データ利活用の重要性が叫ばれる今、ビジネスの現場においても、分析による迅速な意思決定が求められている。それを可能にする手段として注目されているのがセルフサービスBIである。

2016年12月14日、東京都新宿区にて開催された「三越伊勢丹グループ エムアイカードが解説!データ分析実践セミナー」。同セミナーに登壇したクリックテック・ジャパン ソリューション・コンサルティング部 部長の横川 健氏による、セルフサービスBIツール「Qlik Sense」の解説と、富士通 IT戦略本部 白木 日出雄氏による「データ利活用事例」をもとに、セルフサービスBIの可能性について紹介する。

IT部門に頼らない、現場の手によるデータ利活用「セルフサービスBI」

クリックテック・ジャパン ソリューション・コンサルティング部 部長 横川 健 氏

営業部門であれば売上データから今後の活動を計画する、あるいは人事部門であれば労務データから残業の削減を依頼するなど、現場ではデータを用いた意思決定が常に行われている。BIツールは、そのようなニーズに貢献できるツールだ。

しかし、既存のBIツールは現場のユーザーが利用することを想定しておらず、ユーザーが使いこなせない状況が散見される。また、こうした分析にはIT部門などの協力が必要な場合も多い。そのため、各部署からの要望に応えていくうちにバックログ(積み残し)による遅延が発生してしまう。これでは、迅速な意思決定が求められるビジネスの現場では十分な利活用が期待できない。そこで、現場におけるデータ利活用の手段として大きな期待が寄せられている存在が、IT部門に頼らず現場のユーザー自らが分析を行い、レポートを作成できる「セルフサービスBI」である。ただし、セルフサービスBIの実現にはいくつかの課題が存在する。

セルフサービスBIの実現に必須なガバナンス

たとえば、現場でデータ分析を行う場合、まずはサーバー上や個人のPCなどに散在するデータを集め、抽出し、それをExcelなどのツールを用いてビジュアル化してレポート作成を行う方法が一般的である。

しかしこのような手法では、分析に使用したデータが“いつ・どこで・誰が”抽出したものなのか、その詳細はレポートを作成した本人にしかわからない。結果として、その分析には個人の解釈が入り込む余地が生まれることになる。さらに、ツールやデータの取り扱いに詳しい上級者ユーザーであれば、自分たちに都合のいい分析結果を導き出すこともできてしまう。これでは、とても正確な判断をくだすことはできない。また、この手順を実行すると、分析するたびに抽出した細切れのデータファイルが個人のPC上に生み出され、セキュリティの観点からも非常に危険だ。

「セルフサービスBIを実現するためには、だれが、いつ使っても、同じ分析結果が得られ、それを共有できるガバナンスが必須です。そして、それを高度なレベルで提供するソリューションがQlik Senseなのです」(横川氏)

俊敏性の高いガバナンスを提供する「Qlik Sense」

Qlik Senseでは、サーバーや個人のPCなど、企業内に散在する様々なデータを集約し、一元的に管理することでデータの一貫性と信頼性を確保する。いつ、どこで、だれが集めたデータなのかが明確になり、それらがユーザーごとに変わることもなくなる。また、分析に使用したデータファイルの断片がばら撒かれる懸念もなくなり、セキュリティ面の強化も実現できる。Qlik Senseは、セルフサービスBIの実現に必要なガバナンスを満たすことができる製品なのである。

同製品の最大の特徴は、独自エンジン「連想技術(QIX Engine)」を採用している点だ。この技術は、一つの項目を選択すると、それに関連する項目が即座に表示されるというものだ。たとえば、あるデータの製品名をクリックすると、それが売れている時期、地域、店舗などが現れるという。QIX Engineによって、ユーザーは自分の直感に従って選択や検索を繰り返し、そこからデータの奥に潜んだ真の知見や新たな発見を得ることができる。また、操作はクリックしていくだけなので、特別なスキルを持たない現場のユーザーであっても、自由な分析が可能だ。この連想技術の存在は、セルフサービスBIの実現に大きな力となるはずだ。

横川氏による、連想技術をベースにQlik senseのデモンストレーション

「アーモンドミルク」を選択

「月」や「商品区分名」のフィルターの下部にグレーのバーが表示され、除外されている値があることが分かる

アーモンドミルクを選択すると、6月、12月がグレーで表示される。この時点で、6月と12月は関連しない(製品が売れていない)項目であるとわかる

富士通によるセルフサービスBIの実践例

富士通 IT戦略本部 BIコンピテンシーセンター マネージャー 白木 日出雄 氏

富士通 白木日出雄氏によるセッションでは、セルフサービスBIの実践例が紹介された。富士通では、「テクノロジーをベースとしたグローバルICT企業」として、「業務部門におけるタイムリーなデータ活用」、「グローバル拠点のデータ統合」、「アナリティクスの高度化」の実現を目指していた。

だが、事業部ごとにシステムを構築してきた結果、国内の業務システムは約400にも膨れ上がり、しかも縦割り組織のためにシステムとデータがサイロ化しているという問題があった。そこで、これらの課題を解消し、「最新技術を使って実践的なBI基盤を構築・提供すること」を目的として生み出された組織が、白木氏が所属するBIコンピテンシーセンター(BICC)である。

BICCでは「全社横断のデータ融合を実施」するためのBIツールとして、クリックテック ジャパン社が提供するQlik Viewを選択。利用者数2,000人規模から導入を開始。2017年には3,000人規模の導入を目指している。現在では、富士通の最先端技術とQlik Viewの融合によりグローバルなデータ活用を実践中だ。具体的な例としては、全社連結および部門ごとの売上・損益が分析できる「グローバル経営ダッシュボード」、IT機器の情報を収集して未登録機器をネットワークから遮断する「IT機器監査」、現場にQlik Viewのライセンスの貸し出しとハンズオンセミナーを提供する「セルフサービスBIサービス」などが挙げられる。

なお、BICCが各拠点に存在するグローバルな購買実績を一元管理するために、購買実績のデータを集めたところ、25言語56個のフォーマット存在していた。これらを全て手作業で取り込むとなると大変な手間とコストがかかるが、Qlik Viewの機能により、全体の約4割が完全自動で取り込むことが可能となり、十分なコスト削減を計ることができたという。

今後、BICCでは、BI共通基盤による様々なサービスを社内向けに提供していく予定だ。さらに「Qlik社のようなパートナー企業と共同で、富士通が持っている音声認識やAIといった新しい技術を活かした業務改革を進めていきたい」と白川氏は語る。

全社連結および部門ごとの売上・損益が表示されたグローバル経営ダッシュボード

こうした2社の講演からもわかるように、業務部門でのデータ利活用が進む上で、セルフサービスBIの必要性は高まり続けるだろう。今後に備えて、今のうちに情報収集を行い、検討を重ねておく必要があるのではないだろうか。

なお、クリックテック・ジャパン社では、Qlik Senseを用いた「データ分析体験セミナー」を毎月開催している。またQlik Senseには無料の体験版も提供されているので、興味のある方は以下のURLよりぜひアクセスしてほしい。

■データ分析オンデマンドセミナー
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■Qlik Sense無料体験セミナー
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(マイナビニュース広告企画:提供 クリックテック・ジャパン)

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