UXデザイナーという仕事をご存知でしょうか?

UXとは「User Experience」の略で「ユーザー体験」などと訳されます。UXデザイナーの仕事は、文字通り“ユーザー体験をデザインする”こと。見た目の美しさや利便性にとどまらず、ユーザーが「楽しい」「快適」と感じる「体験」を製品やサービスに込めて設計する仕事です。

  • SHARP_UXデザイン

現在、大手電機メーカー「SHARP」では、このUX(ユーザー体験)に注力することで、これまでにはなかった新しいサービスを創出しようとしています。その中核を担うのが「UXデザインスタジオ」です。

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今回は、同スタジオで部長を務める伊賀陽祐さんと、デザイナーとして働く上村直子さんにインタビューを実施。SHARPのサービスデザインの「今」と「これから」についてうかがいました。

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    「UXデザインスタジオ」で部長を務める伊賀陽祐(右)さんとデザイナーの上村直子さん(左)

目に見えるデザイン以上の感動を求められる時代に

SHARPがサービスデザインを強く意識するようになったのは、2015年ごろです。それまではUI(ユーザーインターフェイス)という「ユーザーの視覚に触れる部分をより良くデザインして操作性を高めていくこと」に重きが置かれていました。

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    パソコン画面に表示されるアイコンの開発・デザインの統一といった、グラフィックデザインが主流だった

しかし、ここ数年で技術は大幅に進歩。音声やジェスチャーで、スマホやテレビに指示する光景が当たり前になったからこそ、目に見えるデザイン以上の「価値」や「体験」を求められるようになったのです。

伊賀さん

テレビにインターネットを接続できるようになった5年ほど前の事例です。情報検索時における操作性の向上を考えたとき、リモコンによる文字入力法だけに注目し改善するより、音声入力やそもそも入力をしなくても見たいコンテンツに出会える体験を考えました。

見た目の美しさや利便性を目指していたグラフィックデザインの領域を超え、ユーザーに革新的な感動体験を提供するために製品・サービスのコンセプトからデザインしていくのがUXデザインの本質です。


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「UXデザインスタジオ」が提案するときに大切にしていることは「人々を笑顔にする」。これを実現するには、ユーザーの心に寄り添い、思いを馳せる柔軟な姿勢が求められます。近年ではUXデザインの考え方をベースに、ビジネス課題までも包括的に解決することを目的としたサービスデザインへと領域を拡大しています。そのためグループのメンバーは、日常的に多様な意見を交換し合い感性を磨いています。

上村さん

どんな体験に「人々を笑顔にする要素」が隠されているのかを発見するため、ユーザーの気持ちを調査・分析することはもちろん、部内外や社内外を問わず、積極的にコミュニケーションを交わすようにしています。

また、この製品・サービスによって、生活や働き方がどのように変わるのか?未来を「見える化」することが大切です。


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プレゼン時にはシナリオだけでなく、動画をつくってストーリーで未来を見せることも。「見える化」した世界観をベースに製品・サービスをつくっていく流れが、急激に加速しているのです。

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    製品・サービスの世界観を表現するために動画を作ることも。上図は動画のストーリーラフ

無人搬送車「AGV」がカフェで活躍。人とロボットが見事に協働

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そんなUXデザインスタジオが最近取り組んだ提案は、シャープが新規事業として始めた飲食店向け「AGV」です。AGVとは「Automatic Guided Vehicle」の略で「無人搬送車」のこと。これまで工場内のピッキング作業などに用途が限られていたAGVを飲食店での搬送業務に応用しました。この活動ではデザイナー自身がビジネス課題を事業者へ直接ヒアリングするプロセスが実践されました。

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    「Q CAFE by Royal Garden Cafe」に導入したAGV

導入場所は、東京ミッドタウン日比谷の6階にある「Q CAFE by RoyalGardenCafe」。AGVが店内を移動し、厨房から客席へ料理や飲み物を搬送しています。

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上村さん

お客様の感情や行動を理解するため、まずはオーナーさんへのインタビュー、お客さんや店員さんの行動観察などのリサーチから始めました。


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上村さん

その後、社内でワークショップを開催してアイデアを出し、企画担当者やエンジニア、プロダクトデザイナーと合意形成をしました。

それから絵コンテなどでアイデアの可視化を繰り返し、試作へ。何度も修正を行い、製品化に至りました。


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今回の事例は、デザイナーが現場を知ったからこそのカスタマイズも生まれました。それは、音のカスタマイズ。工場内で使用されるAGVは安全のため、工場の騒がしい場所でも聞き取れる音を鳴らしながら移動します。これをカフェの雰囲気に合わせながらも、走っているロボットに気づける音に変更する必要がありました。そこで、上村さんはサウンドデザインが得意なメンバーに相談し、カフェに馴染む音をつくってもらったのです。

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上村さん

導入されたばかりの頃は、店員さんたちもAGVに恐る恐る接していましたが、今では人とロボットが見事に協働しています。「Qちゃん」という愛称まで付けていただいて、うれしく思いますね。

伊賀さん

AGVが搬送を担うことで、店員さんの負担が軽減されただけではなく、今まで以上に接客に集中できるようになったそうです。お客さんの満足度も上がり、店員さんにもお客さんにも「笑顔」を提供できた事例となりました。

ただ、これに満足することなく、ヒアリングを続けて改善につなげていきたいです。


“SHARPらしさ”を感じるサービスデザインを追求

今後、伊賀さんも上村さんも「“SHARPらしさ”を感じるサービスデザインを追求したい」と意欲的です。

伊賀さん

「SHARPらしさ」とは「人の心に寄り添っていることが伝わるもの」と考えています。製品・サービスを利用する人がもっと楽しく、働く人がもっと生き生きできるように「笑顔」をつくっていきたいですね。

以前は『液晶のSHARP』といったように製品が注目されていましたが、SHARPらしい世界観を確立し、それを好きになってもらうことが目標です。


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上村さん

そのためには、私たちデザイナーは学び続けなければなりません。次々と新しい技術が登場するので、体験をデザインする手法の幅は広がるばかりです。

社内の勉強会で入社1年目の社員が講師を務めることもあるくらい、年齢や社歴に関係なくフラットに学び合える風土のため、いろいろと吸収できて助かっています。

それぞれの得意分野を生かしつつ、活発なコミュニケーションを通して切磋琢磨していきたいですね。


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UXデザインやサービスデザインと言うと難しく聞こえがちですが、その中身は「ちょっと未来の笑顔を描く」こと。

製品やサービスづくりにおいてコンセプトからデザインできるのがサービスデザインの醍醐味とのことですが、その未来図には人々の心を動かすワクワクがいっぱい詰まっていました。

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