ニフティクラウドが10月1日から提供を開始した新サーバータイプ「Type-e」。前回は、この新しいサーバータイプがクラウド業界にどんなインパクトを与えるのかを紹介した。 Type-eは、単に低価格なだけでなく、信頼性、柔軟性などニフティがこれまで提供してきた高い品質をそのまま引き継いでいることが特徴だ。従来タイプのType-hとType-eを組み合わせることで、今まで以上に望み通りの構成を追求することができるのだ。

そこで今回は応用編として、用途に応じた効果的な使い方や競合サービスとの価格比較を紹介しながら、Type-eの登場がユーザーにもたらす具体的なメリットについて紹介する。

【クラウド新潮流】

「Type-h」と「Type-e」は、それぞれどんな用途で特に有効?

Type-hとType-eはどういった使い分け方をすればよいのだろうか。

前回のおさらいになるが、Type-hは、高速データベース処理や動画配信サイトといった大容量データを扱うシステム、クラウド化を検討している基幹システムなど、性能の高さが要件になるケースでの利用に適している。

一方、フロントのWeb用途や開発環境といった手軽にサーバーを利用したいケース、コストを抑えて社内システムを構築したいといったケース、キャンペーンサイトなど短期間利用するケース、さらには負荷が見積もりやすいバッチを実行するといったケースには、Type-eで十分対応可能だ。

両プランを併用したり、切り替えて使ったりすることも可能ということは、前回の記事でも解説したとおりだ。以下、渡邊氏の話を基にいくつか具体的な活用例を紹介してみよう。

ケース1 : 本番環境とテスト環境の切り替え

最もシンプルな例が、開発/テスト環境を安価なType-eで構築し、本番環境を高負荷に耐えられるType-hで構築するというもの。関係者のみがアクセスする開発/テスト環境は、大きな負荷がかからないのでType-eで十分だろう。しかし、本稼働後は、不特定多数のユーザーが利用を開始することになる。そのため、開発/テストを終えた環境をコピーしたうえで、Type-hにスケールアップさせて本稼働させるといった運用が想定される。また、本番環境で不測の事態が発生し、原因調査が必要になった際には、本番環境の構成そのままにコピーを作成し、Type-eにスケールダウンしたうえで、調査を進めるといった運用が可能になるのである。

ケース2 : ピークを読み、時間帯でサーバープランを自動切替

ソーシャルゲームなどのエンタテインメント向けWebアプリケーションでは、イベントの実施をきっかけとして爆発的に利用者が増えることが多く、イベント実施前と実施期間中ではシステムの負荷に約5倍もの差が生じることもあると言う。そのため、イベント前にサーバータイプを切り替えて、イベント中のヒットに備えるケースが多い。こうした状況の中、Type-eの登場により選択可能になった34ものサーバータイプは、これまで以上に無駄のないサーバー選びを可能にしている。こうした切り替えは、週、月単位のみでなく時間単位でも適用することが可能だ。例えば、アクセスが集中するイベント時において、イベント開始時間の1時間前などに自動的にスケールアップするよう設定しておくこともできる。

ケース3 : DR環境を安価なプランで待機させる

有事に備えてディザスタリカバリ(DR)環境を用意している企業は多いだろう。DR環境は普段、データやステータスのコピーを行う程度で、ほとんどアクセスがないのが実情だが、ひとたび災害等が発生すれば、本番環境から処理を引き継がなければならず、本番環境と同等もしくはそれに近い処理能力が求められる。そこで、普段から起動させておくことが必要なサーバーは、Type-eの最小限のスペックで維持しておき、有事の際にはType-hに切り替えて正規サイト同様の運用を続けることで、運用コストの無駄を省くことができる。

従来のクラウドでは実現できなかった規模のスケールアップ、スケールダウンを実現

Type-eの登場で合計34ものプランがニフティクラウドに整備され、上で述べた3つの例からも、状況に応じた構成をこれまで以上にとりやすくなったことが分かる。ケース2のような用途の場合により顕著だが、現在のニフティクラウドは、下は1vCPU・512MBのe-miniから、上は8vCPU・64GBのwlarge64まで、従来クラウドにはない規模感でのスケールアップ、スケールダウンをリアルタイムかつシームレスに実現できる。このことは、ユーザーにとって大きなメリットをもたらすことだろう。

渡邊氏は、「システムをどんどん刷新して、新しい動きに対応していきたいという企業のニーズが増えています。例えば、クラウドを使ってシステムをアドホックに改修、増築していくようなケースです。一方で、従来からニーズがあったディザスタリカバリの用途や、信頼性、安定稼働が求められる基幹システムへの部分的な応用なども始まっています。」と語る。プロダクトラインを分けず、シームレスにType-e、Type-h間を行き来できることにこだわった新プランの提供により企業がこれまで以上に柔軟に、コストパフォーマンス高く運用を進められるようになったのだ。

クラウドは「見えないコスト」にも目を向けて選ぶことが重要!

