4月8日の深夜販売を皮切りに、Intel 7シリーズチップセット搭載マザーボードの発売が始まった。7シリーズチップセットは、現行Core iシリーズ「Sandy Bridge」も動く、次世代CPU向けのチップセット。もちろんGIGABYTEも、ハイエンドのIntel Z77 Expressマザーボードから、メインストリーム向けのIntel H77 Expressマザーボード、そして新たなセグメントを狙うIntel B75 Expressマザーボードなど、幅広いユーザーのニーズに応える製品をドーンと11モデル展開中だ。

ついに発売が開始になったIntel 7シリーズマザーボード。写真は店頭に並んだ日本ギガバイトの「GA-Z77X-UD5H」

独自機能・技術は発展、ユーティリティはサポートを拡大

まず、同社のIntel 7シリーズマザーボードの主な特徴をまとめておこう。ひとつ目は「3D BIOS」や「3D POWER」といった同社がIntel X79 Expressマザーボードから導入した新機能の継承。ふたつ目は「EZセットアップ」。同社がIntel Z68 Expressマザーボードで採用した簡単にIntel Smart Response Technology(SRT)を構築できる「EZ Smart Response」機能を、さらに多機能に進化させたツールだ。そして「mSATA」インターフェースの採用が挙げられる。

ひとつ目の3D BIOS、3D POWERについて説明しておこう。まず3D BIOS。同社ではIntel X79 ExpressマザーボードからUEFIを採用したが、これを継続している。UEFIと言えば、テキストベースだったBIOSに代わり、グラフィカルなUI設計が可能となった。そこで同社が採用したのが3DなUIだ。マザーボードを斜めから見た写真をベースに、ボード上の各所をポイントすることで、その部分に関連した項目が設定できるデザインだ。

3D POWERは、デジタルPWM回路と、それを制御する「3D Powerユーティリティ」から構成される。デジタルPWM回路側には「GIGABYTEオールデジタルエンジン」と別名が付いているように、CPUやメモリ、統合GPU、VTTなどの電源回路を全てデジタルPWM回路化したのが特徴だ。なお、Intel X79 Expressマザーボードでの3D POWERは、CPUとメモリ2系統の3-way(ほかVTTも)だった。若干異なる部分は主にCPUの機能の違いから来ている。デジタルPWM回路のメリットは、電圧の変動に対するレスポンスの向上や、VDroopを補正するためのロードライン・キャリブレーション機能、メモリの過電圧保護やメモリPWM周波数調整などが可能となる点だ。

EZセットアップは、Intel SRT以外にも、Intel Rapid Start Technology(RST)、Intel Smart Connect Technology(SCT)といった7シリーズチップセットの新機能にも対応を果たし、3-in-1ユーティリティへと発展した。Intel SRTは、SSDとHDDを組み合わせ、読み書き速度を高速化する機能。次のRSTは、スリープからの復帰において、高速起動と低消費電力を両立する機能だ。Ultrabookで、スリープからの復帰が約5秒とアピールされていたあの機能がデスクトップでも利用できる。SCTは、スリープ状態でも定期的にネットワークに接続、またスリープに戻ることを繰り返す機能で、スリープ状態でありながらメールやソーシャルネットワーク等と同期をとることができ、復帰時には常に最新の情報を見ることができる。なお、チップセットによっては、例えばB75チップセットではIntel SRTがサポートされていないので注意が必要だ。

最後のmSATAは、同社7シリーズマザーボードの場合、ATXモデルで採用されている(マイクロATXモデルで搭載しているモデルは現在のラインアップでは存在しない)。mSATAに関しては、他社製品も含め7シリーズから実装が本格化する。これに合わせ、mSATA SSD自身もこれまで以上に新製品が登場すると見られ、これまでのニッチなイメージや割高感も解消されていくだろう。また、Intel SRT用として小容量のモデルが低価格で登場することで、最小コストでパフォーマンスの向上を実現する機能としても注目される。

そして、同社の品質基準であるUltra Durable(UD)も、最新のバージョン4が採用される。UD4 Classic(UD4C)は同社の6シリーズマザーボードの一部モデルで採用が始まっているが、UD4(Classicが付かないバージョン)は初だ。「防湿」「防静電」「防電断」「防熱」の4つの機能から構成され、加えてUD4は放熱効果の高い2オンス銅箔層基板が採用されている。この点、UD4Cは通常の1オンス銅箔層のままとされる。2オンス銅箔層のUD4は、オーバークロックにフォーカスした製品を中心に採用されており、1オンス銅箔層のUD4Cはどちらかと言えばオーバークロックを常用しないスタンダードな使い方が想定されるモデルが中心、ということになる。

このほか、同社Intel X79 Expressマザーボードで始まったWi-Fi&Bluetooth 4.0カードの一部モデルへのバンドルや、3倍USB電源やON/OFFチャージ、One Fuse per USB Port等のUSB関連機能など、従来からの便利・高信頼な独自機能も見逃せない。

7シリーズマザーボードは組み合わせるCPUの世代によって機能が変わる

前述のとおり、7シリーズチップセットは次世代CPUをサポートするチップセットとして設計されている。そのため、現行の第2世代Core iシリーズCPU「Sandy Bridge」もサポートしてはいるが、これと次世代Core iシリーズCPU「Ivy Bridge」を搭載した際では動作が異なる場合がある。一番の例はPCI Express 3.0への対応。PCI Express 3.0を利用するためには、これをサポートした22nm世代の次世代Core iシリーズCPU(とPCI Express 3.0対応GPU)との組み合わせが必須だ。そしてほかにも、PCI Expressレーン数の分割方法や、マルチディスプレイ構成時の最大画面数、そのほかCPUに統合されている機能に関する部分で変わってくる。このあたりは、同社サイトの製品スペック表に細かく記載されているので、事前によく確認していただきたい。

GIGABYTEはUSB機能のパイオニア

Intel 7シリーズチップセットでは、USB 3.0がサポートされたのも大きなポイント。これまでのIntelチップセットマザーボードにも搭載されていたものの、それらは追加チップによるもの。チップセットに統合されたUSB 3.0機能により、スタンダードインターフェースとしてのUSB 3.0の普及がさらに加速するとみられる。

チップセットがサポートするUSB 3.0ポート数は最大4基とやや少なめ。しかしGIGABYTEでは、ハブや追加チップを組み合わせ、10ポートまで利用できるモデルも用意している。また、注目して欲しいのが「One Fuse per USB Port」機能。USBポート1基に対し、1つのフューズを用意することで、たとえ1ポートのフューズが飛んだとしても、他のポートに影響を与えない設計だ。これはUSBポートがスタックされたバックパネルのポートのみならず、ボード上のヘッダピンから引き回すポートも同様に1ポートずつフューズが用意されている。さらに3倍USB電源では、iPadの第3世代モデルへのUSB給電でも2Aの給電が可能とされる。性能に関する仕様だけでなく、これら利便性の面での機能にも注目だ。

では次のページから、同社の7シリーズマザーボード全製品リストで、製品ごとの機能を細かくチェックしていこう。

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