近藤嘉宏さん、過去のインタビュー記事は>>>こちら
普段から、ベヒシュタインのピアノを好んで弾いているという近藤さん。
「ベヒシュタインのピアノは、日本ではまだ馴染みが薄いピアノかもしれません。これまで電子ピアノの歴史の中で、ベヒシュタインに注目した製品はなかったと思います。まずそこが新鮮でした」とさわやかに語る。
そんな”ベヒシュタイン推し”のプロのピアニストが、演奏の回数を重ねるごとに「やっぱりベヒシュタインだなぁ」と思うほど、CELVIANO Grand Hybridの「ベルリン・グランド」音色、音の出方、響き方は実際のベヒシュタインのグランドピアノに近いという。
ちなみに過去に使用してきた電子ピアノと、現在の新製品とはまるで違うものだと語る。
「いまから20年以上も前の話です。留学中に、ピアノ科の知り合いの学生が『夜にも演奏したいから』と、グランドピアノとは別に所有していて。そこで私も彼の部屋で弾かせてもらったけれど、その頃の印象は……。しかし、デジタル技術も相当進歩しましたね」とにこやかに振り返りつつ話を続ける。
▼かなり高いレベルで、アコースティックピアノの疑似体験ができる
かくいう近藤さんは今年の2月、東京都・杉並区の杉並公会堂でCELVIANO Grand HybridとC.ベヒシュタインのグランドピアノの2台を並べて交互に弾き比べるという、非常にユニークなコンサートを実施。大変な好評を得ている。
「CELVIANO Grand Hybridでは、そうそう同じ音は出せません。指のちょっとした圧の違いで響きの種類を増やせるんです。これにより単音でも表現の幅が広がりますし、和音を出したときの響きの違いも当然、豊かになった。こうなると、音楽そのものが多彩になってきます」
■どのくらい”リアル”?
率直なところ、プロのピアニストはどのくらい”リアル”に近付いた製品と見ているのだろうか。そのあたりを詳しく聞いてみた。
「触感がかなり近付いています。鍵盤に触れて、音が出るまでの抵抗感が生の楽器を思い起こさせます」
ピアニストの鋭敏な感覚だからこそ気が付ける高いレベルでも、グランドピアノとの差は詰まってきているようだ。さらに、次のように続けた。
「従来の電子ピアノでは聴こえなかったような、ピアノの中の反響音だったり、ペダルのノイズだったりも聞こえてくる。カシオさんがこうしたユニークな視点からも、楽器としての”モノ感”を追求していることがわかります。逆に言えば、いままでの電子ピアノは、そこまで考えてもらえていなかった。リアリティを追求する上で、こうしたディテールは、実はとても大事なことだと思います」
実はCELVIANO Grand Hybridでは、それも再現している。(ノイズはオン / オフできる仕様)
「グランドピアノと電子ピアノの溝が埋まってきているのを感じられます。今後のデジタル技術のさらなる進化で、さらに弾き手の喜びが増していくことでしょう。CELVIANO Grand Hybridはデジタルとアナログが噛み合い、良い形で進化していると感じています」
■どんな人にオススメか聞いた
電子ピアノの購入を検討している方に向けたメッセージをいただいた。
「CELVIANO Grand Hybridは、音に敏感な感覚を持っている方に薦められます。良い音を求める、美的なものを追求する人に試してもらえたら嬉しいです」
残り2つのグランドピアノ音色のうち「ハンブルク・グランド」音色は、
「筋肉質でマッチョで迫力がある。平均的にビルドアップされているオールマイティのピアノ」、
「ウィーン・グランド」音色は、
「古き良きウィーンの、良い味を出せるおとなしめのピアノ。ベヒシュタインとは違う系統で、音の立ち上がりが良い」と評価。
CELVIANO Grand Hybridでは、こうした3つのグランドピアノ音色を楽しめると話していた。
最後に、近藤さんの今後の活動についてうかがった。
「一時期、クラシック音楽がポップスなど、他のジャンルの音楽と融合する動きがありました。ボーダーレスのコラボなども企画されて。多くの人に音楽の魅力を再発見してもらえる、良い機会だったと感じています。それを踏まえ、これからは各ジャンルの深掘りが始まるのでは。そこで、わたしは演奏活動を続けながらクラシックの楽しみ方も含めた、ピアノ音楽の良さを伝えていく活動をしていきたいと思っています」