以上のように、Type-eがリリースされたことで、ニフティクラウドでは以前にも増してコストパフォーマンスの高い環境を構築できるようになった。

ただし、パブリッククラウド市場全体を見回すと、外資系クラウドベンダーなどには価格の低さを一番のウリとするサービスも存在する。そちらと比べた場合、カタログ上のスペック比で表示価格だけを見れば、Type-eよりも低価格のサービスは多くあるのだ。しかし、実際の運用において、本当に表示価格のみで必要な機能は網羅されているのだろうか。答えはNOだろう。実運用においては、少なからず「見えないコスト」が発生してくることを、サービス選定の時点で念頭に置いておかなくてはならない。

例えば、業務で使用する、あるいは外部に公開するシステムの場合、大抵は冗長化構成をとることが必要とされる。その場合、サーバー費用は約2倍になる可能性もある。また、有事の際にはサービス事業者への即時の問い合わせが必要になることもあるだろうが、そういったサポートは有料であることが多い。このように、実運用においては表示価格では分からない、「見えないコスト」がかかることを認識したうえでクラウドサービスを比較することが重要なのだ。そうした観点から各社のサービスを比較するとき、ニフティクラウドが海外クラウドよりもコスト面で優位になるケースが非常に多いということを、ここでお伝えしておきたい。 「カタログスペックだけでなく実際の運用にまで目を向けていただくと、トータルコストではニフティクラウドの方が安価という場合は多いのです」(渡邊氏)というわけだ。

実際の運用を想定して月額利用料を比較してみる

それでは、渡邊氏からアドバイスをいただきながら、実際に例を挙げて費用を比較してみよう。

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上記は月間500万PVのWebサイト運用を想定し、Webサーバー1台、DBサーバー1台、帯域幅(転送量)はおよそ月300GBという構成のシステムを構築した場合にかかる費用を3社で比較した表だ。スペックは3社全てで同程度のものを想定している。結果は、合計でA社が41,568円、B社が14,800円。ニフティクラウドの場合はType-eのe-small、e-small2を利用し、サーバー費用が13,900円。標準でHA機能はサーバー費に含まれており、ネットワーク転送量は無料。特筆すべきは、Type-eの利用であっても、24時間/365日の電話サポートがサーバー費に内包されていることである。ユーザーにとってこの価格帯にも関わらず、いざと言うときに追加費用なくベンダーとコミュニケーションがとれることは、非常に大きなメリットである。これら必要費用を合計すると、ニフティクラウドで条件を満たしたシステムを運用するには、サーバー費用のみの月額13,900円(税抜) で済む計算になるのだ。

このように比較すると、ニフティクラウドの運用コストは他社と比較しても低く抑えられるケースがあることが分かる。実際には、さまざまな条件により価格は変動するが、それでも今回のシミュレーションを通して、表示価格のみに目を向けた「外資系クラウドの方が圧倒的に安い」といった判断が、いかにも早急だということがお分かりいただけるだろう。加えて、ニフティクラウドは従来から信頼性や品質への評価も高いため、実運用時の工数についても大幅な削減が見込める。渡邊氏の言う、「様々な条件を考慮すると、額面のトータルコストだけでなく、実質コストでも他サービスに比べニフティクラウドを利用するメリットは大きいと考えています」とは、このことだ。今回、コスト比較で大きく差が出たポイントは、冗長構成対応とサポート費用であった。特に"困ったときに迷うことなく無料で相談できる窓口がある"のは、運用者の強い味方と言えよう。このように、品質の高さで抜群の定評をもつ国産クラウドが、その品質はそのままに、価格面でも海外クラウドと互角に戦える実力を備えたのである。

では、実際にどんな使い方ができるのか、パフォーマンスはどのくらい出るのか、など実際の使い勝手が気になった方も多いはずだ。マイナビ編集部では次回、実際のエンジニアが、エンジニアの目線からニフティクラウドType-eのもたらすインパクトについて検証を行う。新しいサーバータイプType-eは、アカウント作成後、すぐに試すことができるので、気になっている方はぜひ自分の目でも確認していただきたい。

(マイナビニュース広告企画)

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