「速い」「小さい」「簡単」と3拍子そろったAtermWF800HP

―― 6月に発売されたAtermWF800HPですが、この無線LANルータのポイントを教えてください。

11ac対応無線LANルータでは国内最小サイズのAtermWF800HP(2013年7月時点。NECアクセステクニカ調べ)

大杉氏「我々が考えるAtermWF800HPのポイントは3つありまして、まず11ac対応では国内最小サイズを実現している点です。他社の11ac対応製品で少し大型のものと比べると、AtermWF800HPのサイズはその35%程度しかありません。

AtermWF800HPより前に発売した上位モデルのAtermWG1800HPもだいぶ小さくて、他社さんの11ac製品と比べて約47%のサイズなんですけど、そこからさらに25%削減しています」

大杉氏「無線LANルータは小さいほうが優れているというわけではありませんが、サイズがコンパクトだと場所を選ばずに設置できるメリットがあります。デザインに関しても、ラックの中でもAV機器とマッチするものや、スマートフォンとの親和性を考えながら決めています。

デザインについては、開発を進める途中でデザイナーと何度も相談しています。コンセプトを元にいくつもの案を作ってもらいますが、一番マッチしたものが実際の製品デザインというわけです。いろいろな調整を経て最終決定するので、初期のデザインラフと実物とでは若干違うかなというのが分かると思います」

AtermWF800HPのコンセプトデザイン画。AtermWG1800HPがベースにデザインされているので、初期段階からほとんど完成形に近い

AtermWG1800HPの初期デザイン案。大枠は似ているが、ラインの色やロゴの形状など、細かい部分が異なる

AtermWF800HPの試作用モック(左)と製品版(右)。色や質感が微妙に異なる程度で、作りはほぼ同じとのこと

大杉氏「2つ目は、AtermWF800HPは主にスマートフォンユーザーに使っていただきたい製品であることです。11acという最新技術を、気軽に体験できるモデルという位置付けで開発しました。

3つ目は設定の簡単さです。スマートフォンやタブレットのユーザーを想定しましたので、無線LANへの接続設定をより簡単にしなければならないという意識を持っていました。先ほどの『らくらくQRスタート2』はその観点から生まれたもので、AtermWF800HP本体と同時に開発しました。

これらの点は製品開発時の目標である『業界最小』と『簡単設定』、『業界初』というキーワードと重なる部分もありまして、うまく達成できたと思っています。特に体積と重量、そして消費電力の面で、国内最小を実現したと自負しています」

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