作画制作にあたってのデジタル作業は今や常識となった。だが「とはいっても、どうしても紙から離れられなくて……」という人(まさに私です)もまだまだいるのではないだろうか。そんな人にオススメな製品がワコムから登場したペンタブレット「Wacom Intuos Pro Paper Edition」だ。これは従来のペンタブ機能に加え、「Inkspace」アプリを連動させることで、Wacom Intuos Proで「紙」に描いたスケッチをそのままPCに取り込むことができ、しかもレイヤー分け(PSD形式のみ対応)までできる!という優れもの。
わざわざPCの前に座らなくても、このペンと板タブがあればソファーでも、寝転んだままでも、好きな場所で思いついたときに自由に作画、そして後からデータとして取り込むことも可能だ。
今回はWacom Intuos Proほぼ初心者の筆者が実際にこの製品を使って、カフェのメニューで使用するイラストを作成してみることにした。
本体は338×219mmのMサイズと、430×287mmのLサイズの2種類展開。今回はLサイズでレビューに使用しており重さは約1.3kg、側面の厚さはなんと8mmという薄さ。左側面にタッチ機能ON/OFFスイッチと電源ボタンがついている |
いざ開封。むむ、実にオシャレ。箱は2つに分かれており、片方にはWacom Intuos Pro本体と付属品が、もう一方には筆圧感知対応ゲルインクペン「Wacom Finetip Pen」やアクセサリーケースなど、Paper Edition限定の付属品が入っている。具体的に中身を紹介すると、Wacom Intuos Pro本体/Wacom Pro Pen 2/ペンスタンド(替え芯10本付属)/Wacom Finetip Pen/ペーパークリップ/A5用紙10枚/アクセサリーケース/カラーリング/Wacom Finetip Pen用替え芯3本/USB Type-Cケーブル/そしてクイックスタートガイドや保証書など。
もう、取扱説明書を見ただけでアレルギーが出そうな機械音痴の私だが、実際に製品を手にとってセットアップまでは驚くほどにシンプル。「つないで」「インストールして」「セットアップ」たったこれだけ!
たった10分!
こんな機械音痴な私が今や声を大にしてこの製品をオススメしたい。難しいことは一切なく、セットアップも感覚的に進めることができるため、正直言って説明書を読む必要なくあっという間にお絵かき開始だ。
わからなくなることはおそらくないが、同社サイトには動画での細かな説明も用意されているので参考にしてほしい |
0.4mmゲルインクペン「Wacom Finetip Pen」
まず、A5用紙を付属のペーパークリップでタブレットに挟み、タッチホイールの中心に青色の+マークが点灯しているのが確認できたらセンサー搭載の0.4mmゲルインクペンWacom Finetip Penで作画していく。
今回は付属の用紙を使用し、まずはシャープペンでざざっとラフを描いてから、それを本番用にFinetip Penでなぞっていくというプロセスで作成した。用紙はどんなものでも使用できるため、コピー用紙やチラシの裏に落書きした下絵であっても、そのままFinetip Penで書けばPCに取り込むことができる。
書いている途中で青の+ボタンを2回押すと、新しいレイヤーとして保存するので部品として作成しておいて後で組み合わせてレイアウトしたい場合などにも対応できるほか、 タブレットと本体を接続させた状態であれば紙に描くのと同時にPC画面にデジタルで記録されていくのが確認できて面白い。
一番気になっていたFinetip Penの使用感だが、驚くほどに違和感は少ない。ペンを紙に接地した瞬間、筆圧感知として0.5mmほど下に沈む感覚があるが慣れてしまえばそれ以外は他のペンと全く変わりなく、むしろペン先までの軸が長い設計のため、繊細なペン先が視認しやすいほかインクもスムーズに出る印象だ。
リアルタイムに画面に反映していくモード(今回使用)もあるので、紙の上で作品を仕上げながらもデジタルの仕上がり感も即座に把握できるのが嬉しい。
実際に使ってみながら大きなメリットだと感じたのは「直筆の作品が残ること」だ。 なんだかんだ言っても直筆の力は強いと思う。今回の作品も直筆版をカフェのオーナーが額に入れて店内に飾ってくれることになったので、それをお店に見にいくのもまた楽しみの一つとなった。