デジタルシネマデータはハードディスクで映画館へ配布される

キュー・テックは、映像の企画制作・編集、DVD、Blu-ray、Blu-ray 3D、VODなど各種オーサリング、映画フィルムのスキャンやデジタルリマスタリングなどのほか、3D映像撮影・編集、2D-3D変換など幅広く手がける、総合ポストプロダクションである。中でもアニメ事業に強く、全国で週に100本ほど放映されているアニメ作品のうち約3割ほどの編集を手がけているという。

株式会社 キュー・テック
第1映像部 カラーワークスグループ マネージャー 木原裕司氏

同社が2009年ごろから注力しているのが、デジタルシネマ関連事業だ。旧来、映画館ではフィルムを用いて上映していたが、最近はデジタルデータを用いるのが一般的になっている。キュー・テックでは、フィルム映像をデータ化するテレシネ/フィルムスキャンを始め、「徹底したカラーマネジメントの追求」というコンセプトでデジタルインターミディエイトサービスを提供しているとともに、デジタルシネマデータの作成および複製を行い、全国各地の映画館に送付する。

『デジタルシネマのデータは、米国の標準化団体DCIが規定した仕様に則って作成され、映画1本でだいたい100GB~200GB程度の大きなサイズになる。そのため映画館へデータを送付する際には、USB接続の外付けハードディスクドライブにパッケージデータを格納し、一般的な宅配便などで配送されている。データは暗号化されており、暗号解除用の鍵は別途現地の担当者へ送られる。』

振動に弱いハードディスクデータ破損がクレームに発展することも

しかし、この手法には大きな課題があった。そもそも一般的なハードディスクドライブは輸送を前提とした作りになっていないため、衝撃に弱く壊れやすいのだ。現状、ハードディスクドライブは、一ヶ月1回くらいのペースで映画館に送られ、キュー・テックへ返送されてくる。従来は、一般的な3.5インチのハードディスクドライブをUSB外付けケースに組み込んで使用していたが、数回使えばデータが読み取れない状態になる場合もあった。キュー・テックでは、常時100~150台ほどのハードディスクを各地の映画館とやり取りしており、ハードディスクドライブの台数確保によるコストが問題視されていた。

第1映像部 カラーワークスグループ マネージャー 木原裕司氏は、ハードディスクのコスト以上に問題なのは、故障に起因するトラブルが信用問題へとつながることだとも述べる。

「配給の状況によっては、ある映画館からほかの映画館にハードディスクが送られるケースもありますが、2つ目の映画館でエラーが発生する場合も少なくありません。20台送って3台壊れていたこともありました。もちろんクレームに発展し、大慌てでサポートすることになります。また最近ではデータ作成から上映までの期間が短くなりがちで、特に再配送に時間がかかる遠方ではトラブルは許されません。トラブル回避の為、空輸と陸送で2台のハードディスクドライブを送ったこともありました。このような場合、作業増によるスタッフへの負担や無事に上映できるかという心理的なストレスもバカにはできません。」(木原氏)

そこで木原氏が出会ったのが、リムーバブルハードディスクストレージ「RDX」シリーズである。

1年間でトラブルなし生産性と信頼性が向上

もともとRDXは、読み書きが遅く高額なテープドライブに代わって、パフォーマンスや信頼性の高いバックアップメディアとして注目されていた。数々の特徴の中で木原氏が目を付けたのは、衝撃に強い2.5インチハードディスクと耐振動構造のカートリッジ方式を採用しているため、1メートルの高さから落としてもデータが破損しにくいという点だ。

「壊れにくいという点に非常に魅力に感じたため、すぐに入手してテストしてみました。データ作成の現場でも、USB 3.0でPCと接続できるため非常に高速で、カートリッジを抜き差しするだけで使えるため、外付けハードディスクとしても優秀です。これまでは、映画館とのやり取りに使うハードディスクケースを、作業のたびにドライバーで解体していたんですよ。」(木原氏)

木原氏は、RDXを何度かデータの送付に用いてテストしてみたが、まったく故障は発生しなかった。ドッキングステーションといっしょに輸送すれば、従来のハードディスクと変わらず、映画館側も操作に困ることはない。RDXの輸送用に専用のボックスも制作し、初めて使用する映画館の作業者にも分かり易くなるよう工夫している。

RDX使用イメージ

キュー・テックでは、2013年秋ごろから本格的なRDXの運用を開始しているが、これまでハードディスクの故障に由来したトラブルやクレームは、いっさい発生していないそうだ。クレームが無くなりスタッフらの負担も大幅に削減でき、ストレスを感じることなく本来の作業に集中できるほか、カートリッジ式で使いやすいために満足度は高いという。

<導入前の課題>
・デジタルシネマデータの輸送に用いるハードディスクの故障に起因するデータ読み込みトラブルが発生し、映画館からのクレームが起きていた。
・USB外付けハードディスクケースと作業用PC間の接続の切り替えが面倒
<導入効果>
・データが読み込めないというクレームが激減し、1年の使用でハードウェアのトラブルがゼロに
・作業現場ではドッキングステーションを用いてカートリッジを抜き差しするだけで作業でき効率UP

トータルコストを考慮すればリーズナブルなRDX

もちろんキュー・テックの活用方法の場合、RDXのカートリッジのほかにドッキングステーションも同数揃える必要があるため、一般的なハードディスクよりも初期投資は高額になる。しかしそれでも、耐久性や運用負荷の軽減を考慮すれば、十分にリーズナブルだと木原氏は分析する。

「各映画館にドッキングステーションが普及すれば、小さなカートリッジのやり取りで済むので輸送も楽になりますし、より一層便利になるでしょうね。ただ、小さな映画館もありますので、ハードウェアの購入を負担してもらうことはできませんが、RDXが映画配給のデファクトスタンダードになってくれればと感じています。」

2014年の春にはRDXをさらに追加購入し、特にミッションクリティカルなデータ送付を中心にRDXとドッキングステーションを運用している。実は、従来のハードディスクがまだ数十台残っており、木原氏は、これらをすべてRDXに切り替えていきたいと語る。

「今後、ネットワークを通じた配信技術も進化していくでしょう。しかし、様々な理由で配信に対応できない映画館が出てくることも予想されます。また、これから私たちが注力していきたい分野の一つである海外の映画作品は、吹き替え音声や字幕のデータを追加するためデータ容量が大きくなりがちですし、デジタルシネマが4Kへ移行していくことでもデータ容量が増えていくことが予想されます。このようなことを考慮すると、こうしたメディアによる配布がなくなることはないのでは?と思われます。 このようにデジタルシネマのデータは今後も、信頼できる媒体で搬送できることが重要になると思います。 RDXの耐久性は当社の信頼性でもあります。RDXを活用して、いっそうの事業拡大を目指したいと考えています。」(木原氏)

・所在地 東京都港区赤坂六丁目14 番15 号
・webサイト:http://www.qtec.ne.jp/
・設立 1989 年
・事業内容 映像の企画制作・編集、各種オーサリング、デジタルシネマ、3D 映像撮影・編集・変換 などを手がけるポストプロダクション
・ホワイトペーパーダウンロードは→こちら
※(別サイトへのリンクとなります。)

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