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ノートパソコンはこだわりをもって選ぶユーザーが多い。デスクトップパソコンのように、いざとなればパーツを交換してしまうということが難しいから、じっくり選ぶという面もあるだろう。また、パソコンとしての機能を制約の大きな筐体に凝縮するため、デザイン、小型化、冷却性能、静音化、剛性……など、各社の技術の"見せ所"が発揮されやすいという事情もある。だからこそ、そこには固定ファンというものができあがるのだ。

ThinkPadの魅力に迫る

なかでもビジネスマンを中心に多くのファンを抱えるのがThinkPad。かく言う筆者も長年 ThinkPadの虜となっている一人である。ここでは、数あるノートパソコンのなかから、なぜThinkPadを選ぶのか。この連載では、その魅力を紹介していくつもりだ。

なお、内容はすべてのThinkPadに共通するよう進めるが、機材としてはThikPad X300をメインに紹介していく。数あるThinkPadのなかからThinkPad X300を用意したことには理由がある。ThinkPadがシリーズ共通でひとつのコンセプトに基づき設計されており、ThinkPad X300が、現在、最も高いレベルでそのコンセプトを網羅したモデルだからだ。

簡単に交換できるHDDベイ

ThinkPadは、IBMからレノボとなった今でも一貫して日本の大和研究所で開発されており、各種の品質基準をクリアした堅牢なノートブックPCとして出荷されている。こうした同社独自の高い品質基準によって壊れにくいわけだが、長期間使っていくなかで、例えばHDDのような消耗パーツは時に交換、あるいはより大容量なものへと載せ替えの必要が生じることもある。HDDの載せ替えというと、ソフトウェアによるバックアップ&復元、そしてハードウェアの交換といった面倒な工程が必要となる。ThinkPadには、このどちらに関しても簡単にわかりやすく作業が行えるヒミツが用意されているのだ。まずバックアップと復元から紹介していこう。

PCの買い換えサイクルよりも早いHDD容量の進化。簡単にHDD交換できるのもThinkPadの魅力だ

ThinkPadの特徴のひとつにあげられるのが「ThinkVantage テクノロジー」だ。導入、バックアップ、そしてその他にもネットワーク設定やセキュリティ、データ保護など、ビジネスに求められる機能が搭載されているソフトウェア(一部ハードウェアも関連)である。ちなみに、ThinkPadシリーズのキーボード部分には、「ThinkVantage」ボタンが用意されており、これを押すことで、直接ThinkVantage用のメニューが起動する。もちろん、他社の製品でも同様の機能を備えていることはあるが、1つのソフトウェアとしてまとめられている点、専用ボタンによって素早く起動出来る点に、ThinkPadの良さがあると言えよう。ちょっと話が逸れてしまったが、さて、HDDの交換の前に、データのバックアップを行うためこの機能を起動しよう。

キーボードのファンクションボタンの上にある青いThinkVantage(旧モデルではAccess IBM)ボタン。ThinkPadのトレードマークでもある

ThinkVantage テクノロジーには、指紋センサーのようなセキュリティ機能も含まれる

また、モバイルノートならばネットワークの切り替え機能「ThinkVantage Access Connections」も頻繁に使う機能だろう

ThinkVantageボタンを押すと、「ThinkVantage プロダクティビティ・センター」が起動する。そこにあるのが「今すぐバックアップ」という項目だ。まずはこれを押してみよう。なお、場合によってはクリーンインストールしたい場合もある。ThinkPad X300では、記憶ドライブがSSDという特殊な事情があってリカバリディスクが付属するが、例えば筆者が以前使っていたThinkPad X40のようにリカバリディスクが付属しないモデルもある。こうしたモデルの場合は購入後にまずCD-R/DVD-Rドライブを使いリカバリディスクの作成をする必要がある。この作業もThinkVantageに含まれるRescue and Recoveryから可能だ。また、有償ではあるがレノボにリカバリディスクを請求することもできる。

ボタンひとつでThinkVantageプロダクティビティ・センターメニューが起動。バックアップや更新、セキュリティの設定などの管理作業はすべてここからアクセスできる

今回はバックアップをとるという作業なので「今すぐバックアップ」を指定、バックアップ作業が実行される

バックアップが完了したら、次はHDDの交換。ThinkPadの場合、純正オプションとして交換用HDDなども用意されているのが特徴だ。純正で用意されたHDDならば、保証面、互換性など安心度も高い。ではHDD交換といきたいところだが、まずレノボのサイトの「サポート&ダウンロード」から「ハードウェア保守マニュアル」をダウンロード、一読しておくと便利。この文書には、各種ハードウェアトラブルが発生した際の対処方法、簡単に言うと「ThinkPadのバラし方」が記載されている。さらに各パーツを交換する際の型番なども指定されており、故障箇所が特定できた場合には、その番号をもとにレノボのパーツセンターに電話することで、保守部品を取り寄せることもできる。こういった公開されている情報量の多さも、ThinkPadが安心できる理由のひとつなのだ。

「サポート&ダウンロード」から機種を選択し、ハードウェア保守マニュアルを取得

ハードウェア保守マニュアルにはThinkPadの各部のメンテナンス方法が記載されている

FRU番号をもとにパーツセンターから保守部品を取り寄せることでユーザー自ら交換、短期間にメンテナンスすることもできる

ではマニュアルに沿って交換作業をシミュレートしてみよう。といっても作業は簡単。まずPCをシャットダウンする。次にHDDを固定するネジを外す。するとHDDベイのカバーが外れるので、後は引き出すだけである。保守マニュアルの有無はさておき、HDD交換程度ならThinkPadにこだわらなくても……と思うかもしれない。ではその交換作業に要する工程数はどうだろうか。そしてそれが将来のモデルチェンジでも変わらないだろうか、他のラインアップでも同様の工程で済むだろうか。そういった細かな点まで考慮されているから、ThinkPadは安心なのである。

ステップ1)まずはPCをシャットダウンし、本体を裏返す

ステップ2)HDD固定のためのネジがあるのでこれを外す

ステップ3)あとは引き出すだけだ

HDDの交換が終了したら、今度はリカバリーメディアを挿入し、電源を投入した時点で 「ThinkVantage」(旧モデルではAccess IBM)ボタンを押す。するとメニュー画面が起動するので、ここからリカバリー作業を行うといった手順だ。ThinkVantage テクノロジーも日々進化しているが、ベースとなる部分で共通化されている。とにかく1台ThinkPadを使いこなせば、次の機種でもほぼ同様の手順で作業できる。ここがThinkPadの真髄だろう。

ThinkPadでは光学ドライブも交換可能。Tシリーズなどではレバーによる引き出し式も採用されており、交換の手間も他の製品と比べ大幅に省かれている

今回はここまで。次回も長く使い続けるうえで欠かせないドライブベイのシステムを紹介していこう。

(マイコミジャーナル広告企画)

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