CELVIANO Grand Hybridの印象は?

イベント直後の牛田氏に話を聞いた。

産まれて間もなく、電子ピアノに出会ったという牛田氏。「母が趣味で弾いていた電子ピアノが、私のおもちゃ代わりでした」と笑った。それ以来、定期的に電子ピアノを弾く機会はあったものの、電子ピアノを観客の前で弾いたのは今回が初めてとのこと。

「これまで電子ピアノというと、オンかオフか、スイッチを切り替えるような感覚がありました。CELVIANO GHは印象がまるで違います。見た目も設計もグランドピアノに忠実で弾きやすい。様々な弱音を表現でき、曲に合った音色を作り出せる。鍵盤の深さでニュアンスも調節できます」(牛田氏)。

現在、モスクワ音楽院ジュニア・カレッジで学んでいる牛田氏。数多くのロシア系ピアニストを排出する名門校だ。ロシアのピアノ演奏について、牛田氏は「その印象から、豪快に感じられるロシアの音楽は、実は一番大きな音からどれだけ引いていけるか、という引き算で考えていきます。pp(ピアニッシモ)の種類が多彩で、その結果、ダイナミックレンジが広い演奏となります」と捉えている。しかし「アコースティックピアノだと、大きな音の響きにごまかされて、小さな音のニュアンスが聞き取れないことがある」(牛田氏)。CELVIANO GHは、大音響の中でも弱音がクリアに響くので気に入っているという。

演奏会場であるサロンの入り口前にはCELVIANO GHが設置されており、来場者が自由に触れることができた。CELVIANO GHの内部構造を紹介する展示も

CELVIANO GHの大きな特徴の一つが、3つの伝統的なピアノの音色をボタン一つで選べること。透明感のある音と響きが特徴の「ベルリン・グランド」、迫力と力強さを備えた「ハンブルク・グランド」、重厚な低音と優しい弱音が出せる「ウィーン・グランド」が用意されている。

中でも、ベルリン・グランドの音色は、160年以上の歴史を持つドイツの名門ピアノメーカー、C.ベヒシュタインとカシオが共同で開発したもの。今回のイベントにおいて、牛田氏は、バッハはベルリン・グランド、ムソルグスキーはハンブルク・グランド、ショパンはウィーン・グランドで弾いた。観客は、それぞれの音色の違いを思う存分に楽しむことができた。

C.ベヒシュタインとカシオが共同開発した「ベルリン・グランド」音色を楽しめるCELVIANO GH。3つの伝統的なピアノの音色をボタン一つで選ぶことができる

CELVIANO GHの印象を、「細かなニュアンスにも敏感に反応してくれるので弾きやすい。タッチの感覚で音色を変えたいとき瞬時に反応してくれる」と総括する牛田氏。発音のタイミングについては「速めです。これは、C.ベヒシュタインのピアノの特徴がそのまま生かされているのでしょう」と鋭く分析した。音の広がり方については「自然で立体的、うなりのない統制された響きがします」としている。

また、音の減衰について「グランドピアノをよく研究している。鍵盤を押す圧力や速さなど、弾き方で変えることができます」、和音の響きは「立体的ですね。ある意味、グランドピアノ以上かも知れない。アコースティックピアノの場合、すぐ側で聞いていると音が混ざりあって立体的には聞こえないときもある。CELVIANO GHでは、弾いている人が響きをコントロールできるイメージがあります」と語った。

コンサートホールによってピアノの響きも変わる。写真は、しいきアルゲリッチハウスのサロン。CELVIANO GHには、世界各所のホールにおける響きをシミュレートする「ホールシミュレーター」も搭載している

CELVIANO GHには、電子ピアノならではのおもしろい機能も搭載されている。例えば「コンサートプレイ」は、内蔵された音源を再生できる機能。誰でも気軽にオーケストラと共演できる。「ホールシミュレーター」では、世界各所にある有名なコンサートホールにおける音響特性を再現する。

こうした機能について、牛田氏は「コンサートプレイは、オーケストラと合わせるときに、練習のバリエーションとして活用できそうですね。個人的には、コンサートを開催するようになってからホールの響きに注意するようになりました。そういった意味では、響きを擬似的に体感できるホールシミュレーターがとても意味のある機能です」と話していた。

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