道になるのではないでしょうか。

どのようなビジネスがサブスクに適しているのでしょうか。

宮崎 氏:住宅設備メーカーがサブスクビジネスを始めるとしましょう。しかし、この住宅設備メーカーはエンドユーザーとのタッチポイントもエンゲージメントもありません。この状態からマス向けにアプリを立ち上げて数百円の継続的な課金を得ようというのは、タッチポイントとエンゲージメントをゼロから作る行為といえます。

どのようなビジネスがサブスクに適しているのでしょうか。


サブスクリプション総合研究所
代表取締役社長 宮崎 琢磨 氏

しかし見方を変えれば、住宅設備メーカーの需要は法人であり、そのビジネスはB to Bです。ハウスメーカーや不動産会社に対して月額などで「特定の空間の設備を請け負う」という契約をしているはずです。実はこれ自体がサブスクビジネスといえるのです。見方を変えれば、このような例はきっとたくさんあるでしょう。すでにサブスクの形を取っているものをDXする、これが最も確実なサブスクの始め方だと思います。

中野 氏:NTTコミュニケーションズもサブスクといわれるビジネスを長らく やっていますが、やはり旧来のようにただ毎月お金が引き落とされているのと、現代のサブスクと呼ばれるビジネスでは、顧客接点やエンゲージメントの質、そしてバリューが全く違います。デジタライゼーションによって旧来のサブスクの質を上げる――これが現代のサブスクビジネスには求められているのです。

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