離れた位置にある被写体をアップで写したい。自分撮りもキレイに撮りたい。でも大きくて重いカメラは持ちたくない。そんな欲張りな願いをすべてかなえる理想的なコンパクトデジタルカメラが登場。キヤノンの新作「PowerShot SX730 HS」は、手のひらサイズの小型軽量ボディながら、35mm判換算の焦点距離でテレ端960mm相当の光学40倍ズームと180度チルト液晶を搭載。まさにどこへでも連れて行きたいデジタルカメラだ。

遠景を大きく引き付けられる圧倒的ズーム倍率

キヤノン「PowerShot SX730 HS」。ボディカラーはシルバーとブラックの2色から選べる

最近はスマホのカメラ機能が進化し、気軽なスナップならスマホでも撮れるケースが増えてきた。ただし、ほとんどのスマホは単焦点レンズしか搭載しておらず、ズームアップはできない。デジタルズームなら可能とはいえ、画質は大きく低下するし、背景をぼかした写真も撮れない。シーンによっては、スマホカメラはまだまだ力不足である。

高画質を維持しつつ、遠景をズームアップしたり、背景のボケ表現を楽しみたいのなら、高倍率ズーム搭載のコンパクトデジカメを選びたい。高倍率ズーム機と聞くと、ちょっと大きめのカメラを想像するかもしれないが、キヤノン「PowerShot SX730 HS」なら心配は無用。24~960mm相当の光学40倍ズームを備えつつも、奥行きは約39.9mmと薄く、重量は約300gと軽い。ふだん使いはもちろん、旅行用にも好都合だろう。

とても光学40倍ズームには見えないコンパクトなボディ。外装は高品位な金属素材。グリップ部には滑り止めのラバーを装備

では、光学40倍ズームとは、どのくらいの性能なのか。カメラを固定した状態で、同一シーンをズーム倍率を変えながら撮ってみた。まず下のカットは、ズームのワイド端となる24mm相当の焦点距離で撮影したもの。目の前の広い範囲が写り、大きな池のある公園という状況が伝わる写真になった。ワイド端は、こうした広がりの構図のほか、遠近感や奥行きの表現に適している。

光学1倍(35mm判換算24mm)

次は、120mm相当までズームアップしたもの。手前にあるスワンボードの頭越しに、遠景にある青いボードを捉えた。このくらいの焦点距離は、風景の一部分を切り取るような感覚でフレーミングしたり、近距離でポートレートを撮る際などに適している。

光学5倍(35mm判換算120mm)

続いて、光学ズームのテレ端である960mm相当までズームアップした。上のカットでは小さく写っていた青いボート内の女性が、表情まではっきりとわかるサイズで写った。まるで望遠鏡を覗いているような感覚だ。

光学40倍(35mm判換算960mm)

さらに「プログレッシブファインズーム」を使用して1920mm相当までズームアップした。プログレッシブファインズームとは、画質劣化が目立たないデジタルズームのこと。実用十分な高画質が得られる。

光学80倍(35mm判換算1920mm相当)

こうした超望遠を使って遠景の被写体を撮る場合、倍率が高すぎて被写体を見失ってしまうことがときどきある。そんなときは「フレーミングアシスト」機能が役に立つだろう。これは、ズームアップした状態でボディ背面のボタンを押すことで、一時的にズームダウンして被写体を探しやすくする機能だ。ボタンから指を離すと素早く元の倍率に戻り、撮影を続行できる。

四角マークの四方に矢印が付いた「フレーミングアシスト」ボタンを押せば、一時的にズームダウンし被写体が探しやすくなる