新型コロナウイルス感染症の拡大によってリモートワークが急速に普及し、私たちの働き方やライフスタイルは大きく変わりつつある。しかしその一方で、急激な変化に戸惑う声も多い。こうした状況のなか、コロナ禍以前からリモートワークを実践してきた日本マイクロソフトは、2020年4月の緊急事態宣言直前において、出社率1.7%という驚異の成果を上げている。

時代の変化に合わせて常に働く場所やコミュニケーションツールを見直してきたリモートワークの先駆者は、ニューノーマル時代における働き方や組織づくりをどう見ているのだろうか。2月25日に開催されたマイナビニュースフォーラム「働き方改革Day 2021 Feb. ニューノーマルのマネジメント、変化を生き抜く個人と組織のあり方」にて、日本マイクロソフト エバンジェリスト・業務執行役員 西脇資哲氏が解説した。

西脇資哲氏

日本マイクロソフト エバンジェリスト・業務執行役員 西脇資哲氏。2019年時点で日本マイクロソフトでは従業員の30%しかオフィスに出社して業務をしていないという

コロナ禍ではなくとも、リモートワークは「やる必要がある」

コロナ禍によってテレワークやリモートワークという言葉を耳にする機会が急激に増えたが、実は、テレワークは2000年頃からすでに働き方の手段の一つとして捉えられてきた。そして、2011年の東日本大震災を契機に、政府によるテレワーク推進が活発になり、2013年には、世界最先端IT国家創造宣言が閣議決定され、テレワーク導入の数値目標が掲げられた。しかしながら目標は達成されないまま、2020年になってようやく、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけにテレワークは普及の段階に入った。

こうした状況を受けて西脇氏は「テレワークやリモートワークは、急にやる必要が出てきたものではない。1人1台のPCが与えられ、それがノートPC、BYODへと移り変わってきたことで、働き方の変化は昔からずっと続いてきている。リモートワークはもともとやらなければならなかったものであるということを理解してほしい」と強調する。

ただし、リモートワーク化が進むことで、今までどおりの売上や営業活動が維持できるのかといった経営層の不安や、上司や部下との距離感がつかみづらく自分の仕事が評価されているのかわからないといった現場の悩みが生まれているのも事実だ。

これに対し西脇氏は、「営業活動を縮小する必要はない。アプローチとツールが変わるだけ。第1回目の緊急事態宣言から10カ月が経ち、多くの知見が生まれてきている。知見を活かして改善を続けていくことで、リモートワークを武器にしていってほしい」と呼びかける。