PCのストレージをHDDからSSDに換装することは、1つの大きな流れになっている。そこで、Windows 7搭載のノートPCで内蔵HDDをSSDに換装し、どれだけパフォーマンスが向上するか検証してみたい。素材のノートPCは2010年夏モデルの富士通「LIFEBOOK SH760/5A」、SSDはサムスンの「Samsung SSD 830」だ。

富士通のノートPC「LIFEBOOK SH760/5A」(写真左)の内蔵HDDを、サムスンのSSD「Samsung SSD 830」(写真右)に換装。パフォーマンスはどれくらい向上するのか…

SSDは、ヘッドを動かして磁気で記録を行うHDDとは異なり、物理的な可動部分がなく電子的に動作するデバイスだ。HDDと比べてアクセス速度が高速で、衝撃にも強いという利点がある。PCの体感速度はストレージ性能によって大きく左右される傾向があるため、操作レスポンスなどに不満が出てきた少し古いPCでも、ストレージをHDDからSSDに換装するだけで体感速度が格段に向上し、最新PCにも負けないマシンへと甦るのだ。SSDは数年前から人気のデバイスだが、年々性能が向上し、容量当たり価格は低下している。各社から発売されているSSDの中でも、性能と信頼性の高さで人気の製品がサムスンの「Samsung SSD 830」シリーズ(以下、SSD 830)だ。

SSD 830は、サムスンが自社開発したオリジナルコントローラー「MCX」を搭載していることが特徴だ。一般的なSSD用コントローラーはデュアルコアだが、MCXは、ARM9ベースのトリプルコアを採用しており、非常に高いパフォーマンスを誇る。特に、3つ目のコアはランダムアクセス専用であるため、発生頻度の高い小容量ファイルの大量読み書きで力を発揮する。フラッシュメモリも当然サムスン製であり、その性能をフルに引き出せるようなチューニングが施されているのだ。

換装に必要なものがセットになったキットが便利

ここでは、数年前のノートPCのHDDをSSD 830に換装することで、どれだけパフォーマンスが向上するのか、実際に検証してみたい。SSD 830は2.5インチ/7mm厚のSATA 3対応SSDであり、ほとんどのノートPCやデスクトップPCで利用できる。

(写真1) 今回はノートPCのHDD/SSD換装なので、SSD 830のノートPC用キットを利用した。容量は売れ筋の256GBを選択

(写真2) SSD 830ノートPC用キットの中身。SSD本体の上がスペーサーで、右にあるのがSATA-USB変換ケーブル

SSD 830は、SSDのみのベーシックキットとしても販売されているが、ノートPC用キットやデスクトップPC用キットが用意されていることも特徴だ。ノートPC用キット(写真1、写真2)には、SATA-USB変換ケーブルとスペーサー、シマンテックのソフトウェア「Norton Ghost V15」が付属しており、デスクトップPC用キットには、接続ケーブルとブラケット、「Norton Ghost V15」が付属する。Norton Ghost V15は、既存のHDDの内容を、丸ごとSSDへ移行する機能(マイグレーションと呼ばれる)を持ったソフトウェアだ。この手のバンドルソフトは、体験版だったり機能や使用期間が限定されている場合が多いものだが、フルバージョンが付属するのがポイント。HDDからSSDへのシステム/データ移行だけでなく、換装後も、パーティションやデータのバックアップといったNorton Ghost V15の全機能を使い続けられる。

(写真3) プラスの精密ドライバー

一般的な話をすると、HDDの中身をコピーするには、バックアップツールやマイグレーションツールと、SSDをUSB経由で接続するための外付けケース(ノートPCの場合)または接続ケーブル(デスクトップPCの場合)が必要になる。さらに、ノートPCの場合はHDD/SSDの厚さを調節するためのスペーサー、デスクトップPCの場合は3.5インチHDDと2.5インチSSDのサイズ違いを吸収するためのブラケットが必要だ。

SSD 830のノートPC用キットやデスクトップPC用キットは、上記で挙げた必要なものがすべてセットになっているので便利だ。ただし、ノートPCの内蔵HDDを取り外すために、ネジを外さなくてはならないので、プラスの精密ドライバーといった最低限の工具は自分で用意する必要がある(写真3)。

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