カシオの新タフネスカメラブランド「G'z EYE(ジーズ・アイ) GZE-1」が、いよいよ発売。そこで今回は、GZE-1開発スタッフから商品企画、デザイン、アプリケーションの各分野におけるキーマンである、カシオ計算機の是木卓氏、神出英氏、高山喜博氏に集まっていただき、それぞれの視点から、G'z EYE、GZE-1というテーマにどう取り組んだのか、また、今後の展開まで、その熱い思いを語っていただいた。
本稿では、その前編として、開発背景や、デザインする上でのこぼれ話などを伺った、是木氏、神出氏へのインタビューを中心にお届けしたい。
カメラをどこまでタフにできるか?
――まずは、G'z EYEというブランドが立ち上がることになったきっかけを教えてください。
是木氏:「タフカメラの構想は、『EX-FR100』をリリースした頃からありました。当時からデジタルカメラは市場が飽和状態といわれていて、特にコンパクト機はスマホに押されていました。が、写真自体はより多くの方が、より撮るようになっていて。インスタグラムのような写真SNSも盛況ですし、写真と映像の利用は増えているんです。
そこで、カシオとしてはそのニーズにどうアプローチしていくかを考えました。その結果、ターゲットを絞って、やはりカメラのタフさをもっとアピールしよう、と。ご存知の通り、カシオにはG-SHOCKの資産とノウハウがあり、それをもっと生かそうじゃないかということになったのです。ただ、実際にプロジェクトとして動き出したのは、2016年の春頃でしたから、開発期間は実質1年半です」
――「FR100」もタフネス仕様ですよね。
是木氏:「FR100は、落下強度1.7m(コントローラー部合体時は1.3m)、IPX8、IPX6相当の防水性能、IP6X相当の防塵性能です。これでも十分にタフなのですが、次はもっとタフにしようと考えました。いわば"カメラをどこまでタフにできるか"への挑戦ですね。したがって、技術的な部分はFR100や『FR200』をベースにしています。FR100のターゲットはアウトドアユーザーですが、今回はより激しいスポーツをする人々を想定しています。
実際、FR100ユーザーから、もっと防水性を高めてほしいというリクエストが多くありました。ハウジングなしで、シュノーケリングやライトダイビングでの撮影に使いたいと。そこで、G'z EYEでは"ハウジングなしで"にこだわりました」
――液晶モニターがオプション扱いになったことも話題になっていますね。デジタルカメラに液晶モニターを初めて付けたのカシオがそれを取ることは、社内で反対意見が出ませんでしたか?
是木氏:「確かに、液晶モニターにはカシオならではのこだわりがあります。でも、固執してはいけないとも思っています。(液晶モニターを)付けると、そのぶん大きく重く、強度も弱くなる。G'z EYEの商品性を考えれば、タフ性能を優先するべきは自明の理ですから、液晶モニターを取ることも社内的にすんなり受け入れられました。
専用アプリを用意して、スマートフォンをモニター代わりにしてもらえるようにしていますし、実際には不便なくお使いいただけると思います」
――オプションの液晶モニター(コントローラー)「GEC-10」は、FR100に付属するものと同じものですか?
是木氏:「ハードウェアとしては基本的に同じものです。FRシリーズをお持ちの方は、ファームアップにより、GZE-1と接続できるようになります。また、腕に着けられるリモコン(GEC-1)は、カメラと同じ耐衝撃、防水性能があります。ただ、水中は電波が通じないので、水中でのリモコン操作はできません」