ワコムの「Bamboo Tip」は、1.9mmという極細のペン先を実現したAndroidデバイスとiOSデバイス向けのスタイラスペンだ。電源を入れるだけで、ペアリングせずともさまざまなスマートフォンやタブレットで使用することができる。今回、その実機を試す機会を得たので、実際の使い勝手や書き心地などを紹介していこう。

  • ワコムの「Bamboo Tip」

筆記具に近い持ちやすさ

製品をパッケージから取り出して、まず好感を抱いたのが、その持ちやすさだ。ボディにはアルマイト加工が施されているが、細さや軽さ、長さ、手触り、重心バランスが絶妙で、使い慣れた筆記具のように手にしっくり馴染んでくれる。具体的なスペックを見ると、長さは142mm、直径は10mm、質量16gとなっており、標準的な金属製のボールペンとほぼ同じ。

ワコムによれば、場所を選ばず使用してもらえるよう、ボディの素材や色はもちろん、クリップの形や強度まで、徹底的にこだわって開発しているそうだ。実際、高級筆記具のような質感と剛性があり、スーツの胸ポケットに挿しておいても違和感はない。

もっともアナログの筆記具と違って使用するには電源がいるため、使い始める前に充電しておく必要がある。ペン尻のカバーを外してmicroUSBケーブルをつないで電源を供給し、ボディ側面の電源スイッチ部にあるLEDが消灯すれば充電完了だ(充電中はオレンジ色に点灯している)。

  • ペン尻のカバーを外すと充電端子(microUSB)が現れる

バッテリーは2時間の充電で約20時間使用可能。数分間使用しないと自動的に電源オフになるため、うっかり電源を切り忘れて肝心なときにバッテリーが空になって使えない、という事態に陥りにくいのはありがたい。もちろん、自分で電源スイッチを長押ししてオフにすることもできる。

  • 充電中は電源スイッチ部分のLEDがオレンジ色に光る

ペアリングなしで使えるのが便利

Bamboo Tipは、Bluetoothでデバイスと通信するタイプのスタイラスペンと異なり、使用するにあたってペアリングなどの特別な設定をする必要がない。そのため、複数のデバイスで簡単に共用することが可能。友だちとペンの貸し借りをすることも気軽にできる。実際にiPhoneやiPad、Androidタブレットなどで使ってみたが、デバイスをかえるたびにいちいちペアリングしたり接続しなおしたりすることなく使用することができた。

iOSデバイスの場合、iPhoneやiPadの間でやりかけの作業を引き継げるHandoffという機能があるが、その際にもBamboo Tipは便利。たとえば、Bamboo Tipを使ってiPhoneでお絵描きをしていて「もっと広い画面で絵を描きたいな」と思ったとき、特別な操作をせずともそのままiPadに移ってシームレスに続きを描くことができる。ペアリングが必要なスタイラスだとこうはいかない。

  • 「Bamboo Tip」はペアリングなどの特別な設定が必要なく、さまざまなデバイスで使用できる

追随性もよくある程度細かい書き込みもOK

スタイラスペンを選ぶ際に、もっとも気になるのは、やはりその書き味だろう。結論から言えばBamboo Tipは、Bluetoothでペアリングするタイプの「スマートスタイラス」(ワコム製ならBamboo Sketchなど)ほどの精度や機能(筆圧感知やパームリジェクションなど)はないものの、ある程度細かい書き込みも可能だ。

少々乱暴なたとえだが、Bamboo SketchやApple Pencilなどが鉛筆やボールペンだとしたら、Bamboo Tipは細めのサインペンくらいの印象。小さな文字を書き込んだり、本格的なスケッチなどに使うのは難しいが、走り書きのメモやラフスケッチなどには十分活用できる

実際にAndroidタブレットや、iPhone、iPadなどで使ってみたが、筆致がなめらかで追随性もよく、ペン位置と描画位置のズレも小さく気にならなかった。デバイス側の個体差などもあると思うので一概には言えないが、今回試したデバイスではペンの動きから遅れて線が描画されたりすることもなく、紙のメモ帳にアナログのペンで書き込んでいるのと近い感覚で使用できた。ワコムの「Bamboo Paper」のように画面表示を拡大できるアプリを使えば、かなり細かい部分まで書き込むことも可能だった。

  • 遅延やズレなども気にならず、快適にメモを取ることができる

ガラス製の保護フィルムは使える?

スマホやタブレットの画面に傷がつくのを防ぐため、タッチパネル表面に保護フィルムを貼っている人は少なくないだろう。Bamboo Tipは保護フィルムがあっても問題なく使用できるだろうか?

ワコムによれば「保護フィルムは感触が変わる可能性があるため、使用を推奨しない」とのこと。そう言われると試してみたくなるのが人情というもの。そこで実際に手持ちのデバイスで試してみた。

その結果、厚さ0.3mmのガラス製の保護フィルムを貼った状態と、剥がした状態とでは、若干ペン位置と描画位置がズレているかな? というくらいで、書き味に特別な変化は見られなかった。ペン位置と描画位置のズレもはっきりとわかるレベルではなく、比較してみると若干ズレているかもという程度。もちろん、フィルムを貼った状態でもペンの追随性は問題なし。

デバイスや保護フィルムの種類によっては書き味に差が出てくる可能性はあるが、「保護フィルム貼っちゃったけど使えるかな?」と心配する必要はあまりなさそうだ。まずは、フィルムが貼られた状態で試してみて、どうしても違和感がある場合にフィルムを剥がせば問題ないだろう。

その場合、保護フィルムなしでスタイラスを使用するのは傷がつくのでは? と思う人もいるかもしれないが、Bamboo Tipの標準のペン先は柔らかく若干遊びがあるため、画面上に直接書き込んでも傷をつけてしまう恐れは少ない。実際、ペン先がカチカチと当たる音もあまりせず、多少力を入れて書いても気になる傷はつかなかった。

  • ペン先がソフトで若干の遊びがあるため、デバイスの画面に傷がつく心配は少ない

  • オプションで替え芯も販売されている

普段の生活で気軽に使えるスタイラスペン

普段の生活でスマホやタブレットを使っていて、手書きで入力したいなと思う瞬間はよくある。そんなとき、特別な設定をせずとも気軽に使えるBamboo Tipがあると、スマホやタブレットでできることがぐんと広がる。

個人的には、メモ書きやラフスケッチだけでなく、写真に手書きメッセージを入れたり、PDFなどに注釈をつけたり、簡単な画像の切り抜きなどにもBamboo Tipを使ってみたいと思った。指先で操作できることなら、たいていのことはBamboo Tipでもできるため、アプリのナビゲーションにも活用できそうだ。ゲームアプリの操作に使ってみるのもおもしろいかもしれない。

  • 普段の生活で気軽に使えるBamboo Tip

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