カシオのPRO TREK(プロトレック)といえば、登山家に愛用者が多い高機能腕時計のイメージが強い。しかし、最近では薄型ボディにカジュアルなデザインのベルトを組み合わせた製品が出てくるなど、山ガールをはじめとしたライトユーザーにも人気だ。そんなPRO TREKの定番として幅広く認知されている「PRW-60」シリーズに、待望の布ベルトタイプが登場! しかもこのベルト只者でなさそうだ。さっそくカシオとベルトの共同制作を行ったゴールドウィンの担当者に話を伺ってきたので紹介しよう。

匂わないベルトを実現した最新モデル

今回、カシオとゴールドウィンのコラボレーションモデルとしてリリースされた製品はPRO TREK「PRW-60YBM-1AJF」。人気モデルの「PRW-60」シリーズをベースに、ベルトにはゴールドウィンが誇る消臭効果の高い素材「マキシフレッシュ」を使った画期的製品になる。一体どんな製品に仕上がっているのか、さっそく開発関係者に語っていただこう。

  • 左から株式会社ゴールドウィン 事業統括本部 事業本部 ザ・ノース・フェイス事業一部 キッズグループ マネージャー 畑野健一氏、事業統括本部 事業本部ニュートラルワークス 事業グループ 企画チーム MD 村井絢子氏、カシオ計算機株式会社 羽村技術センター 開発本部 時計企画統括部 商品企画部 第一企画室 チーフ・プランナー 小島一泰氏、羽村技術センター 開発本部 時計企画統括部 商品企画部 第一企画室 チーフ・エンジニア 牛山和人氏

――まずは今回の製品概要をお聞かせください。

小島氏:今回の新製品はPRO TREKの最大の特長である高度、気圧、方位のトリプルセンサーを搭載しつつ、薄型ボディを実現した「PRW-60」シリーズと、カラダから発する汗のニオイの原因を中和する素材「マキシフレッシュ」をはじめとした先端の消臭テクノロジーを併せ持つブランド「MXP」が制作したベルトを組み合わせた製品です。

  • PRO TREK「PRW-60」と「MXP」がコラボ。高い消臭性を誇る「マキシフレッシュ」がバンドに採用されている

このコラボモデルを一口でいうと、PRO TREKの高機能とソーラー充電によるメンテナンスフリーの利便性、それにプラスして布ベルトの軽快さとファッション性の高さを保ちつつ、弱点であったニオイをカットするマキシフレッシュによる相乗効果で、長く、そして快適に使い続けられるモデルになります。

――どうして、PRO TREKにマキシフレッシュを使おうと思ったのですか?

牛山氏:もともと、時計というのは金属や樹脂、皮のベルトを使った製品が多くあります。布ベルトも軽量感と独特のフィット感から人気なのですが、アウトドアで使う場合はどうしても汗を吸い取るので匂いが付くというイメージがとても強かったのです。

ですから、PRO TREKの中にも布ベルトモデルはありますが、なかなか上手くいかない。そこでなんとか布ベルトの弱点を克服したくて、以前から高い消臭力効果を持った素材を持っていらっしゃるゴールドウィンさんに相談したのです。

――そもそも、布ベルトにしみ込んだ汗の匂いってどうして発生するのでしょう?

村井氏:いろいろな雑菌が住み着いて匂いの発生源になるのですが、中でもきつく感じるのはアンモニアのせいなのです。マキシフレッシュ プラスはそのアンモニアに対して99%の消臭を可能にする性質を持っています。これはアンモニアを除去するのではなく、中和して水に近い物質に変化させる、そんな働きがあると考えていただければわかりやすいと思います。

――なるほど、そんな特長があるのですね。開発しようと思ったきっかけはどのようなものだったのですか?

小島氏:PRO TREKも進化を続けていますが、ここ最近ではベルト交換が容易にできるようにバネ棒に工夫がしてあり、工具を使わなくても簡単に外せるようになっています。これによって、「ベルトを取り外して洗う」、という行為がとても簡単にできるようななったことが大きなポイントになっています。

  • 「PRW-60」もかんたんにベルトの着脱が可能

牛山氏:取り外して洗えるのであれば、布ベルトも清潔に保てる。そしてさらに一歩進んで、汗がにおわない布ベルトにすればベストではないかと考えたのです。

実は私自身、7年前からMXPのマキシフレッシュを素材にしたシャツを愛用しているのですが、ヒマラヤトレッキングへ行ったときにそのシャツを1週間連続で着用したのですが、まったく匂わなかったんです。その時のイメージがとても強く、PRO TREKの布ベルトを作るなら、マキシフレッシュしかないと考えてすぐにゴールドウィンさんに相談させてもらったのです。

――カシオさんからマキシレッシュを素材にした時計のベルトを作りたいと話を貰った時はどう思いましたか?

畑野氏:正直、私たちはアパレル中心でしたから、時計のベルトとは無縁でした。さらにいうと当時の製品にそもそも衣類用のベルトもなかったですから、最初のハードルがそこにありましたね。しかし、MXPのブランドコンセプトである、「良いものを長く使う」という部分でカシオさんととても近しいものがあると感じ、それをベルトにも活かしていきましょうということで開発がスタートしました。

――ハードルはほかにもあったのですか?

