コストのかけどころを熟知したパーツ構成

パーツ選択の妙は、マザーボードの選定にも現れている。チョイスされているのは、Intel B85チップセットを採用したMSI製の「B85M-E45」。Intelの最新のチップセットは現在9シリーズだが、実は8シリーズからの変更点はそれほど多いわけではなく、最新規格のストレージを利用しないのであればほとんど変わらない。ZやHといったランクの違いも、コンシューマ用途のCPUを定格で動作させるぶんにはまったく影響が無い。ストレージ周りの使用はZやHとは若干違い、SATA3が4基、SATA2が2基という編成になるが、そもそも本機で採用されているMicro-ATXケースではそこまでストレージを詰むことは不可能だ。スペック的には見栄えがするが、実際に使用できずコストを上げる要因となっている点を見極めた選択がすばらしい。その代わりに、稼動時に影響を与える点はしっかりとコストをかけて対策している。コストパフォーマンス重視のPCでよく見られるようにファンを省略することもなく、ケースフロント/リアにはしっかりと12cmファンを搭載。メモリには高品質で知られるSanMax製のPC3-12800 DDR3 8GB (4GBx2)を採用し、安定性を高めている。

マザーボードにはMSI製の「B85M-E45」を採用。拡張スロットは上からPCI-E x16、PCI-E x1、PCI-E x1、PCIとなる。メモリスロットは4本となり、後から拡張可能

標準でSanMax製のPC3-12800 DDR3 4GBメモリが2枚搭載されているのも、eX.computerのウリの1つだ。8GBあれば、当面は容量不足に陥ることは無いだろう

ケース前面には12cmファンを搭載。ケース内の温度でパーツの安定性や寿命は大きく変わるので、こういったポイントにはしっかりとコストがかけられている

バックパネルの様子。端子類は必要最小限だ。使用しない内蔵グラフィックス用の端子は、間違って接続しないようシールで封がされている

電源ユニットは、人気の高いCorsairの定格500W、80PLUS BRONZE対応製品だ。着脱式ケーブルを採用しており、Micro-ATXケースの問題点の1つであるエアフローの改善に一役買っている。唯一妥協点が見えるのがストレージとなり、標準搭載は1TBのHDD一基となる。とはいえストレージはアプリケーションの動作を妨げる要因ではないため、妥当な選択ともいえる。必要ならば、BTOにてSSDを追加し、快適度をプラスしよう。

Corsair製の500W電源「CX500M」を標準で搭載している。着脱式のフラットケーブルが採用されており、狭いケース内でケーブルを取り回すのも楽だ

HDDは東芝製の1TBモデル。SATA3に対応しておりその速度は決して遅くないが、やはりSSDと比較すると辛い。お好みのSSDをBTOカスタマイズで追加するとより快適になるだろう

PCゲームのベンチマークでグラフィック性能を測ろう

それではベンチマークテストで、PCゲームでの性能を見てみよう。まずは、AMD RADEONシリーズのリアルタイム頭髪レンダリング「TressFX Hair」により、自然に近い髪の毛の動きが表現されるタイトル「Tomb Raider」のベンチマークだ。最高設定であるUltimateではGPUにかなりの負荷がかかるテストだが、1920×1080ドットで平均FPS56.8と、期待を裏切らない結果を得ることができた。さすがに2560×1440ドットでは厳しくなってくるが、それでも平均FPS37.5と、遊ぶことが可能な数値だ。Highまで設定を落とせば余裕だろう。

Tomb Raider ベンチマークテスト

1920×1080 High

1920×1080 Ultimate

2560×1440 High

2560×1440 Ultimate

続いて、国産ゲームの定番ベンチ「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」だ。こちらは2560×1440ドットの最高品質でも"非常に快適"というすばらしいスコア。数年前はとても重く感じていたファイナルファンタジーXIVのベンチマークも、GPUの進化によりここまで軽くなったのだと実感する。念のため「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」と「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 Ver.2.0」も試したが、この2本は余裕がありすぎて拍子抜けする結果だ。この2タイトルは、最近では内蔵GPUですら動作させることができるので、Radeon R9 280には軽すぎるのだろう。

ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編

1920×1080 高品質(デスクトップPC)

1920×1080 最高品質

2560×1440 高品質(デスクトップPC)

2560×1440 最高品質

ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.10

1920×1080 標準品質

1920×1080 最高品質

ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 Ver.2.0

1920×1080 簡易設定3

1920×1080 簡易設定5

※5001以上で快適に動作

なお、ベンチマーク中の消費電力は以下のようになった。そのグラフィックス性能に合わせ、高負荷時は274Wとさすがに低くない。一方Windows8.1のアイドル時は、56Wまで下がる。負荷に応じて、必要なときはしっかりと供給し、不要なときは減らすという、適切な電力設計が行われていることが確認できる。

消費電力

ここまで見てきたとおり、カスタマイズされた「エアロストリーム RM7J-Z61/E」は高いレベルでバランスの取れたCPU/GPU処理能力を発揮するPCだ。このようなPCが登場した経緯はどのようなものだったのか。ASUSとTSUKUMOの担当者にお話を伺ったので、次ページではそのインタビューの模様をお届けしよう。