キャンペーンサイトやWebページをすぐに立ち上げることが可能なパブリッククラウドサービスは、ビジネスを素早く動かしたい業務担当者にとって理想的なプラットフォームです。そのようにして各業務部門で使用されるパブリッククラウドは、情報システム部門の管理するプラットフォームと切り離されている場面も見受けられますが、これらも情報システム部門は管理の対象とする必要があるでしょう。

複数のパブリッククラウドを活用するマルチクラウド環境は、システム運用担当者にとって悩ましい問題を含んでいるのです。

  • 情報システム部門で管理する以外にも業務部門でクラウドが利用されていて、システム運用担当者が困っている

運用担当者が直面するマルチクラウドの悩ましい問題

パブリッククラウドで集められたデータをコンプライアンスに従って正しく管理することも、システム運用担当者にとっては重要な管理項目です。たとえばシャドーITは現場にとって役に立つ道具かもしれませんが、情報漏えいや障害時の対応を考えるとリスクを拡大させる要因です。こうしたシャドーITの検出は、システム運用担当者の労力を大きく割くことになるでしょう。

運用担当者が複数のクラウドを使い始めて直面する問題のひとつに、障害時の対応が難しいという点も挙げられます。各社が提供するサービスに加えてマネージドサービス、ホステッドサービスそれぞれにエラーログやメトリクスが存在し、障害発生時には個別に解析が必要になります。各社のクラウドサービスを理解したうえで管理ツールを習得し、障害解析を行うためには、多くの時間と経験が求められます。

また、ビジネスのニーズやコストに合わせて、クラウド間でワークロードの移行や運用の最適化を行おうとしても、クラウドごとにマシンイメージが異なったり、同じ仮想マシンでも仕様が異なったりするのが現実です。運用担当者はそれぞれのクラウドの特性に合わせてアプリケーションの実行環境を理解し、準備する必要があります。

特定のパブリッククラウドサービスに依存しすぎるロックインの危険性も理解しておかなければなりません。「代替のサービスに移行したくてもできない」という状況を避けることも、運用担当者に求められる課題となります。

そしてセキュリティについても、頭の痛い問題があります。脆弱性やバグなどの詳細な更新情報を常に最新に保ちつつ、自社のコンプライアンスに合っていることをチェックするには多くの時間が必要になります。日本アイ・ビー・エムの事例では、国内のある金融機関はクラウドサービスの利用に際して200以上のチェックリストを用いて精査していました。しかもそのうち60%はセキュリティに関するチェック項目であり、そのチェックを行うために多くのエンジニアの時間を費やしています。これをパブリッククラウドサービスそれぞれに対して行うことは、結果として人的ミスを招く恐れが生じます。

  • 数多くのチェックリストの対応が、システム運用担当者の負担に

コストの最適化も運用担当者にとっては大きな課題です。「複数のクラウドで同じようなワークロードを実行する際に、どのクラウドを選択すれば費用対効果が上がるのか」「データのバックアップはサービスに含まれているのか」などのポイントだけでなく「これから発生する費用が期末の予算に収まるのか」といった予測を含めて管理する必要があります。処理に必要なCPUやメモリ、処理されるデータの量や保護の要件、費用、これらを総合的に判断することになるでしょう。これらはビジネスのニーズと常に照らし合わせながら検討するべきポイントとなります。

運用担当者が直面するこれらの課題は、どのようにして解決すればよいのでしょうか。ここではマルチクラウド運用・管理サービスのメリットを紹介していきましょう。

複数のクラウドの障害を一元管理

日本アイ・ビー・エムのマルチクラウドサービスは、障害時などの際にインシデントチケットシステムを使うことで、障害を管理することが可能です。複数のクラウドの障害状況を一元管理できれば、どのクラウドでどのような障害が起こっているのか、その対応状況などを確認し、クラウドの障害状況を総合的にチェックできます。また、監視や運用などの問い合わせ窓口を一元化することにより、複数のクラウドサービスを使っていても迅速なインシデント対応が実現できます。

  • チケッティングシステムからインシデントの状況を確認

クラウドの利用状況とコストの可視化

パブリッククラウドを比較検討して最適なインスタンスとコストを選ぶことで、ワークロードを選択することができます。コストについては、可視化された情報から利用率の低い部門のクラウドサービスを見直すことにより、最適化を図ることも可能になります。また、予算と実績をグラフィカルなインターフェースで比較できるので、毎月の推移から将来予測を立てることができます。

  • コストの可視化

コンプライアンスをクリアするサービスカタログ

複数のパブリッククラウドも無制限に使わせるのではなく、情報システム部門が承認した、コンプライアンスに適合したインスタンスやサービスだけをカタログとしてダッシュボードに登録しておき、業務部門はそこからサービスを選択して利用することで、個々にコンプライアンスをチェックする必要がなくなります。各業務部門にとっても情報システム部門にとってもムダなチェックを省き、一元的なセキュリティコンプライアンスを実現できるのがメリットです。

  • サービスのカタログ

「クラウド障害の一元管理」「クラウドの利用状況とコストの可視化」「コンプライアンスのクリア」は、いずれも運用担当者にとって解消したい課題です。「IBM Services for Multicloud」は、複数のパブリッククラウドやデータセンターを運用・管理できるサービスです。マルチクラウド環境を効率よく運用・管理するのに最適なソリューションといえるでしょう。

システム運用担当者が抱えるマルチクラウドの課題を解決

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  • 一元管理できて満足しているシステム運用担当者

マルチクラウド運用・管理サービスがCIOにもたらす問題解決とは?

本記事ではシステム運用担当者に向けてマルチクラウドの課題について掘り下げたが、立場が変わるとまた違った課題が浮かび上がる。たとえばCIOは、マルチクラウドにおいてどのような問題を抱えているのだろうか?

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