スマートフォンをはじめとするデジタルガジェットにとって、電池切れは最大の危機。そんな窮地を救ってくれるのがモバイルバッテリーだ。モバイルバッテリーは軽量・大容量なリチウムイオン充電池(またはリチウムポリマー充電池)にUSBポートが付いたもので、USBケーブル経由で充電できる機器であれば、スマートフォンやタブレット、スマートウォッチ、デジタルカメラや携帯ゲーム機など、さまざまな機器を充電できる。こうした機器の利用時間を大幅に増やすことができるので、旅行はもちろん、日頃もバッグの片隅に常備しておいて、イザというときに備えておきたいアイテムだ。
正しいモバイルバッテリーの選び方
モバイルバッテリーにもさまざまな製品が出ているが、どれも同じというわけではない。用途に見合った性能がなければ宝の持ち腐れになってしまう。購入時に必要な性能をきちんと見分けることが重要だ。
モバイルバッテリーの性能は、大きく分けて、①容量、②出力、③サイズ/重量、の3つがポイントとなる。それぞれの項目を順に説明しよう。
まず重要なのが、モバイルバッテリーの容量だ。バッテリーの容量は「mAh」(ミリアンペアアワー)という単位で表記する。1時間あたりに何ミリアンペアの電流を流すことができるかを示す値だ。例えば現在一般的なスマートフォンであれば、搭載されているバッテリーは1200~2000mAh程度と考えればいい。つまり、最低でもモバイルバッテリー側にこれくらいの容量がなければ、一回の満充電ぶんに満たないことになる。
旅行などに出かけて、夜の間に1、2回満充電にできればいい、という場合であれば、3000から5000mAhの容量があればいい。回数を台数に置き換えれば、何台の機器を1回の満充電したバッテリーでまかなえるか、ということが事前に計算できる。自分がどういった機器を何台、何日持ち歩くかを考えてバッテリーを選ぼう。
続いて重要なポイントが、バッテリーの出力だ。スマートフォンやタブレット側には、大容量のバッテリーを高速に充電するため、大きな出力を要求するものがある。例えばiPadは5V・2.1A=12Wの出力があれば、高速充電モードで充電できる。その他の高速充電規格に対応したスマートフォンも概ね2A(10W)前後の出力を要求する。幸い、モバイルバッテリーにはこの高速充電モードに対応したものも多いので、購入時にポートの出力を見て選びたい。
3つめに重要なのがサイズだ。モバイルバッテリーのサイズと重さは、基本的に容量に比例していると思っていい。毎日持ち歩くものだからこそ、できるだけコンパクトで軽量なものがいいが、必要な容量を実現できなければ意味がない。自分がどこまで妥協できるのか、条件をよく考えて選びたい。
最近は容量による価格差も縮まっており、どのモデルを選ぶべきかも悩ましいところだが、一般的に、日常の通勤・通学や一泊程度の旅行で使うのであれば、5000mAh程度の製品がいい。この容量であればサイズも小さく軽量で、バッグに常備しておくにも負担が少ないからだ。
一方、1万mAh以上の大容量モデルは、サイズや重さもそれなりに大きくなるため、日常の持ち歩き用には大きい。ただし一度満充電にすれば、スマホなら数台ぶん、タブレットでも1~2台はフル充電まで充電できるのが大きな魅力。1台だけの充電なら数日分をカバーできるので、1週間程度の旅行にも持っていくならこのクラスがいい。ただしバッテリー自体の満充電にもかなり時間がかかるので、利用時は計画的に前もって充電しておこう。