シンプルな人物撮影からXUB3490WQSUを検証

始めに、背景紙をバックにした人物撮影を行う。シンプルゆえに人物が際立つ写真だ。また、バックが一色であるゆえに、明部の階調表現がわかりやすいとのこと。

白い背景紙をバックにしたシンプルな人物撮影で、明部の階調表現を確認

── XUB3490WQSUの画質について感想をお聞かせください

清水氏 AH-IPS方式のパネルを使用しているためか、液晶特有の粒状感が非常に少なく、写真の精細度は高いレベルで再現されているように思います。また視野角が広くコントラスト比が高いため、画像がハッキリと確認できますね。遠目から見ている人にも写真の意図が伝わりやすいと思います。

視野角が広く、解像度も高いため、縦写真を横に2枚並べても余裕をもって写真を見比べることができる

清水氏 標準設定ではLEDバックライトの特性なのか、少々青色が強めに感じます。しかし、sRGBカバー率100%に達していない安価なディスプレイでは目に見えて色の階調が落ちる背景の白も、もやっとした表現にならず、しっかりと階調を感じることができます。設定を追い込めば、さらに印刷に近い色味を出してくれるのではないでしょうか。

こちらが実際に撮影した写真。XUB3490WQSUでは背景の白がもやっとした表現にならず、素直に描写された

グレーバックの撮影からわかる色の表現幅

続いて、人物の表情を中心として撮影いただいた。ライティングにより顔に影が入ることで、暗部の表現幅を捉えやすいという。

ライティングで人物の表情に影を作り出し、陰影のある撮影を行った

── 写真の印象が大きく変わりましたが、ご感想はいかがですか?

清水氏 この写真ではモデルさんの顔の肌感の再現と、背景の階調がポイントとなります。解像度が高く視野角が広いため、写真を拡大せずともパッと見である程度のフォーカスやトーンが確認できるのは助かりますね。

大量のサムネイル画像を表示できるというメリットに加え、そこから選択した画像は拡大せずとも一定のフォーカスやトーンを認識できるという

清水氏 モデルさんの顔のアップ写真をみても、なかなかしっかりとした肌色の再現ができていると思います。背景のグラデーションもきれいです。しかし、髪の一部分を確認すると、黒の階調が不足してベタっとした表現に見える所もありますね。これはハイエンドモニタでも再現が難しい部分だと思いますが、あとちょっと暗部表現が向上してくれると嬉しいです。

実際に撮影した写真例。XUB3490WQSUでは背景や肌の質感が高いクオリティで表示できた。一方で、髪の毛の階調は不足する部分もあるようだ

──撮影時には3440×1440ドットにどのような感想を持たれましたか?

清水氏 3440×1440ドットというサイズの広さを強く感じました。縦位置での人物撮影に限って言えば、写真を2枚並べて対比していく際に非常に役に立ちます。写真の寄りと引きを一画面内で合わせてチェックできるのは便利ですね。普段使用している2560×1440ドットのディスプレイよりも880ドット横長なため、私の使っているソフト「Capture One」を使用した撮影では、サムネイル画像をより多く表示することが可能なので、写真のセレクト効率が格段にアップします。また全画面表示で、横位置であれば6枚、縦位置であれば4枚を大きく並べることができるため、写真をチョイスしやすいです。動きのあるシーンを大きく並べることができるのも良いですね。

全画面表示すれば、横位置6枚、縦位置4枚を大きく並べることができるため、写真を見比べてチョイスするという作業がしやすいという