レッドハットは4月20日、2017年度(2016年3月~2017年2月)の事業方針説明会を開催した。説明会には昨年11月に代表取締役社長に就任した望月 弘一氏が登壇。2017年度を「2025年に向けたビジネス基盤の基礎を築く年」と位置づけて重点施策を発表した。

レッドハット 代表取締役社長 望月 弘一氏

望月氏は、2025年に向けて「10年サイクルのITイノベーションをOSSでリードする」と説明。重点ビジネス領域として「クラウドビジネス」「ITマネージメントビジネス」「アプリケーションプラットフォームビジネス」「レッドハット価値の源泉(Red Hat Enterprise Linux + コンテナテクノロジー)」の4つを挙げ、全体で毎年10%前後の成長を目標に置くという。

各領域個別の売上に関しては、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)以外を毎年3~4割増で成長させると説明。「現在は8割を占める」というRHELの売上比率が5割程度になるまで、他を拡大させる方針を示した。

そのうえで2017年度の最重要テーマとして以下の4つを挙げる。

  1. クラウドビジネス : OpenStackでトップシェアを獲得する
  2. ITマネージメントビジネス : Ansibleビジネスの立ち上げ
  3. アプリケーションプラットフォームビジネス : 企業によるコンテナ活用を定着させる
  4. レッドハット価値の源泉 : 全てのクラウド、オンプレミスで、RHELのトップシェアを取り続ける

これらのうち、特にRHEL以外の3つに注力していくという。

クラウドビジネスに関しては、同社が実施しているRed Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHEL-OSP)ベースの認定試験の合格者を400名から1000名に増大させるほか、検証環境をレッドハットのオフィスに用意する。さらに、シーエー・モバイルのモバイル向けコンテンツ事業において、RHEL-OSPベースのパブリッククラウドが3ヶ月で本番稼動に至った事例を紹介したうえで、こうした事例を積み上げていきたいと説明した。

ITマネージメントビジネスでは、昨年10月に同社が買収した、エージェントレスの構成管理自動管理ツール「Ansible」を推進していくことを説明。さらにRHELのプロファイル情報をチェックし、脆弱性や設定の齟齬を検知する「Red Hat Insights」を国内投入し、問題が顕在化する前にプロアクティブに対応できる環境を提供していく。

アプリケーションプラットフォームに関しては、OpenShift Enterpriseでのドッカー対応を契機に、エンタープライズにおけるコンテナの普及を推進していくとコメント。RHEL上でのコンテナ技術者を300人育成する計画も明かした。また、引き続き、JBoss Enterprise Application Server(EAP)にも注力していくことも紹介。JBoss EAPが5年ぶりにメジャーバージョンアップしたこと、同ソフトウェアのサポート期間が最大13年間に伸びたことなどを紹介し、同社が認定するCertified Cloud and Service Providerにおける協業を加速することも明かした。

2017年度の重要テーマ

そのほか、「Red Hat OpenShift」「Red Hat Mobile Application Platform」「Red Hat Insights」の3つをマネージドサービスとして提供していることも説明。昨年の福岡オフィスに続き、名古屋オフィスを開設したことなどにも触れた。

望月氏は最後に、2020年に向けて、「オープンソースによる技術革新を行うユーザー、開発者、パートナーの架け橋となり、お客様のビジネスイノベーションを実現するための最も重要なパートナーになる」との指針を掲示。さまざまなレイヤーのパートナーと協力して、企業をサポートしていくことを強調した。