畑野氏:実はマキシフレッシュという素材は綿と同じ部類に入るのです。この糸は繊細で強度的には弱いので、そのままではベルトの強度が担保できない。そこでベルトを作るときに、縦糸に強度のある素材、横糸をマキシフレッシュにすることで強度と消臭力の両立を目指すことにしたんです。

また、試行錯誤を続けて開発していき、いくつかのサンプルをお渡ししたんですが、時計のベルトにはループ用の穴があるので、それをきれいに空ける段階で綿は適さないことが分かったりしました。

牛山氏:ベルトに穴をあけるときには熱した棒を指して押し固めるのですが、綿だとうまく溶けてくれなかったんですよ。

  • 「PRW-60」向けに開発された「MXP」ベルトのイメージ図

畑野氏:そこでポリエステルを使ったマキシフレッシュに変更してやり直して、最終的にはうまくいきました。お話を貰ったのが2017年8月でしたから、そこから納得がいく試作品にたどり着くまで1年かかりましたね。

――かなりのご苦労があったんですね。そのあとはカシオさんのほうでデザインに落とし込んでいったのですか?

小島氏:そうですね。クロスバンドですからしなやかさがないとけない。様々な折りをためして最終的にはヘリボーンという登山用具によく使われるパターンを使うことでうまくまとまりました。手触りやしなやかさも十分で、消臭力も高い。こちらも同じく1年ぐらいかかってようやくデザインが完成しました。

牛山氏:合計で2年かけて仕上がったベルトですが、マキシフレッシュを素材にした結果、柄がよくないとか、着け心地が悪いというのでは意味がありませんからね。そこは丁寧に開発しました。結果的にはマキシフレッシュの良さも十分出せたと思います。

村井氏:私たちも今回のベルトデザインには大変納得しています。MXPのデザインはシンプルかつミニマルなんです。足していく方向ではなく、引いていく方向のデザインを理想としています。カシオさんにはその点も汲み取っていただき、今回のデザインが仕上がりましたね。

――実際に使う場合は、お手入れとかは必要ですか?

牛山氏:製品テストがちょうど2018年の夏から始まったのですが、猛暑でものすごく汗をかきました。しかし、匂いはほとんど気にならなかったですね。もちろん、マキシフレッシュの消臭力もありますが、私自身がベルトを外して水洗いするという癖がついていたのも理由のひとつだったと思います。

村井氏:長く使いたいならお手入れはとても重要ですね。マキシフレッシュの機能を簡単にいうと、繊維の中に小さい手がたくさんあってアンモニアが近づくとキャッチするんです。その後、化学反応で水に近くしてしまうのですが、そもそもアンモニアは水に良く溶ける性質があります。例えば、マキシフレッシュの手がアンモニアをつかんだままだとしても、水で洗ってあげれば手も元に戻ります。ですから、水で洗ってあげることで何度でもキャッチしてくれるということなんですよ。

――水洗いだけでよいのですか?

村井氏:はい、大丈夫です。洗剤を使っても良いですが、よくすすいでください。洗剤が残ってしまうとその成分が繊維の中に残ってしまって機能が低下してしまうので注意してください。

  • タグには「MXP」のロゴと「CASIO」のロゴが。コラボ好きにはたまらない。バンドは水洗いすることで機能性をキープできる

――どんなユーザーに今回の製品を届けたいですか?

牛山氏:PRO TREKユーザーでいうと、これまでの布ベルトモデルの愛用者はライトユーザーが多かったと思います。しかし、布ベルトを夏場に身に着けて匂いがすると敬遠するケースもあったのではないでしょうか。そういう方にとって、デメリットを排除して布ベルトの良さを楽しんでもらえる製品は本当におすすめですね。

村井氏:わたしもシリコンベルトのPRO TREKを愛用して山歩きをしていますが、布ベルトのほうが蒸れ感が少ないんですよ。肌馴染みもよいので個人的にとてもお気に入りのモデルになっています。匂いが気にならないので山歩き以外でも使いたくなりますね。

――こうやってお話を伺うと布ベルトの常識が大きく変わる、そんなモデルになりそうですね。

牛山氏:はい、私たちもとても楽しみです。こういうコラボモデルというのは限定で終わってしまうことが多いのですが、今回の製品は定番商品として継続販売することが決定しています。ほかにも、同じMXPさんの素材を使ってザックやズボンにぶら下げられる専用パーツも用意しました。ぶら下げて使うケースだと、汗以外にも川の水に浸かったりしますから、乾いたときの独特の匂いがかなり軽減されます。見た目もおしゃれなので、こちらも期待してください。

村井氏:MXPを起ち上げた当初は、まだ匂いに対してうるさくなかった時代だったのですが、最近は老若男女問わず気にするようになっています。そんな社会背景にもぴったりの製品に仕上がっていると思います。みなさまもこのPRO TREKを手にしていただいて、長く大切に使っていただけるとうれしいですね。

――PRO TREK×MXPのコラボレーションモデルの今後が楽しみです。ありがとうございました!

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PRO TREKとMXP、それぞれのコンセプトがうまく融合した「PRW-60YBM-1AJF」。アウトドアスポーツ向けの先進機能と、布ベルトのデメリットをなくし、良さだけを感じられるすばらしい製品に仕上がっている。11月に販売を開始され、今後もラインナップを増やしていくそうなので、気になるユーザーはぜひチェックしてもらいたい。アウトドアウォッチに新しいテイストが加わるは間違いないので、登山家のみならず、カジュアルユーザーにも手にしてもらいたい製品だ。

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