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データドリブン経営を成功させるには? ヤマト運輸が進める経営構造改革

[2021/09/22 09:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

「クロネコヤマト」でおなじみのヤマト運輸は、言わずと知れた大手物流企業だ。1919年に創業し、1976年に宅配便事業を開始した。現在の社員数は22万5,000人。車両は5万7,000台を保有し、年間取扱個数は21億個、売上は1兆6千億円規模に上る大企業である。

長い歴史を持つ大企業は、得てして改革が苦手なものだ。しかし、ヤマト運輸は違う。常に新たなサービスを生み出し、社会インフラを支える大企業という立場にあぐらをかくことなく改革を進めてきた。

そんなヤマト運輸が現在取り組んでいるのが、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」と、その基本戦略の1つであるデータドリブン経営だ。同社が改革のなかで得た知見とは、どのようなものなのだろうか。

8月27日に開催されたビジネスフォーラム事務局×TECH+フォーラム「DX Day 2021 Aug.DXの要は経営者の視座」に、ヤマト運輸 執行役員 デジタル機能本部 デジタルデータ戦略担当 中林紀彦氏が登壇。データドリブン経営を成功させるために必要な視点について語った。

経営構造改革の鍵を握るDX

まず、2019年1月にヤマト運輸が策定した経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」について説明しよう。YAMATO NEXT100の基本戦略のなかには「再編」「転換」「進化」という3つのキーワードがある。

なかでも、今回注目したいのが「転換」だ。ここで言う転換とは、経験や労働力に依存したアナログ経営から、データに基づいたデジタル起点の経営へ変わることを意味する。別の言い方をするなら、いわゆる「DX」ということになるだろう。

では、どうすれば「転換」を実現できるのか。中林氏は、そのために必要な要素として次の3つの事業構造改革と3つの基盤構造改革を挙げる。

◆3つの事業構造改革

  • 宅急便のデジタルシフト
  • ECエコシステムの確立
  • 法人向け物流事業の強化

◆3つの基盤構造改革

  • グループ経営体制の刷新
  • データ・ドリブン経営への転換
  • サステナビリティの取り組み(環境と社会を組み込んだ経営)

中林氏は続けて、これらの改革について説明を行った。

中林紀彦氏

ヤマト運輸 執行役員 デジタル機能本部 デジタルデータ戦略担当 中林紀彦氏

まず、「宅急便のデジタルシフト」だ。データ分析とAIの活用でネットワークとオペレーション全体の効率化や、ロボティクスなどの導入でネットワーク全体の生産性向上を図っている。これにより安定的な収益基盤を強化するとともに、セールスドライバーがより顧客に向き合える環境を構築することで、顧客との関係を強化する狙いがある。また、ヤマト運輸は近年、LINE公式アカウントでお荷物のお届け予定通知や受け取り日時・場所変更を可能にするなど、顧客とのデジタル接点を増やすことで顧客に新たな宅急便体験を提供している。

次に取り組んでいるのが、「ECエコシステムの確立」だ。近年はECによる宅配便の取り扱いが急増していることから、ヤマト運輸ではEC向け配送サービスを新たに導入。EC事業者、購入者、運び手それぞれに最適な送り方や受け取り方を構築することが必要だと中林氏は語る。また、そのために受発注や輸配送、在庫管理、決済、返品などを一括管理するオープンなプラットフォームを提供し、ECエコシステムの確立を目指しているという。

具体的には、EC向け新配送商品「EAZY」の提供を始めている。EAZYはEC利用者と事業者、配送事業者をリアルタイムなデジタル情報でつなぎ、配送や受け取りの利便性を向上させる配送サービスだ。購入者は、対面だけでなく、例えば玄関ドア前や宅配ボックス、自転車のかごなどさまざまな受け取り場所を配達の直前までWEBサイトで選択できるため、不在時でも荷物を受け取ることができる。結果として、購入者、事業者、運び手が三方良しになる仕組みである。

受け取りに関しては、さらに取り組みを強化している。その1つが、スタートアップであるDoddleと提携したEC商品受け取りサービスだ。同サービスにより、購入者は自宅だけでなく、ドラッグストアやスーパーマーケットなど日々の生活で訪れることの多い生活導線上で荷物を受け取れるようになり利便性が向上する。受け取りを請け負う店舗も”ついで買い”につながるメリットを享受できるというわけだ。

こうした事業構造改革を実現するためにはテクノロジーの活用が欠かせない。そこで必要になるのが、先に紹介した基盤構造改革である。

ヤマト運輸はまず、主要事業会社を1社に統合。これまでは、さまざまな事業会社が独立するかたちだったが、現在は4つの事業本部と、そこに機能を提供する4つの機能本部に分類した。

新たな体制で目指す一つが、データドリブン経営への転換である。そのためにヤマト運輸は、約1,000億円をデジタル分野に投資。300人規模の新デジタル組織を構築し、イノベーション戦略の推進を行っている。

2021年1月に策定した中期経営計画「Oneヤマト2023」では、具体的なロードマップとして2024年3月期までにデータ戦略とイノベーション戦略の推進、エキスパート職の設置といった新しい人事制度の構築を目指しているという。

ここまでが、ヤマト運輸が取り組むDXの大きな流れだ。

では、こうした取り組みを成功させるために必要な要因とは何なのだろうか。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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