大手PCショップである「ツクモ」が独自開発し、PCパーツショップとして自信を持って推薦できるパーツを詰め込んで作っているのが、オリジナルブランドPC「eX.computer」シリーズだ。この中で省スペーススリムタイプの本体形状を採用しているのが「エアロスリム」。今回はそのエアロスリムの最新モデルを紹介しよう。
■試用機の主な仕様 [CPU] Intel Core i5-2400 [チップセット] Intel H67 Express [メモリ] 4GB [HDD] 1TB [グラフィックス] Intel HD グラフィックス(CPU内蔵) [OS] Windows7 Home Premium 64ビット
静かなスリムPCは冷却性能もしっかり
「eX.computer」にはいくつかのラインナップが存在するが、基本的にはどの製品もタワー型のケースを採用している。PCを自作する人にとっては当たり前のことだが、ケースが大きい方がなにかと便利だからだろう。HDDや光学ドライブを複数搭載することも、大型のグラフィックスカードを追加することも、内蔵のテレビチューナー等を取り付けるのもケースが大きければ簡単だ。広いスペースは手を入れての作業がしやすく、パーツの交換をしながら長く使い続けるにも便利。しかも、中が広い分だけ隙間も多いから、空気が十分に通り抜けて加熱するパーツ類を冷やしてくれる。
しかし実際にはオフィスでも家庭でもタワー型マシンを使っているケースはどんどん減っている。やはり小さい方が置き場所もとらないし扱いやすいという人が多いのだろう。そこでツクモが打ち出したのが、小さくてもしっかりパーツを冷やしてくれるケースだ。
このケースを一目見た時の感想は、とにかくオーソドックスなスタイルだなということだ。特別凝った意匠も施されていなければ、珍しい色も使われていない。マットブラックのボディにアクセント程度のシルバーというのは非常にスタンダードなスタイルで、ビジネスでもプライベートでも場にそぐわないということはなさそうだ。
この手のマシンを使う場合、ディスプレイやキーボード、マウスなどを手元のもので済ますか、別メーカー製品を組み合わせることになる場合も多い。この時、黒とシルバーというのはどこのメーカーでも非常によく使われているため、何を組み合わせても比較的しっくりくるのが魅力でもある。
380mm×335mmの正方形に近い形に約100mmの厚さ、という省スペースデザインだ。机の上に置いてもあまり邪魔にならないのはもちろん、棚のちょっとした隙間を利用して半収納スタイルで置くこともできる。机下に置いても全く邪魔にならない。
普通ケースを小さくすればするだけ冷却性能は低くなってしまうのだが、さすが冷却性能向上を目指したケースだけに十分な開口部が設けられている。縦置きにした場合の天面と底面にあたる部分は、強度に影響しない範囲でメッシュ状に加工されている。また、背面はインターフェース部分を除いてブラケットも含めたほぼ全面がメッシュ加工だ。
サイドパネルに取り付けられた大口径のファンは、ファン部分にスポンジ状の防塵フィルターが搭載されているため、大きく口を開けていてもホコリを吸い込んでしまうこともない。
これだけ開口部が多いとなると気になるのは動作音だが、実際に電源を入れてみると思いの外静かだった。デスク上に本体を設置し、座った時にほぼ顔の横にマシンがあるような状態で使っていると音は確かにしているのだが、気になるほどではない。静かさの一因は、サイドファンに採用されているディンプルファンだろう。風きり音が出にくいファンを採用しているためか、あまり音が気にならないのだ。
厳選されたハードウェアをぎっしり搭載
内部に搭載するハードウェアはかなり幅広く選択できる。まずシリーズ基本ラインナップとして4種類のプロセッサを搭載したモデルが用意されており、プロセッサを選択した後で各種スペックを決定するというイメージだ。
CPUは、第2世代インテル Core i5またはCore i3が選択可能。試用したのは標準的な構成であるCore i5-2400に4GBのメモリと1TBのHDDを組み合わせたモデルだ。グラフィックス機能はプロセッサに統合されているIntel HD 2000 Graphicsで、OSはWindows 7 Home Premiumがインストールされている。この構成での価格は64,980円だ。
最小構成にした場合、プロセッサはCore i3-2100になり4GBのメモリと500GBのHDDを搭載した構成になる。OSなしの場合は45,000円程度という低価格だ。一方ハイスペックを求めるならばCore i5-2500Kを選択でき、メモリは最大16GB。2TBの大容量HDDとするか、高速さを求めて250GBのSSDにするかという選択も可能だ。3.5インチベイは2つ用意されているから500GBのSSD RAIDにもできれば、2TBのHDDを2本搭載した4TBのマシンにすることもできてしまう。
グラフィックス機能はNVIDIA GeForce GT430、NVIDIA GeForce GT 240、NVIDIA GeForce 210のいずれかを追加することができる。面白いのは、標準のオンボードVGAではDVI-IまたはHDMI出力しかされないのだが、これをアナログディスプレイに接続したい場合に必要となるDVI-RGB変換コネクタも周辺機器として同時購入できる。非常に行き届いているという印象だ。また、3.5インチのドライブベイを利用してメディアカードリーダーを設置したり、光学ドライブとして書き込み対応のブルーレイドライブの選択も可能だ。
各種パーツは長年PCパーツ販売を行ってきたツクモが選択した、高品質パーツなのも心強い。最新スペックを安価に購入できること、自分の予算や目的に合わせて細かくスペックを指定できることなどがありがたい。