ブラザーから、インクジェットプリンター「MFC-J6970CDW」が発売された。本機は、A3両面印刷や両面同時スキャンなど基本機能の充実に加え、クラウド/モバイルとの連携などビジネスシーンに役立つ多くの機能を備えたモデルだ。どのような特長をもっているのか、ブラザー販売株式会社(以降、ブラザー)の水野敬介氏に伺った。

ブラザー販売株式会社 マーケティング推進部 商品企画1G グループリーダー
水野敬介氏

より活用シーンが拡大した「MFC-J6970CDW」

スマートフォン/タブレットPCなどのモバイル端末がビジネス市場に進出するにつれ、プリンターの利用シーンにも変化が現れている。「例えばスマートフォンで添付メールを受け取り、ドキュメントを開いて中身を確認するのはビジネスマンにとって当たり前の風景になっています」と語るのは、ブラザー販売株式会社の水野敬介氏(以降、水野氏)だ。写真や画像、文章の詳細なチェックなどは端末上ではなく印刷して確認したいものだが、これまではスマートフォンで一度受け取っている添付ファイルなどは、PCを起動してメーラーを開き、添付データに対応したアプリケーション経由で印刷しなくてはならなかった。

また、「例えばカタログのチェックですと、画面だけで確認するのは難しいですし、複数人で閲覧するにはプリントした用紙が必要です。また、A4の雑誌ぐらいのものでも一面ぴったりで刷るよりA3でプリントしたほうが見やすいこともありますよね」と、自身の体験からA3カラー複合機の活用シーンを語る水野氏。

水野氏がいうように、ビジネスではA3カラー印刷は、いまや当たり前の機能として求められている。こうしたシーンを背景に、モバイル環境における印刷環境との結びつきが強められれば、業務を行う上でさまざまなメリットが発生する。「とはいえ、プリンターとモバイル機器の連携ってハードルが高いと思われている風潮があると思います。もっと自然に使えるように、そのハードルを下げてあげれば、さらに広まるのではないかと思うのです」と、水野氏は語る。近年、めざましく発展してきたモバイル環境への対応や、年々高まるA3用紙への印刷など、時代に応じたニーズを満たすために開発されたのが「MFC-J6970CDW」なのだ。

A3カラーの両面印刷・コピー・ファクス・スキャンを実現

本機のサイズとして大前提となったのは、設置場所に困らないということ。そこで設置面積を最小限にするため、逆台形の筐体デザインを取り入れている。ブラックとホワイトを基調としたシンプルかつフラットな外観は、インテリアとしてもオフィスに馴染みやすいといえるだろう。

「いくらコンパクトな設計といえど、通常のA4向け機器に比べたら大きくなってしまいます。とくに小規模な事務所ですと、どうしても置き場所に困ってしまう。でも設置面積が小さければ、棚に乗せるなんてこともできますよね」と水野氏はいう。この逆台形型のデザインには、そうした配慮も取り入れられているのだ。

「MFC-J6970CDW」の印刷機能をみてみよう。従来製品の2倍となる35ミリの大型ヘッドを搭載し、1分あたりA4カラーで約20枚、A4モノクロで約22枚という印刷スピードを実現。2本のCISスキャナーを採用したことで、非常にスピーディな両面印刷、両面同時スキャンも可能としている。

インクカートリッジや給紙トレイといったよく使う機能はフロントに集めており、万が一の紙詰まりを考え取り出しやすさも考慮している。かさばりやすい電話線、USB、LANなどを1つに取りまとめ、ケーブル周りをよりスマートにまとめられるよう工夫されているのも特長だ。また、A4とA3を切り替えられる2段の伸縮型の給紙トレイは、上下で最大500枚までの給紙に対応。レーザープリンター並の大量印刷とはいかないまでも、相当数の印刷にも十分耐えられそうだ。

「MFC-J6970CDW」の機能性について語る水野氏

家庭用インクジェットプリンターと比べ、ブラックなら約4倍、カラーなら約2倍に相当する大容量のインクカートリッジも用意している。「ビジネスシーンですと、やはりカラーより圧倒的にブラックを使うのです。そこでランニングコストも考え、とくにブラックは大容量にしました。でも簡単とはいえインクの交換は手間ですから、まだまだ大容量にしてもいいかもしれませんね」と水野氏は語る。

手前が通常タイプのブラックインクカートリッジ、奧はインクの量が4倍の大容量カートリッジになる

さらに、家庭用や大型コピー機では当たり前となっていた大型の液晶カラータッチパネルも搭載。機械に詳しくなくても扱いやすいよう、操作感を大きく向上させている。通常、この価格帯の複合機でタッチパネルを用意しているタイプはそう多くない。「値段を考えれば、こうした機能がなくてもお客様は納得してくれると思うんです。でもお客様から大きな満足度を獲得するためは機能面に犠牲を生まず、しっかり充実させなくてはならないと考えています」という水野氏の言葉は、強い自信に溢れている。

タッチ操作可能なフロントパネル。直感的な操作が行えるので、不慣れなユーザーでも安心だ

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