スマートフォン/タブレットで無線LANを使う人が急増中

―― ここ数年で無線LANのトレンドに変化はありましたか?

大杉氏「以前はPCで無線LANを使うケースがほとんどでしたが、現在はスマートフォンやタブレットで接続する割合が増えてきています。3Gや4Gといったモバイル回線から、自宅では固定のインターネット回線を無線LANで利用する方が多いみたいですね。私の家族も、家ではスマートフォンのインターネット接続を無線LANにオフロードして使っています。やっぱりモバイル回線より速く感じますからね。

スマートフォンといえば、5月に各キャリアから新製品が発表されましたが、かなりの端末が11acに対応したことに驚きました。スマートフォンやタブレットなど子機側の11ac対応が、予想以上に加速しているのかなと感じています。ノートPCに関しても、NECの『LaVie L』(LL850/MS)やアップルさんのMacBook Airなど、11ac対応機種が増えてきています」

11acに対応したNECの15.6型ノートPC「LaVie L LL850/MSB」

大杉氏「ユーザーのニーズとしては、高速化と安定性、簡単設定、電波感度、そして低消費電力という5つがポイントだと考えています。11nや11acといったキーワードは、一般のユーザーはあまり気にしませんので、より分かりやすい部分に対するニーズが高まっていくと思います。

中でも『簡単設定』には我々も長い間取り組んでおりまして、とにかく設定を簡単にしなければと考えています。SSIDや暗号化キーといった単語を知らなくても、無線LANにつなげられる製品を作る必要があるだろうと。特に、スマートフォンとタブレットのユーザーが増えていますので、無線LANの簡単な設定に対するニーズは今後どんどん高まっていくでしょう。

そのような背景から、Atermシリーズの無線LANルータでは、昨年『らくらくQRスタート』というアプリケーションをGoogle PlayやApp Storeへリリースしています。これは、本体や設定画面のQRコードをスマートフォンのカメラで撮影するだけで、無線LANの接続設定が完了するというものです」

「らくらくQRスタート」を使った接続までの流れ。AtermWF800HPの背面にあるQRコード(写真左)や設定画面(写真中央)のQRコードを、スマートフォンやタブレットにインストールした専用アプリのカメラ機能で読み込むと、SSIDや暗号キーなどの入力作業なしで無線LANに接続できる(写真右)

大杉氏「これをさらに発展させたのが、新しく開発した『らくらくQRスタート2』という機能です。従来の無線LAN接続設定に加えて、インターネット回線への接続設定もスマートフォンやタブレットで可能になっています。

ユーザーがスマートフォンで無線LANルータに接続したとき、インターネットに接続できなければ、回線設定を促します。回線の種類は自動判別ですが、実際に何らかの入力が必要となるのは、PPPoEを使う回線でユーザーIDとパスワードが必要な場合くらいです。従来はパソコンから行なっていた設定を、スマートフォン1台で完結できる点が特徴ですね。

もちろんこれで完璧というわけではありませんので、より簡単に設定できたり、ほかの設定も行なえるように改良していきます。将来的にはもっと楽になる方法も考えていますので、どんどん進化していくでしょう」

―― 具体的にはどのように進化するのでしょうか?

大杉氏「それはまあいろいろと(笑)。あくまで仮定の話ですが、例えばNFC機能を用いて、スマートフォンを無線LANルータにかざすだけで接続できるようになれば、便利ですよね」

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